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|米国|クリントン長官、IAEAの権限強化を訴える

【ワシントンIPS=ジム・ローブ】

 

米国のヒラリー・クリントン国務長官は、10月21日、核関連と疑われる施設の査察を行う国際原子力機関(IAEA)の権限強化を提案すると同時に、非核化に向けた「検証可能で不可逆的な」措置を北朝鮮が採らない限り、同国への制裁を終了させるつもりはないと明らかにした。

クリントン長官はまた、その政策演説において、イランに対して、保有する低濃縮ウラン(LEU)の大部分を再処理のためにロシアに移送し、テヘランの原子炉において医療用アイソトープを生産する計画を実行するために「迅速に行動」するよう求めた。


イラン外交当局は、同日、米国など主要国とウィーンで行った協議において、この計画に暫定的に合意したと伝えられている。

 
クリントン長官は「北朝鮮とイランの核保有を阻止することは、核不拡散体制の強化のために緊要である」と述べた。


また、オバマ大統領は
包括的核実験禁止条約(CTBT批准を米上院に求めていく意図であること、米露間のSTART(戦略兵器削減条約)が12月に失効した後の後継条約をロシアと締結するつもりであることを長官はあらためて明らかにした。米露両国で世界全体の核兵器の96%を保有している。

クリントン長官は、政府系シンクタンク「米国平和研究所」で行ったこの演説において、こうも述べている。「新STARTを結んだからといってイランや北朝鮮が違法な核活動をやめるとは思っていません。しかし、米国が核軍縮に向けて
核不拡散条約(NPT上の義務を果たしている事実を証明することにはなるでしょう。そのことによって、核不拡散体制を強化することの重要性を国際社会全体に認識させ、核を拡散させないとの約束を破る国への圧力を強めることになるのです。」

オバマ大統領が4月のプラハ演説で「核兵器なき世界」へのビジョンを披露して以来、米国政府は、核不拡散と核軍縮が外交政策上の再重要課題のひとつであることを鮮明にしてきた。

それを裏書きするように、オバマ大統領は、歴代の米大統領として初めて国連安保理の議長席に座り、9月24日に核不拡散と核軍縮に関する決議を成立させた。


オバマ大統領はまた、来年4月にワシントンで核セキュリティに関する世界サミットを主催することも明らかにしている。その翌月には、世界中の外交官がニューヨークに集って、NPT運用検討会議が開かれることになっている。


クリントン長官はこれらの会議についてはあらためてコメントしなかったが、既存の核不拡散体制、とりわけIAEAの権限を強化することが、米外交の優先課題のひとつであると述べている。
 

 
「国際原子力機関は、その任務を適切に進めるための道具や権限を持っていません。そのために、イランが秘密裏に進めたウラン濃縮やシリアの原子炉計画をIAEAが察知することができなかったのです。IAEA追加議定書の批准を行っていない重要な国々を説得して、その普遍性を高めるべきだ。」と長官は述べた。IAEA追加議定書によって、日常的に監視している核サイトを、より積極的かつより短期の通告で査察できるようになる。


IAEA
は、「特別査察などの既存の検証権限を十分利用するだけではなく、たとえ核物質が存在していなかったにしても、核兵器関連活動が疑われる施設を調査する新しい権限を与えられるべきだ。」とクリントン長官は主張した。


さらに、クリントン氏は、「IAEAのルール遵守に関する近年の国際社会の実績は芳しいものではない」としたうえで、「IAEA保障措置協定違反への罰則の自動的発動、たとえば、規則遵守が確認されるまですべての国際協力あるいはIAEAによる技術協力を停止するといったことが考えられてもいいのではないか。」と提案した。


2003年にNPTを脱退し、その後、2006年と今年5月の2回にわたって核実験を行った北朝鮮に関しては、「完全な非核化に向けた、検証可能で不可逆的な措置を北朝鮮が採るまで、現在の制裁を緩めてはならない。」と述べた。これらの措置は、経済的・政治的見返りと引き換えに行うことを2005年に北朝鮮が約束したものだ。


前提として、米国・中国・韓国・日本・ロシアに北朝鮮を加えた6か国協議の存在がある。クリントン長官は、6か国協議の枠組み内で北朝鮮と二国間協議を行う用意があると述べたが、「たんに交渉のテーブルに北朝鮮が復帰するだけでは十分でない」と釘をさしている。「北朝鮮指導層は、核を保有する北朝鮮と制裁なしの通常交渉を米国が行うつもりはないことを肝に銘じておかねばなりません。」とクリントン長官は付け加えた。


NPT
を脱退していないイランについては、「イランと米国を長い間に渡って引き裂いてきたあらゆる問題について多国間・二国間の枠組みを通じて協議し続けるでしょう」と述べた。


ただし、クリントン長官は、「関与するといっても、いつまでも続くわけではありません。」と強調した。イラン政府と安保理五大国にドイツを加えた「P5+1」との間でウィーンのIAEA本部で今週行われた協議のテーマとなった合意を履行するべく、イランが「迅速な行動」をとるべきだと呼びかけている。イランの代表は、イラン政府は23日までに最終決定を行うと述べたと報じられている。


イランの低濃縮ウランの大半を国外へ送り兵器用に転用が難しい形へと再処理することによって、合意に向けた交渉の時間稼ぎをすることができる、というのが大方の見方だ。その合意とは、クリントン長官が「普遍的なものでなければならない」と主張している厳格な検証・査察条項にイランを従わせ、イランのウラン濃縮計画をNPTの枠内に収めさせることを内容とするものである。


しかし、クリントン長官のポイントは不拡散体制の強化だけではない。既存の核兵器国もまた、究極的核軍縮にコミットするとの意思を非核保有国に対して示すための措置を採らねばならないのである。


クリントン長官は、「冷戦思考をまた取り出してきて、それに頼るわけにはいきません。核兵器のない、安全で平和な世界を追求するために、私たちも真摯に行動します。」と語った。


しかし、長官はこうも発言している。「最後の核兵器が廃棄されるそのときまで、核実験を行わずに安全かつ効果的な核抑止力を維持するためのインフラを保持し続けるとの米国の国内的コンセンサスを強化する必要があるでしょう」。


ビル・クリントン大統領は1999年にCTBTの批准を求めたが、わずかの差で米上院が否決している。今回、上院の批准を得るためには、少なくとも7人の共和党議員を説得しなくてはならない。現在の核弾頭に変わる新型弾頭を開発することに現政権が合意したときにのみ、そのような支持が得られるのではないか、とみられている。(
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翻訳=IPS Japan浅霧勝浩



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