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アジアで冷戦が再燃か?

【ワシントンIDN=ジャヤンタ・ダナパラ】

 

国家間の代理戦争は、米ソ冷戦の悲劇的な側面のひとつであった。ふたつの超大国は、軍事物資と政治的支持を与えて紛争をあおったあげく、「核抑止力が機能しているので自らは戦争に打って出る必要がない」と豪語した。とりわけ米国は、「ジョージ・ケナンのソ連『封じ込め』理論の正しさが証明され、共産主義の巨星はまもなく内破した」と主張している。

それからの20年間、自らの手によって作られた経済問題に手足をとられた超大国米国の勢力は衰えているが、勃興する中国を封じ込める手立てを手探りで見つけようとしている。イラク・アフガニスタンの泥沼にはまり、見えない敵と戦う終わりなき「テロとの闘い」にあちこちで巻き込まれている超大国にとっては、もはや代理戦争は採れる手段ではない。

 
とするならば、中国封じ込めという任務を、野望に満ちたインドと腰の引けた日本に外注するよりもよい手立てがあるというのだろうか?それこそが、本質的に、バラク・オバマ大統領の最近のインド訪問後に出された異例の長さの共同声明と、オバマ大統領のアジア歴訪の隠された目的である。米国が日本とインドを国連安全保障理事会の常任理事国に推挙していることは驚くに値しない。

このシナリオは長らく胚胎し現実に作動しているものであり、ジョージ・W・ブッシュ政権からオバマ政権にかけてみられたものである。国家安全保障政策として必要な超党派的な支持を得ている。中国の貧困削減の実績にかなうことのない世界最大の民主主義国であり、国内でのテロに悩まされているインドにとって、1998年の核実験によって国際的に爪弾きにされた悪夢の経験から逃れられるこの機会は、あまりに魅力的なものであったろう。

大国の地位への鍵となる、ネルー的な非同盟と道徳的優越のビジョンは、このドアを破ることはできなかった。いまや、自ら鍛え上げた経済的体力(と裕福なインド人ロビイストによる米政治体制の操作)と、古くさい「黄禍論」の再現として登場している「真珠の首飾り」論こそが、インドの高い地位を保証するものとなった(註:「真珠の首飾り」論とは、中国がインドを取り囲む諸国に拠点を築いている状況をさす:IPSJ)。

洗練されたインド外交なら、この新しいゲームで見事なプレーを行い、過去の代理戦争で見られたような未熟さを見せることはないだろう。膨大な二国間貿易と技術移転を手にし、米国の支援を得て、アジア・アフリカにおける経済的成果と政治的影響力を中国と競うと同時に、同国との平常な関係を維持することも可能になるだろう。
 
 
日本は、小泉純一郎政権の間に多少の独自性を打ち出そうとしたが、その後の歴代首相は国際政治経済への影響力をほとんど発揮できずにおり、目立たない役回りに落ち着いてしまった。しかし、中国が尖閣諸島をめぐって思慮に欠ける強攻策に出、ドミトリー・メドベージェフ大統領がタイミング悪く国後島に訪問したため、日本は、中国が東シナ海・南シナ海に関して持っている企図に疑問を持ち、駐ロシア大使を一時帰国させ、北朝鮮の核兵器をめぐる六者協議で非妥協的な態度をとることにやぶさかでない状態になってきた。

これはきわめて危険なゲームである。中国は、国内向けに日本に対する憎悪を掻き立て、同時に経済的圧力もかけているからだ。米国にとっては、中国を東側から攻めたてるために日本との古い同盟を復活させることを長く狙っていたが、沖縄(普天間基地)をめぐる[日本の提案への米国の]拒絶は、日本がふたたび日米同盟強化へと走る道筋をつけた。

世界のパワーの中心が大西洋から太平洋に移ったという観測は依然としてあるが、大西洋の強者軍事的に見れば米国とNATO、経済的に見れば米国とEU―は、世界の動向に関する彼らの役割を放棄しようとしているのではない。太平洋とインド洋の問題に関して影響力を発揮しつづけるには、「民主主義国」の中から当然の同盟相手として[米国によって]選ばれたことを正当化する同盟国によってそれを行うのが、もっとも合理的でかつコストがかからない。そこでは、人権擁護や反テロ、核不拡散といった価値を信奉する国が相手に選ばれることになるのだが、「核兵器なき世界」というオバマ大統領のスローガンはいったん脇に追いやられることになる。

その副次的効果はと言えば、非同盟諸国・G77の連帯にひびをいれることである。国連において、あるいは、世界貿易機関(WHO)のドーハラウンド、来たるカンクンでの気候変動に関する国際交渉(COP16)などの話し合いの場において、同時に中国が孤立させられることになる。あらたに強化されている米欧日印の連携にとっての不安材料は、イランの核開発に関するインドの立場、中国の人権問題、ビルマの軍政などであろう。米国の共和党は、オバマ政権の国内政策に関してやったのと同じように外交政策についても放棄させようとしているが、そんなことを許すぐらいならば、米欧日印の不安要素をうまくハンドルする方がはるかにコストは安くつくといえよう。

※ジャヤンタ・ダナパラ:スリランカの外交官で元国連大使。1995年核不拡散条約(NPT)運用検討会議の議長。1998年-2003年、国連軍縮担当事務次官。現在は、科学と世界の諸問題に関するパグウォッシュ会議会長。本オピニオンは、ダナパラ氏の個人的見解である。

翻訳=IPS Japan


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