|世界人権宣言70周年|国際会議、人権教育の主流化を呼びかけ
【シドニーIDN=ニーナ・バンダリ】
国連の「持続可能な開発目標」の主要な目的である不平等と持続可能性の問題に対処するために人権教育と市民社会の強化への投資がもっと必要だ。―オーストラリアのシドニーで開催されていた第9回人権教育国際会議(ICHRE2018)の主要なメッセージである。
今年70周年を迎える世界人権宣言からインスピレーションを得た今年のICHRE(11月26~29日)は、平和的共存に向けた社会的連帯のツールとして人権教育を主流化し、人権を教育カリキュラムに組み込むこととその実行との間の大きなギャップを埋める努力をするよう、すべてのステークホルダーに勧告した。
|国連|奴隷貿易に関する教育プログラムを促進し、人種差別に警告を
【ニューヨークIDN=サントー・D・バネルジー】
ハイチ系アメリカ人で建築家のロドニー・レオン氏の作品「帰還の方舟」がニューヨークの国連本部に展示されている。奴隷制度と、400年以上にわたって続いた大西洋奴隷貿易の犠牲者を悼むものだ。
この記念碑は、「奴隷および大西洋間奴隷貿易犠牲者追悼国際デー」にあたる2015年3月25日に建立された。この日はまた、一部の欧州諸国や米国のポピュリストにより顕在化してきている人種差別と偏見の危険に対する意識を喚起することをめざした日でもあった。
被抑圧者から社会意識の高い億万長者に上り詰めたインド女性
【バンガロールIDN=スジャ・ラマチャンドラン】
2013年、非鉄金属会社カマニ・チューブ社(KTL、本社ムンバイ)のカルパナ・サロジ会長は、それまでの貿易・産業分野での功績が認められ、パドマ・シュリ(インドで文民に贈られる第四位の勲章)を授与された。
サロジ氏は、銅や銅管を製造するカマニ・チューブ社の再建を託され成功に導いた。彼女は、それまで男性経営者らが再建に失敗していったなかで、成功を収めたのである。
|日本|拘束を解き放って核廃絶に向かう道とは
【東京IDN=浅霧勝浩】
核兵器なき世界を実現する国際的な取り組みに対する日本国内の深い関心は、9月26日の「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」に向けた活動に現れている。この国際デーは、国連総会の決議(68/32)に従って2014年に初めて記念式典が開催された。
核兵器の全面的廃絶の必要性に関する社会の認識を高め、北朝鮮からの脅威や中国との微妙な関係、米国の核の傘によって課せられた拘束を解くことを可能にするためにこの国際デーを利用しようという日本の市民社会の取り組みが、2つのイベントの形で現れた。
|グアテマラ|忘れられた大量殺戮の物語
【ルンド(スウェーデン)IDN=ジョナサン・パワー】
私は1981年にニューヨーク・タイムスの社説面に、中米のグアテマラにおいて、フェルナンド・ルーカス・ガルシア大統領(当時)の直接命令の下で、先住民に対する大規模な残虐が行われていることを伝えるコラムを寄稿した。私は、ガルシア大統領の下でかつて副大統領をつとめたフランシスコ・ヴィラグラン・クレイマー氏より情報を得ていたが、内容は殺戮の証拠を示す決定的なものだった。
私はまた、当時のグアテマラ政府と米国のドナルド・レーガン政権の間の、財政、軍事面における密接な協力関係についてもコラムの中で指摘していた。
新国連人権高等弁務官を巡る毀誉褒貶
【ニューヨークIDN=J・ナストラニス】
チリのミシェル・バチェレ前大統領が8月10日、国連総会本会合において全会一致で第7代国連人権高等弁務官に承認された直後、アントニオ・グテーレス国連事務総長はこうツイートした。「バチェレ氏は先駆者で先見の明があり、信念の人であり、この困難な時代にあって偉大なる人権活動のリーダーです。」グテーレス事務総長は、バチェレ氏の指名を8月8日に国連総会に提案していた。
英国国連協会のナタリー・サマラシンゲ代表も同じ意見だ。同代表は、「バチェレ氏の任命は確かに説得力のある選択です。彼女は、チリ政府の最高レベルで執務した経験、UNウィメンの初代事務局長として国連システムの最高レベルで執務した経験、そして、(ピノチェト軍事独裁政権による)抑圧下で市民社会と協働した経験があります。」と語った。
|視点|ヘイリー国連大使は、自らの誤った「改革」を人権団体のせいにしている(ケネス・ロス ヒューマン・ライツ・ウォッチ代表)
【ニューヨークIDN-IPS=ケネス・ロス】
ニッキ―・ヘイリー氏は、ドナルド・トランプ政権の国連大使としてニューヨークに着任して間もなく、米国を支持しない者は「その名を書き留める(相応の対応を取る)」と述べた。当時ほとんどの人々は、ヘイリー大使は国連安全保障理事会(安保理)で米国の主張に反対した国々のことに言及しているのだと考えた。
しかし、最近になってヘイリー大使はヒューマン・ライツ・ウォッチやアムネスティ・インターナショナルに対する非難を始めた。ヘリテージ財団の会合で登壇したヘイリー大使は、両人権団体が、自身が提唱している国連人権理事会の改革案に反対することで、「ロシアと中国の側についた」と述べたのだ。
アジアの「性産業」における搾取の構図
【HIV/AIDS研究事業現地取材からの抜粋】
アジア各国の社会は、売春業に携わる者を伝統的な社会秩序を乱すものとして差別し、エイズ対策においても、売春業従事者の人権の保護というよりも、むしろ善良なる一般人口を売春業従事者によるHIV/AIDS感染の脅威から如何に守るかという視点の方が支配的である。
これは、青少年達を売春業に追いやる社会的・文化的プッシュ要因や青少年を「性的商品」として搾取し続ける「性産業」そのものを支えている社会の「買春需要」に対して十分な認識がなされていないためと考えられる。
人権教育の力に焦点をあてた展示会
【ジュネーブIDN=ラヴィ・カントゥ・デヴァラコンダ】
国際的な市民団体や各国政府が手を結び、人権教育が人々の生活を変革する力に光を当てている。「人権教育および研修に関する国連宣言」採択5周年を記念して、3月6日に展示「変革の一歩‐人権教育の力」が国連欧州本部で開幕した。
3月17日まで開催予定の展示は、排外主義や偏見、不寛容の傾向が社会で強まる中、「尊厳・平等・平和を促進し、人権侵害を防止するうえで人権教育および研修が果たす重要な役割を強調するもの」になっている。
戦争の悪化を防ぐジュネーブ条約
【ジュネーブIDN=ジャムシェッド・バルーア】
戦時下にある国に住んでいる人、または近隣諸国が戦闘状態にある国に住んでいる人々の圧倒的多数が、「戦争にも制限をかける差し迫った必要性があると考えている」との新たな調査結果が出た。そうした国々の回答者の約半数が、ジュネーブ諸条約が紛争の悪化を防ぐと考えていた。
しかし、国連安全保障理事会の5常任理事国(P5)の国民は、民間人に被害と苦しみが生じることについて、紛争地や近隣諸国に住む人々よりも、「戦争の避けられない部分として仕方がない」と考える傾向にあるようだ。