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|エジプト|軍最高評議会、「エジプトにホメイニ師はいない」と語る

 

【カイロIDN=バヘール・カーマル】

 

ムバラク大統領失脚後エジプトの権力を握っている軍最高評議会は、2月5日、「エジプトはガザにもイランにもならないし、アヤトラ・ホメイニ師のような人物に統治されることもない。」という強い調子の声明を発表した。声明のあて先は、ムバラク失脚後幹部の入れ替わった国営メディア各社のディレクターや編集長たちである。

声明ではまた、「国の指導が民間人に移り、民主国家が打ち立てられ、新しい議会と大統領が選出されれば、(軍が)街頭に出ることはなくなるだろう」とも述べられている。

この声明は、米国のヒラリー・クリントン国務長官が、ムスリム同胞団が権力をとることを否定しない趣旨ともとれる発言をした直後に出された。

クリントン長官は、エジプトのオンライン新聞「マスラウィ」が企画した一般市民の質問に答える中で、(ムスリム同胞団の将来的な政権獲得についてどう思うかとの問いに対し)「暴力を否定し、民主主義に従い、全てのエジプトの民衆の権利を擁護する全ての政党は、エジプトの有権者の審判を仰ぐ機会を持つべきです。」と答えた。

 
クリントントン長官のこうした見解は、シリアにおける民主化蜂起の際にも表明されているが、これは次の改革段階において、アラブ諸国のムスリム同胞団が軍とともに政権運営を担うことを、米国政府としてもはや拒否しないとするバラク・オバマ政権の新しい外交方針の流れを踏襲したものである。

他方で、米国内の強硬派は、ムスリム同胞団が力を得ることに強い警戒感を示している。下院外交委員会の有力議員イリーナ・ロス-レティネン氏(共和党)は、「私たちは、エジプトにおける一連の民主化の動きを利用して政権を奪取し、エジプト国民を虐げ、エジプトと米国、イスラエル、その他民主主義国家との外交関係を著しく傷つける恐れがあるムスリム同胞団他の原理主義団体が、選挙プロセスに関与することを明確に拒否しなければならない。」と述べ、ムスリム同砲団はエジプトの政治過程から排除されるべきだと主張した。

また、ネオコンの論者チャールズ・クラウトハマー氏もワシントンポストの特別ページ(2月11日付)の中で、「自由を求める『長い黄昏時の闘争』の中で、イスラム主義者が共産主義者にとってかわってしまった。」「かつて冷戦期に、欧州における共産党支配を戦ったように、今後の米国の外交方針は、新たに解放されたアラブ世界において、ムスリム同胞団や共産党といった全体主義政党が、暫定政権・民主政権を問わずいかなる政権にも参画しないよう働きかけることである。」と警告した。同氏は、ソ連崩壊後の米国による世界覇権を祝してフォーリン・アフェアーズ誌で発表した論文“The Unipolar Moment”において、「一極構造 Unipolarity」という用語を生み出した人物である。

欧州の政界やメディアも概ねこうした米国のネオコン、新自由主義論者による警告に同調する論陣を張った。

しかし、ムスリム同砲団は、今秋に予定されている次のエジプト大統領選挙に候補者を出す可能性、さらにこの夏の議会選挙で多数を目指す可能性のいずれも否定しており、政権奪取の意図が(少なくとも今は)ないことを引き続き表明している。
 
 
ムスリム同胞団の活動は旧ムバラク政権の下で非合法化され、指導者が繰り返し投獄されるなど激しい迫害に晒されてきた。にもかかわらず、ムスリム同胞団は、旧ムバラク時代の与党である国民民主党を除く他のいかなるエジプト諸政党よりも巧みに党員の結束を保つことに成功したようである。

ムスリム同胞団は一方で、3月19日の憲法改正案を問う国民投票には積極的に動いた。憲法改正を支持した主な勢力は、国民民主党(その後多くが離党して新エジプト青年党を結成、国民民主党自体は4月16日に解散した:IPSJ)とムスリム同胞団だけで、民主革命後に結成された「若者革命連合」、「変革のための国民協会」(ノーベル平和賞受賞者モハメド・エルバラダイ氏が設立)等全ての政党は、のきなみ反対に回り、国民投票のボイコットを呼びかけた。その理由は、改正憲法案が、一党独裁を廃し政党の形成を促進する一方で、現在の大統領権限にほとんど手をつけておらず、シャリーアと呼ばれるイスラム法が引き続き法の基礎(憲法第2条)に位置付けられているからである。

こうした野党諸政党によるボイコットの呼びかけにも関わらず、国民投票ではエジプトの圧倒的多数(77%が賛成)の国民が憲法改正案を支持した。その背景には、エジプト国民がまだ自由選挙に慣れていないのと同時に、今回の国民投票が彼らにとって初めて自由に投票できる機会と捉えられていたという事情がある(投票率は41%という異例の高さだった)。(原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩


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