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5つ星検問所にエルサレムの更なる分断を疑う住民

【東エルサレムIPS=ジリアン・ケスラーダムール】

 

ここはエルサレム市街とシュアファットパレスチナ人難民キャンプの境に昨年設けられた最新の検問所。モダンな造りの真新しいアルミ製の屋根の下では、東エルサレムの同難民キャンプからエルサレム市街に通うパレスチナ人乗客で混み合うバスが停車しており、2人のイスラエル軍兵士が、一部の乗客を降ろしでスペースを空けさせ、自らバスに乗り込んで乗客の身元確認をしている。

検問所の反対側には、シュアファット難民キャンプを取り囲むように建設された巨大なコンクリート製の隔離壁がそびえたっている。この難民キャンプは、地図上はエルサレムの境界線の中に位置しているが、この分離壁によって他の市街地からほぼ完全に隔離されており、人口が密集した高失業率が蔓延する貧困地区である。

 
「あれは5つ星の検問所ですよ。」と語るのは、同難民キャンプの唯一の女性センター(女性・子供に社会心理・教育・エンパワーメントサービスを提供)で、プロジェクトと資金集めを担当しているファーディ・アバッシさんである。

シュアハット難民キャンプの人口は20,000人以上で、その約半数はエルサレム居住権があることを示すブルーIDカードを所持しています。しかしIDカードの持ち主でも、エルサレム市内の職場や学校に通ったり、市当局による行政サービスを享受するためには、必ずこの検問所を通過しなければならない。

「イスラエル当局は、私たちをエルサレム市の住人ではなく、訪問者に変えたがっているのです。」「イスラエル当局は、私たちを仕事も収入も、市からの行政サービスもない状態にあえて放置することで、私たちがコミュニティーを発展させる機会を与えないように企図しているのです。」とアバッシさんは語った。

5月20日、3万人以上のイスラエル人右派の人々が、1967年の東エルサレム奪還(彼らの言う所謂)「エルサレムの再統一」から45年目となる「エルサレムの日」を記念するデモ行進を、パレスチナ人居住区付近で行った。イスラエル政府は、1980年にエルサレムは「永遠の分かつことのできない首都」と宣言しているが、イスラエルによる東エルサレム併合は、未だに国際社会の承認を得られていない。

シュアファット難民キャンプが直面している状況は、イスラエル政府の公式説明とは矛盾するものである。政府は(同地区を含むはずの)エルサレム市が、統一された街で、全ての住民が等しく行政当局からのサービスを享受しているとしているが、住民の生活水準や市当局のサービスへのアクセスは、隔離壁を境に両サイドで大きく異なっているのが現実である。

イスラエル公民権協会(ACRI
は、先月公表した報告書「東エルサレムにおける放置政策」の中で、「東エルサレムが今日置かれている深刻な状況は、何と言っても、イスラエル政府が政策的に作り出したものである。政府は数十年に亘って、あらゆる面で東エルサレム地区を衰退させる政策を推進してきた。」と記している。

ACRI
の推計によると、現在東エルサレムには360,800人以上のパレスチナ人が居住しており、そのうちの78%が最低生活水準以下の暮らしをしている。また、エルサレム市在住の子どもの84%が貧困の中に生きている。

「イスラエルの法律も国際法も、イスラエル政府に対して東エルサレムの住人の権利を守り、彼らの置かれている特有の政治状況に対応した解決策を模索するよう義務付けている。にもかかわらず、中央政府も市当局も、そうした義務を意図的に放棄する政策を45年以上に亘って採用し続け、東エルサレムの住民の基本的人権を侵害してきた。」とACRIは同報告書の中で記している。
 
エルサレムは、かつては、パレスチナ人にとって活気のある経済・文化・政治生活の中心地であった。しかし今日では、パレスチナ人居住区とエルサレム市街地を分断する隔離壁と検問所のために、パレスチナ系市民がエルサレム市街地に行くことは、不可能とまではいかないまでも、大変困難なものとなっている。

現在、分離壁によってエルサレム市街地から分断されているパレスチナ系市民の数は、シュアファット難民キャンプの住民を含めて約90,000人とみられている。

「シュアファットパレスチナ人難民キャンプは、政治的に非常にデリケートな地区でもあります。つまり、(同地区がエルサレムの一部という行政区分の一部であることから)パレスチナ自治政府は立ち入ることができません。その一方で、(本来管轄権がある)イスラエル警察当局も、(住民を恐れて)立ち入ろうとはしないのです。」と国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWAのイローナ・カシッシエ報道官は語った。

UNRWA
は、ヨルダン川西岸地域(ウエストバンク)、ガザ地区、ヨルダン、シリア、レバノンの難民キャンプに点在する約500万人のパレスチナ難民に対する支援活動を展開している。そしてシュアファット難民キャンプでは、3つの学校と、診療所、及び様々な社会プログラムを実施している。

またカシッシエ報道官は、「パレスチナ系エルサレム市民にも、一応エルサレムへの通行と就労する権利は認められているので、皆職を得ようと(隔離壁の向こうの)市街地にお赴きます。しかし現実には、パレスチナ人への就労の機会は極めて限られているので、この難民キャンプも、高い中途退学率と失業率に悩まされているのです。」と指摘したうえで、「シュアファット難民キャンプの人口の大半は若年層が占めているので、教育及び社会プログラムを提供していくことが極めて重要です。」と語った。

シュアファット難民キャンプで生まれ育ったバラア・ガイスさん(25歳)も、教育を通して若者の未来を変えたいと、熱心にボランティア活動に取り組んでいる一人である。ガイスさんは週に4回、難民キャンプの女性センターで、12歳から18歳の若者を対象にした健康関連のワークショップを開催している。

「年配層の中には、私たちが行っている若者達との取り組みを快く思っていない人たちが少なくありません。それでも、私は子供たちにもっと教育を施して自信を持たせる手助けをしていきたいと思っています。」とガイスさんはIPSの取材に応じて語った。

「難民キャンプの大半の人々は、なんとか生きていくための方策を必死で探しているだけなのです。彼らの望みはそれだけなのです。」とガイスさんは語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

 

 

 

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