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|カメルーン|SMSで母子の命を救う

According to an African proverb, “every woman who gives birth has one foot on her grave.” Cameroonians are attempting to make this proverb a historical fact and not a present reality through SMS technology. Credit: Mercedes Sayagues/IPS【ヤウンデINPS=ンガラ・キラン・チムトム】

「この喜びはなんとも表現できません。」カメルーン極北州ラグド出身のマルセリン・ドューバさんは、生まれて間もない孫を抱きながら、記者の取材にこう答えてくれた。

「もしあの医師が現れなかったら、きっと、この子と私の娘である母親は命を落としていたところでした。」ドゥーバさんは満面の笑みを浮かべて語った。

Dr. Okwen Patrick Mbahその医師とはパトリック・オクウェン氏のことで、国連人口基金(UNFPA)が支援している「モバイルヘルス(M-Health)プロジェクト」のコーディネーターである。M-Healthプロジェクトは、モバイル技術を活用して各地のコミュニティーに、医療・ヘルスケアサービスを「最も必要な時に」提供できるシステムを構築している。

世界保健機関(WHO)は、医師・看護婦に対して、一日当たり最大10人の患者を診察するよう推奨している。しかしカメルーン医師会のテタンエ・エコエ副会長は、「カメルーンにおける医師と患者の比率は、全国平均で医師一人当たりの患者数40,000人、さらに極北州や東部州のような僻地の場合は患者数50,000人近くになります。」と語った。

ドゥーバさんの娘サリー・アイシャトゥさんに陣痛が始まったのは、ちょうどオクウェン医師が数か月前に導入されたばかりのSMS(ショートメッセージサービス)のシステムを試している時だった。

ラグド病院にいたオクウェン医師と医療スタッフの元に、アイシャトウさんからのSMSが入った。この時点でアイシャトウさんは陣痛が始まって既に48時間が経過していたが、依然として赤ん坊が子宮内にとどまっていた。

「この番号がSMSを受信すると、コンピューターのサーバーが発信元のGPS信号を探知し、救急車のドライバーにグーグルマップ上に表示した位置を目指すよう指示をだします。また同時に医師に対しては病院に出勤するよう、看護婦には分娩に備えるようそれぞれ指示が出されます。こうして、直ちに関係者による患者の受け入れ態勢が稼働するのです。」とオクウェン医師はIPSの取材に対して語った。

オクウェン医師と救急車のドライバーは、SPG情報をたどってアイシャトウさんの自宅に急行した。自宅に入ると、アイシャトウさんがぐったりと倒れており、意識も殆ど失いかけていた。急いで搬送したところ、病院では手術室の受入れ態勢が整っており、直ちに緊急手術が施された。

8分後、アイシャトウさんは無事体重4.71キロの男の子を出産した。助産師のマノウ・ジャカオウさんはIPSの取材に対して、「その時の嬉しさと言ったら、なんと表現していいか分かりません。本当に感動で興奮しましたし、至福のひと時を過ごしました。導入されたこのシステムは本当に素晴らしいものです。この革新技術がなかったら、きっと私たちは母子が命を落とすところを、なすすべなく見守ることになっていたでしょう。」と語った。

手術から2時間後、アイシャトウさんは意識を回復し、生まれた赤ちゃんに(母子の命を救ってくれた医師にちなんで)オクウェンと名付けた。

ユニセフによると、カメルーンでは、出産の際に死亡する妊産婦の数は10万人あたり670人である。また同統計によると2012年、カメルーンにおいける乳児死亡率は1000人当たり61人だった。

「多くの女性が出産関連の問題が原因で死亡しています。つまり、命を生み出す最中に命を落としているのです。私たちはこの現状を憂慮していますが、モバイル技術の登場で、アフリカの女性にも希望の光がさしてきました。」とオクウェンさんは語った。

「今日のアフリカでは大半の女性が電話にアクセスできるようになりました。女性自身が携帯を持っていたり、あるいは夫や近隣の住民が持っています。ですから、女性が電話一本で救急車を呼べる方法を確立することができれば、アフリカの女性にも希望をもたらすことができるのです。」とオクウェンさんは説明した。

オクウェンさんは、「このモバイルヘルスプロジェクトを通じて、これまでに約100人の女性に様々な支援(情報提供、避難、病院訪問手配、出産、帝王切開等)の手を差し伸べてきました。」と語った。

このプロジェクトは、現地のフラニ語(フルフルディ語)で「希望」を意味する「ツザモウンデ」と呼ばれている。

ラクド市のママ・アバカイ市長は、「プロジェクトの効果は広範囲に及んでいます。」と語った。

「農村部の女性たちは、コミュニケーションギャップにより、緊急時の対応や支援が困難なことから、多くの命が失われるなど、これまで苦しい思いをしてきました。しかしこのシステムがあれば、電話一本、あるいは、一通のSMSを送るだけで、命を救ってくれる関係者が動員されるわけですから、全く素晴らしいとしか言いようがありません。」とアバカイ市長はIPSの取材に対して語った。

カメルーン保健省のマルチナ・バイエ博士は、「極北州の女性の大半は、ヘルスケアサービスへのアクセスがほとんど無なかったため、このモバイルヘルスプロジェクトは、素晴らしい救済になっています。」と指摘したうえで、このプロジェクトをカメルーンにおける「医療提供システムの革命」と呼んだ。

2010年の人口調査によると、極北州の人口は約3百万人で、その52パーセントが女性であった。

「私たちはこのモバイル技術を、是非ともカメルーンの他の地域でも活用したいと思っています。」とバイエ博士は語った。

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