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オバマ政権、自動車排気ガス削減の新方針を発表

【ワシントンIPS=キャリー・バイロン】

 

バラク・オバマ政権は、より無害なガソリンと効果的な技術によって、乗用車から排出される有害ガスを40~80%削減する提案を行った。(米国では40年間地球温暖化や自動車の排気ガス規制の必要性が叫ばれていたが、京都議定書への加入を頑なに拒んできたジョージ・W・ブッシュ政権の8年間に、進展は見られなかった:IPSJ)環境保護論者や公衆衛生擁護者らは、この長く待ち望まれた提案を歓迎している。

 

米環境保護庁(EPAは3月29日、遅れていた提案を発表し、新しい規制措置によって毎年約2400人の死亡と児童の呼吸器系障害2万3000件を避けることができる、と述べた。ガソリン中の硫黄成分を3分の2削減する主要措置をとると、米国の道路から3300万台の自動車(全体の8分の1)を削減することに相当するという。

 

「第3次排ガス規制(Tier 3)」基準として知られるこの新提案は、公示期間を経て正式に採用されると、2017年までに発効することになる。EPAは、この措置によって2030年までに得られる健康上の利益は、米国だけでも230億ドル分に上ると推定している。つまり、1ドル投資するごとに7ドルのリターンがあることになる。

 

EPAのボブ・パーシアシープ長官代理は29日、「この常識的なクリーン燃料・乗用車基準は、財政的に問題がなく、実行可能な方法で環境と公衆衛生を守る模範を新たに示したものだ。」と語った。

 

「本日提案された基準は数千人の命を救いもっとも弱い人たちを守るものであり、公衆衛生を守る我々の新たな取り組みとなります。またこれによって、全米50州すべてにおいて同じ自動車のモデルを提供する必要があるという確実性が自動車産業に与えられることになります。」と語った。

 

実際、自動車産業もこの新規制の主要な推進者である。というのも、現在の連邦規制は全米で最も厳しいとされるカリフォルニア州の規制(2002年当時の温室効果ガス排気レベルを2016年までに30パーセント削減。2020年までに販売される車の50%以上がマイレージ42.5マイルper gallonの基準に達することとなっている。全米基準は35mpgIPSJ)よりも緩いために、自動車メーカーは異なったモデルを提供する必要があったからだ。先週、ホワイトハウス関係者と会談したメーカー側はこの点を強調し、新基準が「きわめて重要」だと訴えていた

 

EPAの新基準はカリフォルニア州の基準にかなり近づいた、と評価されている。日本と欧州連合はすでに、硫黄に関するほぼ同等の基準をそれぞれ適用している。

 

「これは、クリーン乗用車に関するオバマ大統領の2度目の満塁ホームランと言ってよいでしょう。大統領はすでに燃料経済性を2倍にする規則を適用していますが、今回は、自動車から排出された大気汚染物質が大幅に減らされることになると思います。」と語るのは、監視グループ「憂慮する科学者同盟」(UCS)のクリーン乗用車プログラム副責任者であるデイビッド・フリードマン氏だ。

 

「さらに、大統領がついに石油産業に対してさらなる措置を要求したのです。自動車産業がこの問題で支援を約束したのに対して、石油産業は責任を果たそうとしていない点には注意しておくべきです。」とフリードマン氏はIPSの取材に対して語った。

 

1ガロン当たりわずか1セント

 

新しい提案の賛成派は、最近数か月の言葉の上では高い目標を掲げた約束に引き続いて、これをオバマ政権第2期の最初の主要な環境政策だとみている。また、規制の強化という形をとることで、オバマ政権は、環境問題に関する対立が続いている米議会をバイパスしてこれらの公約実行を開始することができる。

 

自然保護団体「シエラ・クラブ」のマイケル・ブルーン執行役員は29日、「期待されていたこれらのよりクリーンな排出基準によって、オバマ大統領は、我々の公衆衛生を守り、彼自身のクリーンエネルギーに関する業績に傷をつけない強力な一歩を踏み出したと言える。」と指摘したうえで、「こうした清潔な大気の保全に乗り出したということは、公衆衛生を改善し、我々の自動車をクリーンにする常識的なステップであると同時に、汚染を続ける強大な石油産業に責任を取らせることになるだろう。」と語った。

 

遅れていた「第3次排ガス規制(Tier 3)」基準の導入に強く反対していた石油産業は、新提案にあくまで反対し続けることをすでに明らかにしている。29日、通商団体である「米国石油研究所」(API)は、既存の規制は十分機能しており、新しい基準を要求することで消費者に相当のコストが転嫁されると警告した。

 

APIのボブ・グレコ氏は声明で「新基準を実行すれば、エネルギー集約的な機器を改修する必要があり、実際には温室効果ガスの排出は増えてしまうだろう……不必要な規制を行えば、単にコストが増加し、雇用は失われるだけだ。」と語った。

 

APIの委託した調査の推定では、新提案によって[ガソリン価格が]1ガロン当たり9セント増加する可能性があるが、EPAではもっとコストは抑えられるものと予想している。EPAによれば、たとえば、精錬方法を変えるために発生するコストは1ガロン当たり1セント以下であるが、他方で、新技術によって2025年までに車両価格は130ドル上昇するという。

 

UCSのフリードマン氏は、「石油会社が言うことを聞いていると、まるで、人びとを清浄な空気から遠ざけようとしているかのようだ。彼らの出す数字は科学やデータに基づいていない」と話す。「1ガロン当たり1セントぐらいなら消費者に転嫁されることはないだろうし、もしそうだとしても、それに気づく消費者がいれば驚きだ」。

 

フリードマン氏は、この10年ほどで米国のガソリン価格は2倍になったという。今年の初めの3か月だけでも、1ガロン当たり40セントも上昇している。

 

「これこそまさに、自動車産業が賛成に回っている理由です。」「ガソリン価格が上昇し、経済が右肩下がりに急落したこの数年で、彼らは大きな警告を受け取ったのです。多くの自動車メーカーが、ガソリンの浪費というこの国の問題に消費者が対処できるような製品を生み出してこなかったことに気づきだしているのです。」とフリードマン氏は語った。

 

圧倒的支持

 

しかし、石油産業は依然としてワシントンにおけるきわめて強力なロビー集団であり、すでに賛成・反対入り乱れて、議員らによる議論が始まっている。しかし、最近の調査では、米国の世論はかなりの差で強力な規制を支持している。

 

米国肺協会(ALA)が1月に行った世論調査では、よりクリーンなガソリンと車両を要求するEPAの目的に対して、62%対32%の割合で支持が集まった。ALAは3月29日、新規制を今年末までに実施するようEPAに訴えた。

 

ALAが行った米国の大気状態に関する昨年の調査によると、40%以上の米国市民が、連邦の基準で呼吸に有害な汚染レベルであると考えられる地域に住んでいることがわかっている。

 

他方、石油は米国の地球温暖関連排出の最大の源泉であり、交通部門はそのうち約7割を占める。UCSのフリードマン氏によると、米国の軽量乗用車・トラックからのCO2排出だけでも、インド経済全体の排出量に匹敵するという。(原文へ)

 

翻訳=IPS Japan

 

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