www.facebook.com
www.twitter.com
www.linkedin.com
www.blogger.com
www.myspace.com
RSS Feeds
 
INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

|中東|フランスと米国はアラブ諸国を核開発競争に追いたてようとしているのか?

 

【イスタンブールIDN-InDepth Newsファリード・マハディ】

 

原油資源に恵まれたアラブ首長国連邦(UAE)が国内に原子力発電導入を決定したことから、総額400億ドルにのぼるプロジェクトの入札を巡ってフランス、米国、日本、韓国の巨大企業の間で、政治的な梃入れも加わった熾烈な競争が始まった。このことは湾岸地域の他のアラブ諸国を巻き込んだ核開発競争へとエスカレートしていくかもしれない。

UAE
のシェイク・ハリファ・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤン大統領は、10月4日、同氏が議長を務める7つの首長国連邦における核エネルギーの生産・開発を規制する同国の核戦略を定めた原子力法に署名した。

 
UAE
政府は、原子炉建設計画の発表に続いて、同国はウラン濃縮を行う意図はなく、核プログラムはあくまでも平和的利用が目的であることを強調した。従って、ウラン濃縮の工程は海外で行われることとなる。


UAEの核プログラムは、ウラン濃縮を行わない我が国の公約と、核燃料の安全を保証する強固なインフラに裏打ちされた平和的なプロジェクトです。」とハマド・アル・カービ国際原子力機関(IAEAUAE代表は10月4日の記者会見で語った。


またカービ代表は、UAEがウィリアム・トラヴァースIAEA元技術顧問を事務総長に原子力発電所の治安面と安全面を検視する連邦原子力規制庁(FANR)を設立したと語った。


しかし同代表はUAEが建設予定の原子炉基数については言及を避けた。UAEの原子力発電所は2017年に稼働を開始する予定である。


UAE
核不拡散条約(NPTの加盟国である。

ビジネスだけではない


これは数十億ドル規模の入札を巡る大企業間のよくある商戦のように見えるが、UAEの核開発計画は、商戦に留まらずフランス優勢の内に進んでいる各国間の熾烈な政治的駆け引きへと発展している。


事実5月には、フランスのニコラ・サルコジ大統領がUAE初のフランス軍基地の開所式に出席した。同フランス軍基地は、石油資源が豊富な湾岸地域従来は米国の一種の保護地域であったがをフランスの安全保障戦略に組み込むための第一歩と見られている。
 

 
サルコジ大統領はUAEとの核取引について、フランス企業が担当できるよう後押ししたと伝えられている。アレヴァ、トータル、フランススエズガスから成るフランス企業連合が現在のところUAE初の原子炉建設入札獲得に向けた競争をリードしている。


他の主な競争相手は、日立製作所と米ゼネラル・エレクトリック(GE)の日米企業連合、韓国電力・現代・三星から成る韓国企業連合、そして米国のウェスティンハウス社である。


米国の圧力


フランスの圧力と並行して、米国のビジネス部門はネオコン(新保守主義)系の政界及び産業界の関係団体による支援に依存してきた。


事実、今年の1月にUAEとの核エネルギー平和利用協力協定を締結したのは新保守主義で退任直前のブッシュ前政権であった。


当初、米国-UAE間の交渉は9月には最終的に妥結する見込みであった。しかし米国議会では数人の議員がUAE国内での核施設建設はイランの手に落ちる危険性があるとして両国間の原子力協定に反対したと伝えられている。


一方、ムハンマド・ビン・ザイードUAE皇太子は事態を確認するため米国を訪問した。そして訪米直後、皇太子はパリを訪れフランスの提案内容を再吟味した。皇太子は、そこでUAE核問題担当と伝えられるクロード・ゲアン大統領府事務総長と会談した。


大いなる不安


UAE
政府による原子力発電導入決定のニュースは、地元メディアに大きく取り上げられた。報道内容はいずれも、同核開発プログラムが平和目的に限定されたものであるとのUAE政府が従来から繰り返してきた公式見解に沿うものであった。

また同時に、UAE政府は、濃縮された核物質が更に加工されれば核兵器製造が可能となるとの疑惑を、繰り返し否定することに努力を傾注してきた。


最近のそうした疑惑は、イランの核開発計画に直面して、同国が軍事目的、つまり核兵器開発に転用するのではないかと主張している西側主要国から公然と向けられたものである。


事実、UAEの核開発計画が中東地域における核開発競争へと繋がりかねないとする懸念は、今回開発計画が認可される以前から取り沙汰されていた。


UPI
通信は「原子力エネルギーを求めて競合するアラブ諸国」と題した9月9日付の記事の中で、「イランの核の野望を巡って情勢が緊迫化する中、アラブ諸国の間で自国に原発施設を建設しようと競争が繰り広げられている。このことは、先進国に莫大な貿易機会をもたらすと共に、核拡散という恐ろしい幻影も顕在化させている。」と報じている。


また同紙は、「アラブ諸国は、経済成長に伴って高まる電力需要への対応を迫られているほか、水不足対策の切り札として淡水化プラントの建設を開発計画に組みこんでいる。こうした事情を背景に期待が高まる中東地域の核エネルギー関連契約を獲得しようと米国、英国、フランス、ロシアがしのぎを削っている。」と指摘した。


同時に、サルコジ政権は、カタールとモロッコに対して両国が核開発プログラムを開始できるようフランスが支援する旨、確約したと伝えられている。


またエジプトとヨルダンも原子力発電所建設に向けて動き始めている。事実、エジプト政府は、ロシア政府との間にエジプトにおける原発施設建設へのロシア企業参入に関する協定を結んだ。


ニューデリーを拠点とするインド防衛問題研究所(IDSA)研究助手のマダブ・アラム・リズヴィ氏は、平和紛争研究所に寄稿した3月発行の論文の中で、「明らかにイランの核兵器開発計画が刺激となり、サウジアラビア、UAE、エジプト、トルコといった中東の地域大国が核兵器取得に動く軍拡競争へと発展していくだろう。」と述べている。


「サウジアラビアは最近、湾岸協力会議(GCC)の加盟国として、核技術の平和利用を推進していく計画がある旨を発表した。」とリズヴィ氏は記している。そして同氏は、「2007年12月、GCCは核エネルギー開発のための共同プログラムを開始する意図を表明している。」と付け加えている。


「サウジアラビアは他のGCC加盟国と共同で中東諸国に濃縮ウランを提供する機関を創設する計画を発表した。」


アラム・リズヴィ氏は、「もし核エネルギー取得に関心を表明している他の中東諸国がGCC案に賛同した場合、中東地域の政情不安が増すこととなり、地域の原油価格に悪影響を及ぼすことになりかねない。」と結論付けた。


他の中東諸国に(核開発に関する)新たな道筋を示す
UAE

こうした中、UAEは自国の原発施設の安全性を強調している。UAEの国営通信社WAMは10月6日付の社説でUAEは「再び他国に先んじて道筋を示した。」と宣言した。


同日UAEに本拠を置く日刊英字紙ガルフ・ニュースは、「UAEの核戦略は先駆的」と題した論説の中で、「UAEの核戦略は、原発施設に求めるものは電力のみで燃料の取扱いに関与しないとの前提に基づく先駆的なものである。」と報じた。


UAEは全ての核燃料の濃縮と処理を一元的に取り扱う国連機関の創設を提案してきた。つまりこのことはUAEが、核燃料の不正使用疑惑の対象には決してなりえないということと、今後多くの原発導入国が従うことができる新たなシステム構築に助力してきたことを物語っている。」と同紙は付け加えた。


また同紙は、「UAEの原子力法は、他の国々が従うことができる安全で完全に透明性を確保した核開発監視システムを設立すべくUAEが自らの資源を活用して核分野において国際的なリーダーシップを発揮する用意があることを示している。」と報じた。


一方、同原子力法は、「核兵器拡散の危険性は極めて深刻であり、大量破壊兵器製造に原料となる物質が無責任な政府やテロ集団の手に渡らないよう万全の防止策をとることが重要である。」と警告している。


10月6日付のカリージ・タイムス紙も、「核エネルギー:UAEが道を示す」と題した論説の中で、「注目すべきは、核エネルギー計画を完全かつ率直に公開することで全ての論争と疑惑の枠外に置こうとするUAE政府の決意である。」と報じた。


UAE政府は主に発電目的とする核の民生利用を追求する一方で問題の核濃縮工程を国内で行わないという極めて重要な政策判断をしたことで、今再び中東地域の諸外国に対して(核開発に対する)道筋を示した。」と同紙は報じた。


原子力産業の見解


ロンドンに本拠を置く原子力エネルギーの推進と業界団体支援(世界の32か国、100以上の組織、機関が加盟)を活動目的とする世界原子力協会(WNA)は、10月5日にUAEの決定に関する情報提供を行った。


それによるとUAEが認可した原子力法は、「連邦原子力規制庁(FANR)を設立し同国がウラン濃縮を行うことを禁止することを目的としたものである。」と説明した。また、FANRについては、「完全に独立した原子力安全規制を管轄する機関で、UAE国内の原子力エネルギー部門を監督し、世界最高レベルの基準で原子力発電所の放射性物質の保護及び治安面と安全面を検視することを目指したものである。」と解説している。


WNA
はこの報告の中で、UAE原子力法が国内におけるウラン濃縮或いは使用済燃料再処理施設の開発、建設及び操業を禁止している点に着目すると共に、UAE政府がウランその他の燃料を決して濃縮、再処理せず、代わりに米国と締結した核協力協定に則って信頼できる海外の供給元から核燃料を輸入すると約束している点を強調した。


米国はもしUAEが核濃縮及び再処理活動に関与しないとする公約に違反した場合、同協力協定を破棄する権利を有している。


またWNA報告は、UAEが原子力法を通じて、核物質の無断使用、窃盗、移動、貿易活動を含む違反行為に対して民事及び刑事上の厳しい罰則を適用する法整備を行っている点も強調した。


WNA
によると、UAE政府はこうした法整備を背景に2020年までに3基の原発施設導入を目指して積極的に活動を展開しており、これまでに、フランス、英国、米国を含む数カ国の政府及び企業と関連の協力協定及び覚書を取り交わしている(
原文へ


翻訳=IPS Japan浅霧勝浩


関連記事:

政治オバマ大統領、核なき世界へ向けて国連の支援を求める
|フランス|核軍縮に関する立場は曖昧
|ウクライナ|ロシア対策として期待される原子力発電