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|米国メディア|選挙、暴力、天災が2012年報道の首位を占める

 

【ワシントンIPS=ジム・ローブ】

 

権威あるティンドール・レポートが発表した最新の報道年次報告によると、2012年の間に米3大ネットワーク(ABC, CBS, NBC)が取り扱ったイブニングニュースで首位を占めたのが、大統領選挙(1位)、米国内及び中東における暴力事件(2位)、米国を襲った天災に伴う事件(3位)であることが明らかになった。

また同レポートによると、ロンドンオリンピックと英王室関連のニュースが、シリア内戦関連のニュースを除いて、いかなる国やニュースよりも大きく取扱われるなど、2012年は英国が注目を大きく浴びたことがわかった。

 
年間で海外報道のトップを占めたシリア内戦関連の報道時間は461分で、3社合計総放送時間の約3%を占めている。米国ではこれら3大ネットワークによるイブニングニュースが、国民の大半にとって最も重要なニュース情報源となっている。
 
ロンドンオリンピックと英王室関連の報道時間は、シリア内戦関連報道とほぼ同じの377分であった。これはシリアの次に海外報道で首位を占めた「ベンガジにおける駐リビア米国大使と3名の駐在員の殺害事件(163分)」と「アフガニスタンにおける戦闘関連の報道(158分)に関する報道時間の合計を上回っている。

なお、これらのニュースを除けば、海外関係のニュースに関しては最低限か或いは全く取り上げられていなかった。ティンドール・レポートは、過去20年以上に亘って、3大ネットワークで平日に放映されるイブニングニュースの内容を統計にして蓄積している。

メキシコ
については、移民問題と麻薬関連の話題が議論を呼んでいるにもかかわらず、集計によると、3大ネットワークが2012年に放送した時間は合計で44分に過ぎなかった。しかしそれでもラテンアメリカのどの国よりも遥かに取り上げられていた。

ティンドールの創設者で発行人のアンドリュー・ティンドール氏は、「(震災後の復興が遅々として進んでいない)ハイチや(ベネズエラのウーゴ・)チャベス大統領の病気と選挙に関するニュースはほとんど報じられませんでした。また、コロンビアについては、大統領警護隊(シークレット・サービス)によるスキャンダル以外では、全く報じられていません。」と指摘した。

コロンビア
のカルタヘナで行われた米州首脳会議で、バラク・オバマ大統領の警護隊員11人が夜にホテルへ売春婦を連れ込んだとされるスキャンダルについて、3大ネットワークは54分を割いて報じた。この報道時間は、メキシコ関連の全報道時間を10分上回っている。

またティンドール氏は、「同様にアフリカのサブサハラ地域についても、昨年新たに誕生した南スーダンや、『神の抵抗軍』の指導者ジョセフ・コニーの逮捕を目的としたビデオキャンペーン『Kony2012』について割かれた報道時間は2012年を通じて僅か30分以内に留まっています。」と語った。

オバマ政権が高らかに宣言したアジア・太平洋重視の外交政策や同地域における緊張の高まりについても、3大ネットワークの関心は最低限のものに留まった。

米国経済に深刻な影響を及ぼし、今も依然として高いリスクをもたらしているユーロ圏危機に関する報道は、総計で87分だった。この数値は、英国王室関連に割かれた報道時間の4割減に過ぎない。

「私たちは、グローバル化する経済と文化の中に生きています。最新年次報告の結果が示しているのは、アメリカ人が相互依存を深める世界の現状を理解する能力が、いかに主流メディアによる表面的でかすめるような海外報道により阻害されているかという現実です。」と、ジョージ・ワシントン大学のロバート・エントマン教授(コミュニケーション・国際問題)は指摘した。

フォックスニュース
CNNMSNBCといったケーブルテレビチャンネルも今日では重要なニュース情報源として幅広く認知されてきているが、3大ネットワーク(ABC, CBS, NBC)の平日のイブニングニュースの視聴者数は、依然としてケーブルテレビ視聴者総数の約7倍にのぼり、両者の視聴者総数は2000万人を上回っている。

ティンドール・レポートが集計対象としているABCCBSNBCの3大ネットワークは国内/国際ニュースに年間合計約15,000分を、あるいは夜の30分ニュース番組のうち約22分を費やしている。前回の大統領選挙の年(2008年)の際と同じく、2012年も大統領選挙関連の報道が全体の15%を占める2016分でトップとなった。ティンドール・レポートは、「選挙期間中に国内関連の報道が増える分、海外報道に割かれる時間が犠牲に傾向にあるが、2012年も例外ではなかった」と分析している。

さらに個々のトピック毎に2位以下を見ていくと、「シリアにおける暴力」(461分)、「ハリケーン・サンディ」(352分)、「ロンドンオリンピック」(246分)、「連邦赤字を巡る党派間の論争」(206分)が続いている。なお、「リビア危機」は8位、「アフガニスタン」は10位、そして「英国王室」関連報道は、国内・海外報道総合トップ20の中の16位だった。

天災関連の報道では、「ハリケーン・サンディ」以外では4つのトピック、すなわち「全米各地に発生したトルネード被害」、「夏に西部を襲った山火事」、「年初の大寒波」、「昨年8月にカリブ海地域と米国のメキシコ湾地域に甚大な被害をもたらしたハリケーン・アイザック」がトップ20入りした。

3大ネットワークは、これらの天災関連のトピックに合計で年間報道時間全体の約7%にあたる1000分近くを割いている。しかし、「ハリケーン・サンディ」が報道される以前の段階で、こうした天災と気候変動の関連性を追求する報道は全く見られない。

「しかも、該当する報道は、ハリケーン・サンディ関連報道の一週目に、海面上昇と地球温暖化の関連性を取り扱った1コマのみで、この気象コーナーの視点は、他ではほとんど報じられませんでした。」と、ティンドール氏は語った。
 
一方、欧州の大寒波、オーストラリア・ブラジル・中国・フィリピンの洪水、アフリカサヘル地域の旱魃といった全米以外の天災を取り扱ったトピックについては、3大ネットワークでは、せいぜい2次的な取り扱いを受けるに留まった。

また、北極及びグリーンランドを覆っている氷が予想を上回るペースで溶けている現象を3大ネットワークが取り上げた報道時間は、合計で僅か9分であった。

カリフォルニア大学サンディエゴ校のダン・ハリン教授(コミュニケーション)は、気候変動に関するトピックが3大ネットワークの報道に欠落している点について、「もう長年に亘って状況は変わっていません。『ハリケーン・サンディ』は、この問題についてなにがしかの議論をはじめる契機になったようですが、報道全体をみるかぎり、依然として気候変動に関する議論は驚くほど欠落しています。」と語った。

純粋な海外報道(明白な米国の外交政策の視点を含まなかったもの)では、「シリア情勢」がトップを占め、2位が英国関連の2つの報道(「ロンドンオリンピック」「エリザベス女王即位60周年記念」)、3位は「エジプトの政治的混乱」(93分)であった。エジプトは、ムバラク大統領が失脚した2011年版の集計では2位にランクインし、放送時間も今回より5倍長かった。

海外報道6位は「イタリア豪華客船沈没事故」で、以下、「イスラエルーパレスチナ紛争(主にイスラエル軍によるパレスチナ侵攻)」(76分)、「2011年東日本大震災・津波のその後」(45分)、「ギリシャ反緊縮デモ」(38分)、「イラン核開発疑惑」(37分)、「パキスタンの女子就学キャンペーン」(34分)が続いている。

「(3大ネットワークの海外報道だけを見ると)米国以外の世界では、あたかもオリンピック・ゲームと王室の儀式や暴力しかないかのような印象を受けてしまいます。もちろんこうしたトピックに注目するのは当然ですが、世界にはもっとはるかに重要な出来事が起こっているのです。」と、エントマン教授は指摘した。

また、メディア報道の公平さ正確さを求める監視機関FAIRのピーター・ハート解説者は、「米国のニュース放送で報じられる世界情勢は、極めて範囲が限られたものと言わざるを得ません。昨年英国王室にかなりの注目が注がれたことは、米国の企業メディアが海外ニュースについて何が重要だと考えているかを、よく物語っています。」と指摘した。(原文へ

翻訳=IPS Japan


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