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民衆蜂起がアルジェリアに拡大

【カイロIPS=エマド・ミケイ】

 

アルジェリアの経済政策は僅か3か月前には国際通貨基金(IMF)や欧米金融機関から称賛されたばかりだが、この経済政策の失敗と、住宅不足や食料価格高騰などをきっかけとした民衆蜂起が1月5日に勃発し、その後4日間で、少なくとも3人が死亡、数百名が負傷している。

そのチュニジアでは、欧米の支援を得てそれまで専制的な支配体制を敷いてきたザイン・アル=アービディーン・ベンアリ大統領の経済政策に対する民衆の不満が爆発、少なくとも78人が死亡している(同大統領は1月14日に国外に脱出して政権が崩壊した:IPSJ)。

アラブ両国における民衆の抗議運動について、当初欧米メディアは無視したが、事態が拡大すると、米国政府も注目するようになった。

 
著名なネオコンでジョージ・W・ブッシュ前大統領の中東顧問を務めたエリオット・アブラム氏は、外交問題評議会(CFR内の自身のブログの中で、「チュニジアは『重要な国ではない』が、今回の蜂起が中東諸国にもたらしかねない危険な影響にについて警戒しなければならない。」と述べている。

チュニジア政変の影響は、隣国のアルジェリアにまもなく現れた。アルジェリアは、ロシア、米国、カナダ、イラン、ノルウェイに次ぐ天然ガス産出量世界第6位の国で、欧州全体のガス需要の20%を供給している。

アルジェリアの民衆蜂起では数千人の若者が警察に投石し、タイヤを燃やし、郵便局、銀行を襲撃した。彼らは、生活水準の向上とアルジェリアの豊かな石油収入の分け前を要求した。

両国における民衆蜂起の模様は、アラブ地域において幅広く報道されており、欧米諸国の政府・メディアが作り上げた「穏健派」イメージに反して自国民に対して残虐な独裁制をしいてきた政権に対する民衆の不満の高まりと受け止められている。

コラムニストのファハミ・ホウェイディ氏は、チュニジア蜂起がアルジェリアに飛び火する数日前、いくつかのアラブ紙において「チュニジアの蜂起は、全てのアラブ支配者に対する警告である。飢餓と貧困に喘ぐ民衆の革命をこれ以上無視することはできないだろう。チュニジアで起こったことの教訓は、専制政治は政権の延命を図ることはできても、永遠に体制を維持することはできないということだ。チュニジア蜂起を誘発させた類似の状況は全てのアラブ諸国が抱える共通の問題である。」と記した。

現在アラブ社会においては、アルジェリアとチュニジアの「蜂起」に関する記事が、著名なポータルサイト「Masrawy」、オンライン紙「AlMesryoon」(エジプト)、アルジャジーラ、Alarabiya.net.等、多くの独立系アラブニュースのヘッドラインに掲載されている。こうした中、Yahooのアラブ版でさえ、まもなく両蜂起に関する報道を開始した。
 
 
他のアラブ諸国と同様、アルジェリアのアブデラズィズ・ブーテフリカ政権は、莫大な石油収入にも関わらず、腐敗しており無能だと考えられている。石油輸出国機構(OPECによれば、石油、天然ガス価格上昇などもあってアルジェリアの2010年における石油収入は増加したが、特権層を除いて一般市民にその利益が還元されていない。

同様に、チュニジアのベンアリ大統領は、同国地中海沿岸の観光開発に尽力する一方で、国民の大半が直面していた貧困・失業問題に対して有効な対策を打たなかった。

両国に共通する特徴として、一部資産家層の豪華な生活、縁故主義、住宅取得を巡る政府の便宜を狙った贈賄の横行等が挙げられるが、こうした問題は民衆の不満の原因として長年に亘って燻り続けてきた。

人口3600万人のアルジェリア国民の多くは日々の生活に困窮しており、特に住宅難の問題は深刻な状況に陥っている。一方で、同国の国営エネルギー企業「Sonatrach」は、昨年大きなスキャンダルに見舞われた。一部の幹部およびその家族が、違法な契約により個人的な利益を得た疑いが出たのである。

今月初めに起こったアルジェリア民衆蜂起の直接のきっかけは、小麦粉や油、牛乳、砂糖などの食料価格が蜂起直前の4日間で30%も上昇したことにあった。

こうした中、多くのアルジェリア国民は、隣国チュニジアの民衆が従来の従順なイメージをかなぐり捨てて抗議活動を行っている姿をテレビで見て触発され、自らも通りに出て積年の不満を政府官庁や郵便局、銀行等を襲撃することで発散させたのである。

これを受けて、ムスタファ・ベンバダ貿易相は、1月8日、急速に高騰する食料価格を引き下げざるを得なくなった。国営アルジェリア通信は、同貿易相が、食糧費の価格を14%引き下げる措置を発表したと報じた。

アルジェリア発のいくつかのブログによると、抗議参加者は依然として、政権側により政治腐敗の問題、ますます拡大し続けている貧富の格差、そして欧米諸国を後ろ楯に職権を乱用してきた独裁的な政府与党に対して大いに不満を持っている。そうした中、抗議活動は引き続きアルジェリア国内の数都市に飛び火している。

「アラブ世界全体において、私たちは狼の餌食になるべく取り残されている状況だ。」とボサードと名乗るブロガーは記した。

「アルジェリアは弱肉強食のジャングルと化している。貧富の格差は刻一刻と広がり続けているのだ。」とラベイと名乗るブロガーは記した。

またサワンというブロガーは、「変革を求めて抗議に立ち上がった若者よ、祖国は君たちを見守っている。」と記した。(原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩

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