www.facebook.com
www.twitter.com
www.linkedin.com
www.blogger.com
www.myspace.com
RSS Feeds
 
INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

|軍縮|日本、米国の核態勢見直しに際して、自制を表明する

IDNベルリン=ジャヤ・ラマチャンドラン】

 

世界唯一の被爆国であり、北朝鮮からの断続的な核の脅威に晒されている日本は、米国が新たに打ち出そうとしている向こう5年から10年における核戦力の役割と使命について多大の関心を寄せるとともに、米国政府の判断についても影響力を行使しようとしている。

日本の慎重な動向の背景には、署名から50年を迎える、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(日米安全保障条約)の存在がある。

 
1960年1月19日、ドワイト・アイゼンハワー大統領が、「平等と相互理解」に基づく「不滅のパートナーシップ」と言及した同条約の署名が行われ、今日に続く2国間関係が始まった。

この観点から見れば、バラク・オバマ政権による今回の核態勢見直し(NPR)は(日米安保に影響を及ぼす核兵器の役割そのものを再評価しようとする点で)、冷戦終結から20年近く経過して最初の試みといえるものである。ちなみに、ビル・クリントン政権とジョージ・W・ブッシュ政権も、NPR報告書をそれぞれ1994年と2001年に策定している。
 
 
日本はまた、太平洋地域における主要な米国の同盟国である。従って、オバマ大統領が歴史的なプラハ演説で「核兵器なき世界」の実現を呼びかけて以来、日本の政治指導者や議会メンバーは、当然ながら、座して成り行きを見守ることはしなかった。

オバマ大統領、ヒラリー・クリントン国務長官、ロバート・ゲーツ国防長官、及び米国議会の主だったメンバーに対して提出した書簡の中で、衆参両院の有志議員たちは以下のように述べている。

「私たちは、唯一の被爆国の国会議員として、貴大統領の核兵器廃絶への取り組みを全力で後押しすべき『道義的責任』を持っていると考え、下記を宣言します。

・私たちは、貴大統領が2009年4月のプラハ演説で概説した「核兵器のない世界」に向けて動くとの政策目標を完全に支持します。

・私たちは、米国が、ICNND核不拡散・核軍縮に関する国際委員会)報告書の勧告(2009年12月15日に発表)に従って、「米国の核兵器の『唯一の役割』は、米国又はその同盟国に対して他国が核兵器を使用することを抑止することにある」と宣言する政策を直ちに採用することを強く求めます。

・私たちは、貴国が上記の「唯一の役割」政策を採ったとしても、日本は核武装の道を追求することはないと確信しています。

・私たちは、貴国の核政策が、日本の非核三原則に違反するいかなるオプションも除外することを強く求めます。

・私たちは、米ロ両国の配備戦略核を大幅に削減することを規定した新しいSTART条約(戦略兵器削減条約)の締結を目指す貴大統領の努力を支持します。

・私たちは、CTBT包括的核実験禁止条約)の批准とFMCT兵器用核分裂性物質生産禁止条約)の交渉を迅速に行おうとする貴大統領の努力を支持します。

2月19日、本件の発案者である与党民主党の平岡秀雄衆議院議員を始めとする7名の国会議員代表が米国大使館を訪ね、本衆参両院の超党派議員204名が署名した本書簡をジョン・ルース駐日米国大使に直接手交した。

非核三原則

2月9日、鳩山由紀夫首相は国会において平岡議員のイニシャチブについて、「非核三原則を堅持し、核軍縮を支持する政府の方針に沿ったものだ。」と好意的な言及をした。

非核三原則」は議会決議で、今日まで法制化されることはなかったが、60年代末の首相発言以来、戦後の国民感情と歴代政府の方針を反映して、事実上日本の核政策の根幹をなしてきた。

同三原則は、日本は核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」と宣言している。この原則の骨子は、1967年、米国と沖縄返還交渉を進める最中に佐藤栄作首相が表明したものである。その後71年11月に衆議院本会議が、沖縄返還協定に関連した付帯決議として本原則を採択した。

核軍縮・不拡散議員連盟
PNND)のメンバーである平岡議員(民主党)によるイニシャチブは、岡田克也外相が2009年12月にヒラリー・クリントン国務長官に宛てたNPR報告書に関する書簡の中で言及した重点事項を更に補強するものである。

PNND
のメンバーでもある岡田外相は、書簡の中で、米国による強力な核抑止を支持してきた前政権の立場とは距離を置き、一部の日本政府当局者が米議会の諮問委員会に対して核戦力維持を働きかけたとされていることについて次のように懸念を表明した。「仮にそのようなことがあったとすれば、核軍縮を目指す私の考えとは明らかに異なる。」

また岡田外相は書簡の中で、核兵器の役割を核攻撃に対する抑止に限定し、NPT加盟の非核保有国に対する核兵器の使用を禁止する考えを支持した。

今回の書簡の手交は、4月にワシントンで予定されている核安全サミットや翌月ニューヨークで予定されているNPT運用検討会議を含む一連の核関連のイベントに先立って行われた。同書簡には、「今年は、貴大統領が述べられた『核なき世界を実現する』という目標に向けた具体的措置をとる上で大変重要な年になります。」と記されている。

平岡氏によると、ルース大使は、核廃絶がオバマ大統領の最優先事項の一つである点を指摘し今回の書簡を歓迎した。しかし同時に、「(核廃絶は)オバマ大統領がプラハ演説で述べたとおり私たちの存命中に実現しないかもしれません。しかし米国政府は(その実現に向けて)現実的なアプローチをとっていきたい。」と代表団に対して述べた。


影響

この超党派議員署名による書簡は、署名した議員数が衆参両院722名中僅か204名に止まっていることから、はたして、オバマ政権によるNPR報告書策定や米議会の判断に影響力を持つものとなり得るだろうか?

この点について、日本に本拠を持つ国際NGOピースボートの共同代表で「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」(ICNND NGOアドバイザーの川崎哲氏は、「署名した議員の総数が204名に止まったということが、そのまま、他の議員が書簡の内容に反対した或いは署名に躊躇したということではありません。むしろ本書簡の提唱者達がもっと積極的に動いていれば、全ての議員の署名を集めることができたでしょう。」と、語った。

「ちなみに共産党の議員は、書簡の内容は不十分で、軍縮についてもっと踏み込んだ内容にするべきだとして署名しませんでした。」と、川崎氏はIPSの電子メール取材に応じて語った。

川崎氏は、衆議院本会議が2009年6月にオバマ大統領のプラハ演説を支持して核兵器廃絶に向けた一層の努力を呼びかける決議を全会一致で採択した事例に言及して、「日本国民の意思は、この本会議決議に明白に表れています。」と語った。

元外務副大臣の浜田昌良参議院議員(公明党)は、「日本が核軍縮に大きく関与できるチャンスが目前にあります。」と語った。

浜田氏は、日本が拡大抑止についての定期協議を通じて、東アジアの具体的脅威に対して核抑止は本当に必要なのかを検証し、米国が「唯一目的宣言」を採用する土壌を形成すべきと考えている。
「今年4月に国連安保理の議長国となる機会を捉え、日本は「消極的安全保障(=非核兵器国に対する核兵器の使用禁止措置)」について拘束力のある国連決議策定に向けてのキックオフを行うべきです。その時期に米国からイランに対する制裁強化への要請がなされる可能性が高いことから、日本は、国連安保理議長国として重要な役割を果たすことができるでしょう。」

浜田氏は、日本は、(対イラン制裁強化を求める米国を支持することへの)カウンタープロポーザルとして(消極的安全保障に関する)国連決議に対する米国の支持を取り付けるべきだと考えている。

「日本は、消極的安全保障の拘束力化を実現すべく、3月末のサミット外相会合及び5月のNPT運用検討会議において行動を起こすべきです。このスケジュールは性急のように聞こえるかもしれませんが、5年に一度のNPT再検討会議というモーメンタムを最大限活用すべきです。」と浜田氏は東京でIDNの電子メールによる取材に応じて語った。

米国に本拠を置く「全米科学者連盟」(FAS)のハンス・M・クリステンセン核情報プロジェクトディレクターは、ワシントンDCIDNの電子メール取材に応じ、「今回の日本の超党派議員による書簡は、日本政府関係者の声明と併せて、太平洋地域における米国にとって最重要の同盟国がオバマ政権の核軍縮構想に反対しておらず、それどころか、核弾頭の削減のみならず核兵器の役割そのものの低減についても支持していることを、米国政府、議会に対して明確に伝える重要な役割を果たしています。」と語った。

NPR報告書は、太平洋地域(及びその他の地域における)拡大核抑止に対する米国のコミットメントを再確認するものとなるが、同時に、核兵器の弾頭数削減とその役割を低減させることについて日本の支持を得たものとなるだろう。」とクリステンセン氏は語った。

米国の民間団体「憂慮する科学者同盟UCS)」の上級アナリストで中国プロジェクトマネージャーのグレゴリー・カラキー氏は、一部日本政府当局者の間で、米国政府が核兵器に関する先制不使用宣言や「唯一の役割」に関する宣言を行えば、日本を中国やいずれは北朝鮮からの核の脅威に晒すこととなるとの見解があることについて、「この点については、私たちは既に詳細な調査を行っています。」と語った。

そのうえでカラキー氏は、「日本の外務省及び防衛省の核安全保障専門家の中には、米国の(核兵器に関する)宣言政策が大きく変化することに懸念を抱く人々もいますが、そうした懸念が日米同盟に悪影響を及ぼしたり、NPTや核軍縮を従来強く支持してきた日本の指導者層の立場を変化させる見込みはないでしょう。その理由は明らかです。つまり、日本政府は、核兵器使用の唯一の目的は、他国による核使用の抑止であり、核攻撃に対する最終的な対抗手段であることを米国政府が直ちに宣言すべきとしたICNND勧告を強く支持しているのです。」と語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩

関連記事:
核なき世界実現には民衆の圧力が不可欠(尾崎咢堂塾特別シンポジウム)
|日本|新政権、外国メディアへの規制廃止の意向を示す
|日米合意|核なき世界を目指して
PDF