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|アフリカ|規制で土地収奪の恐怖を緩和できるか

 

【ストックホルムIPS=ブサニ・バファナ】

 

アフリカ大陸全土に亘って横行している国際投資家による「Land Grabs=土地の掴みどり」から、農地を失い飢えに困窮する小規模農家を保護する国際的な規制がなされるべきだ。

「欧州開発デー」に開催された国際会議に参加した農業団体、市民社会組織、研究者の代表は、広大な土地が外国政府や企業に対して販売・貸し出されていることに伴う悪影響について懸念を表明した。


彼らは、このような土地収得がアフリカの小規模農家の生産性と、ひいてはアフリカ全体の食糧自給能力を阻害するのではないかと恐れている。

 
東アフリカ農業者連盟 (EAFF)は、「このような土地取引は地元農民を除外しており、その結果彼らの生活が脅かされている。」と主張している。


「私たちはアフリカで大規模土地収得の実態を見てきました。この傾向は最近の食糧、エネルギー危機を背景に益々加速されています。」と、フィリップ・キリロEAFF会長は語った。


「土地収得の犠牲者たちは農業で生計を立てている人々ですので、どのような取引がされているか心配なのです。誰が当事者かといえば、政府対政府か民間企業対政府という構図で、そこには現地の人々や地元の民間セクターが介在していません。私たちは、土地管理について地元住民と十分に向き合った政策が確保されるよう政府に働きかけています。」


キリロ会長は、
国際連合食糧農業機関(FAOによる2008年報告書の統計を引用し、「アフリカ大陸には推定8億ヘクタールを超える耕作可能地があるにも関わらず、わずか1億9700万ヘクタールの土地しか耕作されていません。」と語った。

「土地収得の標的となっている土地は、主に政府の管理下にあるそのような未耕作地ですので、土地取得に関わる人々は、そもそも地元の人間が耕作できないに土地を扱っているという意識を持っています。しかし実際の状況は異なっています。もし基本的な設備と技術さえ取得できれば、地元農民はそうした未耕作地を喜んで耕作したいのです。」とキリロ会長は語った。


キリロ会長は、「土地収得に関しても、地元小農民が生計を失うことを防止するため、抑制と均衡の原理を働かせることが極めて重要です。例えばケニアのタナデルタでは4万ヘクタールに及ぶ土地が1人のカタール人投資家に貸与された結果、地元農民達が自らの土地を追われる事態が起こっています。」と語った。


今年発表された調査報告書「土地の掴みどりかそれとも開発の機会か?」によると、世界的な物価高を背景に、新たな農地獲得に対する関心が高まっており、過去18カ月の間に、国際投資家達は食物及びバイオ燃料を輸出するための穀物生産を目的に、広大な土地の借地契約を進めている。


FAO
、国際農業開発基金(IFAD)、国際環境開発研究所(IIED)の3機関の共同制作によるこの調査報告書は、エチオピア、ガーナ、
マダガスカル、マリの4カ国に於いて、2004年から2009年の間に行われた1000ヘクタール規模以上の土地取引について分析を行っている。


同報告書によると、4カ国合計で約200万ヘクタールの土地が外国権益に貸与されており、その中にはマリにおける1万ヘクタールのプロジェクトやマダガスカルでは実に45万ヘクタールに及ぶ土地を使用したバイオ燃料プランテーションが含まれている。カミラ・トゥールミンIIED所長は、「外国投資家に割り当てられている土地には農地として高い価値のものも少なくありません。」と語った。
 

 
また、アフリカ・アジア・ラテンアメリカの主要途上諸国に支部を持つ農業ロビー団体GRAINのヘンク・ホベリンク氏は、「いくつか憂慮している点があります。例えば、農業分野に今まで携わったことがない会社や企業が、今や世界各地で大規模な土地獲得に乗り出してきている状況です。」と語った。


GRAIN
では最近、土地・水・天然資源を新たな財を生み出す新商品として投機の対象としている金融部門の120社のリストをまとめた。


「確かに農業部門への投資は必要です。しかしそれは世界の農民達が土地に留まれる(=耕作できる)ような投資であって、彼らを土地から追い出すものではありません。もし、各国政府・企業が、少なくともアフリカに関して、大規模なモノカルチャー(単作栽培)によるプランテーションを志向しているとすれば、それは大きな誤りです。」とホベリンク氏は語った。


「私たちは、世界の食糧生産と農業の未来を、銀行が大半を占める民間企業の手に、本当に託していいのだろうか?」


アフリカ緑の革命のための同盟(AGRA
のアキン・アデシナ副理事長は、「アフリカにおける土地売買・貸与取引は、透明性を確保したルールのもとで行われるべきだ。」と語った。AGRAは、ロックフェラー財団及びゲイツ財団の支援を得てアフリカの小規模農家の生産性と生計向上を支援する活動を行っている。

「『Land Grabs=土地の掴みどり』問題の先には、アフリカの農地がラテンアメリカに見られるような大規模な機械化農業へと向かうリスクがあります。アフリカで私達が目指している緑の革命は、現地の一つ一つの農家に注目し、環境との両立を図りながら彼らの農業生産力を向上させていくことに主眼を置いています。アフリカで大規模な機械化農業を目指すのは間違っていると思います。」


円卓会議の参加者達は、この問題の解決策として、地元農家を土地収得交渉の当初から参加させる手法を提案した。またこの会議では、土地収得を規制する国際的な行動規範を定義して実施するよう呼び掛けがなされた。


「行動規範を検討する余地は十分にあります。」と南アフリカ農業組合連盟のCEOイシュマエル・スンガ氏は語った。「しかし、『土地の掴みどり』のための行動規範を設定しても意味がありません。行動規範はむしろ、アフリカ大陸内外を含む外国人投資家を対象としたものであるべきです。それは、土地収得に伴う被害という面では、アフリカ人投資家によるものにも(大陸外の)外国人投資家によるものに匹敵するほどの問題プロジェクトが含まれるからです。」(原文へ


翻訳=IPS Japan戸田千鶴




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