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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

「石器時代」のレイプ法廃止に動いたヨルダン政府の決定がなぜ重要なのか?

 Equality Now【ローマIDN=フィル・ハリス】

今日でも、多数の国々で多くの女児や若い女性が、「男性は女性をレイプしてもその後犠牲者と結婚すれば罪を問われない」と規定する、「石器時代」の法律と呼ばれてきた、ある刑法の条項に恐れおののきながら暮らしている。

中東のヨルダンもこうした条項が適用されてきた国の一つであるが、政府が4月15日に同国の刑法308条を廃止する勧告を行ったことから、レイプ被害者を取り巻く状況が好転する兆しが見えてきた。

その勧告とは、「レイプ犯が被害者と結婚すれば収監されない」と規定する同条項を廃止すべきとする内容で、現在ヨルダン議会と国王アブドラ2世による最終承認待ちの状況である。

女性・女児のための公正な世界の実現に向けて活動している国際女性人権団体「イクオリティ・ナウ(Equality Now)」は、最終承認は4月末にもなされる可能性があると見ている。

Suad Abu-Dayyeh/ Equality Now「イクオリティ・ナウ」のスアド・アブ・ダイエ中東・北アフリカ顧問は、刑法308条の廃止に対する広範な民衆の支持へとつながった女性権利擁護団体や国会議員らの長年にわたる活動を称賛しつつ、「この条項が女性や女児に及ぼす悪影響について、一般大衆がようやく理解し始めるところまできました。…レイプされた女児は被害者であり、家族の支援や政府の助けを必要としています。」と語った。

二十歳の時に55歳の男にレイプされたヌール(仮名)さんもそうした被害者の一人だ。彼女の経験は、これまで多くの女児や若い女性に、自分をレイプした犯人が罪を逃れるのを強制的に受け入れさせてきたこの法律の背後にある現実を如実に物語っている。

ヌールさんは、ヨルダンの女性権利支援団体「SIGIヨルダン」に対して、彼女が通学を断念して仕事を探していたときに遭遇したレイプの経験について詳細に語っている。

「私は家の近所の携帯電話ショップで働くために学校を退学しました。店のオーナーは、妻と離婚し子どもを抱えた男性で、私の家庭が財政的に困難な状況にあることを知っていました。彼はそこで、職場の仕事に加えて、彼の家で子供の世話や掃除、料理をこなすことで給料を引き上げてもよいと提案してきました。」

「私は家庭の財政事情からこの申し出を受け入れ、彼の家で働き始めました。ある日、家事をしているところにオーナーが現れ、鎮痛剤を2錠渡されました。私が頭痛を訴えたからでしたが、服用した後のことを覚えていません。目が覚めると、私は全裸でレイプされていたのです。」

「家族にはこのことを打ち明けられず、どうしていいかわからず大泣きしました。家族が、私がレイプされたことを知れば、計り知れないショックを受けると気づいたからです。オーナーはそんな私に『おまえと結婚してやるから。両親にも結婚の許可を求めにいってやるから。』といって落ち着かせようとしました。彼はさらに私を納得させようと、その場で婚姻契約書を作成し、そこに2人で署名しました。」

「その日は、どうしていいかわからないまま帰宅しました。打ちのめされ怯えきっていた私は、このことを両親に黙っていることにしました。しかしその月に生理がなく、妊娠していることが分かりました。私はオーナーに妊娠を伝え、何度か堕胎も試みましたがうまくいきませんでした。結局、母が私を私立病院に連れて行ってくれてそこで子供を出産しました。」

「私は子どもの将来を思い警察に訴え出ることにしました。オーナーにレイプされたと告発したのです。すると彼は、「結婚すれば罪に問われない」という刑法第308条を利用して、私との結婚を提案してきたのです。私は心の底からこの男を憎んでいましたが、家族は「一族の名誉」を救うためとして、無理やり彼と結婚させたのです。

「私はこの男に騙されレイプされた暗い記憶とともに結婚し同居生活を始めざるをえませんでした。しかしこうした絶望の淵にあっても、自分の子供と暮らすことでそのうち事態は好転するのではないかと希望を抱いていました。しかし、現実は悪化の一途をたどりました。」

私の唯一の望みは子どもの安全を確保することでした。そこで子供を父親名で登録させようと試みましたがうまくいきませんでした。ついに彼は、私との離婚を条件に、子供の認知をちらつかせる交渉にでてきました。私をレイプした男とそれ以上同居することには耐えられなかった、私はその条件を呑みました。」

「私は彼と裁判所で離婚手続きを申請し、妻としての全ての権利を放棄しました。しかし今日になっても、未だに子供を父親の名前で登録したいという私の訴えは認められないままです。」

ヌールさんが語った経験談は、ヨルダンのみならず多くの国々で、来る日も来る日も繰り返されている多くの事例のほんの一例に過ぎない。」

例えば、レバノンの女児や女性は同国の刑法第522条の規定の下で類似した状況に直面している。レイプ犯は、この条項により、被害者と結婚すれば罪を免れることができるのである。

SDGs Goal No. 5レバノンではこの刑法第522条の廃止を巡る国会審議が進められており、4月21日には、活動家らがこの問題に対する社会の注目を集めようと、首都ベイルートの海岸通りに、白いレースと包装紙でできた花嫁衣装31着を吊るして展示するパフォーマンスを行った。

この展示を企画したレバノン人芸術家のミレーユ・オネイン氏はAFPの取材に対して、「刑法第522条は、女性からアイデンティティを奪い去るものであり、このような法律を女性に強要しつづけることは恥ずべきことです。」と語った。

国連の推計によると、約10億人の女性と女児が生涯の間にレイプや性的な虐待の被害に遭遇している。(原文へ

翻訳=INPS Japan

 

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