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「国際食糧価格が再び歴史的な高騰」と世銀が警告

【ワシントンIPS=キャリー・バイロン】

 

世界銀行が8月30日に発表した統計によると、ここ数か月下落傾向にあった世界の食糧価格が一転して再び高騰している。7月の価格は前月より10%高く、世界で取引されている食料品価格の動きを示す世銀の食料価格指数も7月は前年同期比で6%の増となっている。

ジム・ヨン・キム世界銀行総裁
は、「食料価格の高騰で数百万の人々の健康と生活が脅かされている」とし、「特に影響を受けやすいのはアフリカや中東だが、穀物価格が高騰している他の国々の人々への影響も大きい」と懸念を示した。

この統計(世銀の四半期報告書「フードプライスウォッチ」)によると、7月は前月よりも、トウモロコシと小麦の価格は25%、大豆は17%上昇した。その結果、穀物価格全体では、最近の価格ピーク時である2011年2月よりも1%上回っている。

 
キム総裁は、世銀がこの状況を受けて過去20年で最大レベルの農業支援体制をとっている点を指摘したうえで、「この歴史的な食糧高騰に直面して、多くの家庭が子ども達の通学を控えさせ、栄養価のより低い食糧の摂取を余儀なくされています。危機的な状況を回避するためにも、世界各国の政府は、最も影響を受けやすい人々を保護するための政策やシステムを強化しなければなりません。」と語った。

ここ数か月間、食料問題に関するNGOなどは、ほぼ危機的レベルに達した食糧価格の再高騰問題に対する国際機関や各国政府の反応の鈍さを批判していた。「オックスファム」のコリン・ローチ氏は、「今回の世銀レポートは、食糧価格の急激な変動に対する行動が緊急に求められているという警鐘を各国政府に鳴らしたものといえるが、彼らが聞く耳を持つかどうかはわからない」と語った。

8月27日、国連食糧農業機関(FAOのジョゼ・グラジアノ・ダ・シルバ事務局長は、G20に対して、食糧価格高騰に対する協調行動を求めたが、G20は、米国の9月の作物統計が発表されるまでは様子見の姿勢を取ることを決めた。

これに対してローチ氏は、「G20は、食料価格の上昇が制御不能となり、より多くの人々が飢餓に追い込まれる前に、今こそ行動を起こさなければなりません。とりわけ世銀報告書が、食料価格が引き続き変動しやすく高止まりになると警告している中で、G20がこのような様子見の態度を示している現状は、全く受け入れられるものではありません。」と警告した。

持続可能な農業政策の復活が鍵

今日、米国と欧州の一部を席巻している旱魃に対する懸念が高まっている。米国はトウモロコシと大豆の世界最大の供給国であることから、米国一国の旱魃状況の結果によっても、世界の穀物備蓄や食糧価格は、壊滅的な影響を受ける可能性がある。

8月中旬現在で、米国政府は国内1800近くの郡を、厳しい旱魃による被災地と分類した。今年の旱魃は、たとえ間もなく収束したとしても、多くの穀物について既に今年の収穫分を台無しにしてしまっている。

7月下旬までに、米国産トウモロコシの4分の3近くが、公式に極不良(Very Poor)から普通(Fair)と評価された。5月の時点では記録的なトウモロコシの豊作が予想され、多くの人々が、その余剰穀物で枯渇した諸外国の食糧庫を支援できると期待していただけに、6月以降の不作は思わぬ展開であった。

最新の世銀報告は、食料価格が2008年以降高止まり傾向を示す一方で、今年も昨年に引き続き作況が不安定な状況が続いている深刻な現状を浮き彫りにしている。

2008年には複合的な要素が重なり合って、突如歴史的な食糧価格の高騰と食糧不足が発生
し、世界的に深刻な状況に陥った。当時、突然の展開に驚いた政策責任者も多く、これが契機となって、それまで20年に亘った農業部門に対する世界的な投資削減傾向が逆転されることとなった。

「2008年に現出した食糧価格高騰の問題は、とりわけ開発途上国を悩ませ続けています。その後、農業に対する投資の必要性が見直されてきましたが、それらは高度な技術を中心とした長期的な研究に偏っており、180度の発想転換が必要です。」と、ワシントンDCに本拠を置く「ワールドウォッチ研究所」のNourishing the Planet(地球を養う)プロジェクト責任者であるダニエル・ニーレンバーグ氏は語った。

ニーレンバーグ氏は、2008年危機後に復活した農業政策において見過ごされているものは、「機能すると既に私たちが知っていること」だと言う。つまり、雨水や自然の肥料を使った持続可能な農業に目を向けることである。また、ニーレンバーグ氏は、近年軽視されてきた、各国ごとの穀物及びその他食糧の備蓄政策を復活すべきだと指摘した。

「今回の旱魃経験から希望の兆しを見出すとすれば、それはおそらく、欧米諸国が多くのアフリカ農民が旱魃と闘う知恵として実践してきた持続可能な知恵に改めて着目できるのではないかという点です。今こそ、欧米諸国が開発途上国に関心を向ける良い機会です。途上国の農民には多くの学ぶべきものがあるのです。」とニーレンバーグ氏は語った。

変わりゆく農業

ニーレンバーグ氏は、現在進行している状況の全貌が理解されるまでに、少なくとも1年はかかるだろうと見ている。一方、専門家の中には、今日の状況はおそらく新たな日常になるのではないかと示唆する者もいる。

地球政策研究所のレスター・ブラウン氏は、IPSの取材に対し、「私たちは豊かな時代から欠乏の時代への過渡期に差し掛かっているのではないかと感じている。」と語った。

ブラウン氏は、その背景として、世界の人口が急激に増えていることだけではなく、人びとがより豊かな食生活を目指すようになっているという事実にあると指摘した。この10年間だけでも、世界の穀物需要は年間2100万トンから4100万トンにまで伸びた。

近年、とりわけ2008年の経済危機に向けて、バイオ燃料需要が穀物備蓄に及ぼす影響が幅広く感じられたものだが、ブラウン氏によると、バイオ燃料需要は既に下落傾向にあるという。

「最も一般的なバイオ燃料であるエタノール問題を別に考えたとしても、私たちが直面している大きな問題は、世界中で30億もの人々の食糧需要、とりわけ中国において肉需要が急速に伸びるてきている現実である。」とブラウン氏は語った。

一方、長年に亘って、肥沃な土地が世界各地で益々不足してきている実態が明らかになってきている。さらに今日では、世界3大穀物製造国である中国、インド、米国をはじめ、世界各地で灌漑用水の不足が顕在化してきている。

ブラウン氏は、「私たちが知っている形態の農業は、1万1千年にも亘って驚くほど気候が安定した時期に発達したもの、すなわち、気候体系の中で最大の収穫を挙げるようデザインされたシステムだということを理解する必要があります。」と指摘した上で、「しかし今日、この気候体系が変化しつつあります。つまり気候が常に不安定な時代に突入しており、年を経るごとに気候体系と農業体系が、お互いに少しずつ調和を保てなくなってきているのです。」と語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

 

 

 

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