日本で関心呼んでいるカードゲーム「2030SDGs」
【ベルリン/東京IDN=ラメシュ・ジャウラ、浅霧勝浩】
アルベルト・アインシュタインがまだ5才で、ベッドに寝かしつけられていた時、父親から遊び用の磁気コンパスを渡された、という話がある。アインシュタインはコンパスを傾けたりひっくり返してみたりして、針がなぜいつも北を向くのかを不思議がっていたという。
稲村健夫氏と福井信英氏も同様に、世界の指導者らが2015年9月の歴史的な国連サミットで採択した「持続可能な開発のためのアジェンダ」の17項目の持続可能な開発目標(SDGs)が、いかにして世界を変えうるのかについて深い関心を持っている。
悲惨な結末を招く貧困の罠
【レノ(米ネバダ州)IDN=J・W・ジャッキー】
国連の持続可能な開発目標(SDGs)は、不平等を根絶し、世界の健康状態を改善するグローバルな道筋を示している。SDGsのアジェンダは、貿易や保健、ジェンダー不平等、貧困、疾病、環境保護、その他の主要な目標全てが互いに密接につながっていることを明確に示している。
したがって、貿易上の不均衡を是正し、地域開発を進めることによってSDGsのアジェンダを達成しようと考える者なら、SDGsがお互いにどう連結し、そのすそ野がいかに広いものであるかを心に留めておかねばならない。
|SDGs|2030年の期限に間に合わせるには緊迫感をもった取り組みが必要(アントニオ・グテーレス国連事務総長)
【国連IDN-INPS=アントニオ・グテーレス】
持続可能な開発のための2030アジェンダは、この地球の全ての人々が尊厳をもって平和で豊かに暮らしていくためのグローバルな青写真を提供しています。アジェンダが履行されて今年で3年目になりますが、各国はこの共通のビジョンを、各々の国家開発計画や戦略に転換しています。
2018年持続可能な開発目標レポートは、2030アジェンダの多くの分野でみられた進展を強調しています。2000年以来、サブサハラ・アフリカでは、妊産婦死亡率が35%、5歳未満死亡率が50%、それぞれ低下しています。
アフリカ開発の触媒となるエンドユース技術
【ナイロビIDN=ジョシュア・マシンデ】
エネルギーの生産的な利用がアフリカ農村地帯の生活改善の鍵を握っている。電力や技術へのアクセスが良くなれば、零細企業は生産過程と効率を向上させることができる。
電力が利用できなければ、農村の零細企業は、労働集約的で時間のかかる手動の道具に頼らざるを得ず、その結果、製品に付加価値をつけたり多様化させたりする多くの機会を、しばしば逃すことになる。
世界の最も貧しい国々への公約果たすよう、国連が呼びかけ
【ベルリン/ジュネーブIDN=ラメシュ・ジャウラ】
最近発表された研究調査によると、国際社会が緊急の行動を採らない限り、既に世界で最も不利な状況に置かれている47カ国が、「2030アジェンダ」において国連が設定した持続可能な開発目標(SDGs)を達成しえないと警告している。
国連用語で後発開発途上国(LDCs)と呼ばれるこの47カ国は、国際社会からの特別な配慮が必要とされる国々として知られている。そのほとんどがアフリカのサハラ砂漠以南に位置する国々であり、内40カ国は、アフリカ、カリブ、太平洋(ACP)諸国(79カ国で構成)にも属している。
世界経済の好転で持続可能な成長への見通しを期待できる
【国連IDN=J・ナストラニス】
国連の最新の報告書によれば、世界経済は2011年以来最高の3%成長と好調であるものの、後発開発途上国(LDCs)のほとんどが、持続可能な開発目標[SDGs]の項目8.1にうたわれている「少なくとも7%成長」を達成できそうにない。
17分野、169項目から成り、2015年9月に国際社会が採択した「持続可能な開発目標」の第8目標は、「すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の推進」をうたっている。その目標8.1は、「各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率7%の成長率を保つ。」必要性を強調している。
バチカン会議、「持続可能な開発」と「核兵器禁止」のネクサス(関連性)を強調
【バチカンIDN=ラメシュ・ジャウラ】
2015年以後の開発問題をめぐる成果文書として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が2年前の「国連持続可能な開発サミット」において採択された際、世界の首脳らはこれを「より大きな自由における普遍的な平和の強化を追求する人間、地球及び繁栄のための行動計画」だと規定した。
17分野・169項目からなる持続可能な開発目標(SDGs)を掲げたこの文書は、公開作業部会における長い議論から生まれてきたコンセンサスを基礎としている。しかしそれは、「核兵器のない世界」といったような言葉を巧妙に避けている。
|キューバ|臨機応変に経済のワザを磨く若者たち
【トリニダード(キューバ)IDN=ジュリア・レイナー】
キューバでもっとも人気のある観光地の一つであるトリニダードは、時が止まった場所であるかのようだ。少なくとも、毎年世界各地からやってくる数千人の観光客は、そう信じるように仕向けられている。
コロニアル風の教会と荘厳な邸宅の数々が数世紀にもわたって街の守りとなり、まるで時間が止まったままであるかのごとく、美しく復元された。実際、この美しい街は、それを取り囲むサトウキビのプランテーションとともに、1988年にユネスコの世界文化遺産に指定された。
先住民族の存在を認め、土地の権利を与えよ
【ストックホルムIDN=ファビオラ・オルティス】
開発問題では先住民族の姿はまったく見えない。しかし、地域・先住民社会が、彼らの土地と資源に対する権利を守る取り組みを支援する世界初・唯一の資金提供機関が設立されたことで、変化がもたらされることが期待されている。
「先住民族の権利に関する国連特別報告官」のビクトリア・タウリ=コルパス氏は、「私たち(=先住民)も入れてほしい(=存在を認め土地の権利を与えてほしい)。そうすれば、子どもたちのために自分たちの土地を守り、世界全体の子どもたちのために地球の生物多様性を守ることができます。」と機関立ち上げにあたって語った。先住民族・伝統民族の土地への権利を認識することは、世界の開発・環境・気候問題への低コストの解決法となる。
北欧諸国が持続可能な開発目標を支持
【レイキャビクIDN=ロワナ・ヴィール】
北欧5カ国の指導者らが、国連の下で合意された持続可能な開発目標(SDGs)を北欧諸国全体として支持すると最近発表した。
「グローバルな課題への北欧の解決策」と題された構想は、当初、気候変動に関するパリ協定と、17項目のSDGsを提示した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された2015年に披露された。
2015年にパリで開かれた第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)以来、このプログラムの策定は進み、デンマーク・アイスランド・ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの首相が出席して5月30日に開催された北欧閣僚会議の会合において発表された。