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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

飢餓との闘いより重視される軍事予算

SIPRI

 

ブリュッセルIDN=バドリヤ・カーン

 

年間1兆6300億ドルが軍事予算のために使われているときに、人類の6分の1にあたる10億人以上が飢えているとはどういうことだろうか。世界の武器取引の90%以上を占め、自由のモデルを相手の有無を言わさずに世界中で適用しようと試みている米国や西欧諸国は、飢餓を終わらせるために自らの行いを再考しようとは思わないのだろうか。

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI
の調べでは、2010年の世界の軍事支出合計は1兆6300億ドルで、世界金融危機にも関わらず、前年より1.3%伸びている。

 
最大の伸び幅を示したのは南米で5.8%増。金額では633億ドルである。この点についてSIPRI軍事費プロジェクト・ラテンアメリカ専門家カリーナ・ソルミラーノ氏は、「南米の大半の国々は現在軍事的脅威に直面しておらず、むしろ緊急に対処すべき様々な社会問題を国内に抱えている中で、このような軍事費の伸びが続いているのは驚きである。」と語った。南米諸国において軍事費が増大した理由と一つとして、近年における力強い経済成長が挙げられる。一方、南米以外の地域は世界的な経済不況の影響から、軍事費の支出を削減、或いは2010年の伸び率を下回っている。

しかし、何といっても世界最大の軍事支出国は米国である。2001年から09年までは平均年間7.4%の伸びを示し、2010年は前年度2.8%増であった。米国の軍事費増加額196億ドルは、世界全体の増加額206億ドルのほとんどを占めている。

「米国の軍事支出は2001年から81%増加しており、これは世界全体の43%、軍事支出で第二位の中国の6倍の規模にあたります。2010年における米国の軍事支出額が国内総生産(GDPに占める割合は4.8%で、米国は、中東を除けば、軍事費が最も大きな負担となっている国です。」とSIPRI軍事費プロジェクトリーダーのサム・ペルロ・フリーマン博士は語った。

一方欧州は、増大する財政赤字を縮小しようと、各国政府が軍事費削減に努め、前年比2.8%減となった。この傾向は特に経済的により脆弱な中・東欧諸国や、財政危機に直面しているギリシャなどに顕著であった。
 

アジアでも軟調だった2009年の経済を反映し、軍事費の伸びは前年比1.4%増にとどまった。

中東は前年度比2.5%増の1110億ドルで、最も高い伸びを示したのはサウジアラビアであった。アフリカは5.2%増で、アルジェリア、アンゴラ、ナイジェリアといった産油国が牽引役となっていた。

SIPRI
によると、世界の兵器生産企業トップ100社のうち、ほとんどは米国企業である。これに、西欧諸国、ロシア、日本、イスラエル、インド、韓国、シンガポールが続いている。

「アフガニスタン及びイラクにおける戦闘が引き続き、装甲車、無人航空機(UAVs、ヘリコプター等の軍装備売り上げに大きく貢献している。」とSIPRIは分析している。

こうしてみると、世界の武器取引の実に90%以上が、民主主義、自由、人権の擁護者を自認する米国及び西欧諸国によるものである。まさにこれらの国々こそが、いわゆる「自由のための戦争」をとおして、自由の擁護者たる自らの価値モデルを、組織的に世界に押しつけてきたのである。
 
国連の潘基文事務総長は、2010年4月に開催された軍縮に関する国連総会の会合において、「世界には武器があふれており、他方で開発への資金は足りていません。優先順位を変えるべきです。私たちは(軍事予算から)解放された資金を、気候変動対策や、食の安全保障への取り組み、さらにはミレニアム開発目標の達成のために活用することが可能になるのです。」と語った。

大量破壊兵器の絶え間ない脅威から世界を開放すべきだとする様々な呼びかけがなされている一方で、そうした兵器の大半が米国及び西欧諸国によって絶え間なく日々生産・販売されている現実は、意図的に無視されている。例えばこの現実が意味することは、世界が武器購入に費やす年間1兆6000億ドルの資金があれば、気候変動に伴う災害(その大半は主要な武器製造会社によって引き起こされている)から十分地球を救えるということである。

また、人類の6人に1人にあたる10億2百万人が恒常的に飢餓に苦しんでおり、一人当たり1.5ドルの支援を1週間継続するだけで、地球上から飢餓を根絶できることも明らかにされている。


飢えに苦しむ10億の人々を救うのには、年間僅か440億ドルしかかからない。この金額は毎年軍需産業に費やされている1兆6300億ドルからしてみれば、ごく僅かな金額である。


Human Wrong Watch
は2011年8月10日付記事の中で、「アフリカの角」地帯(東アフリカ)の最貧困層が直面している惨状を報告している。「豊かな国々の政治家たちが、選挙支援の見返りに地球規模の金融危機を引き起こした或いは深く加担した民間企業や銀行を救済する一方で、旱魃に苦しむ「アフリカの角」地帯では、穀物やミルクの価格が史上最高値を付けた。」と報じている。

国連は、「こうした食糧の記録的な高騰が、ソマリアで厳しい食糧不足と飢饉に直面している1240万人とみられる人々をさらなる苦境に追い込んでいる。」と報告している。

国連食糧農業機関(FAO
によると、穀物の高騰は、干ばつ、燃料価格の高騰など、複合的な要素によるという。

ソマリアでは、最高時の7月よりは落ち着いてきたが、それでも今月は前年比150~200%を記録している。エチオピアでは50~75%増、ジブチでは67%増などを記録している。

世界の軍事支出と飢餓の問題を考える。(原文へ

翻訳=山口響/IPS Japan浅霧勝浩

 

 

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