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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

|Q&A|核軍縮に向けた「希望の春」となるか

Jayantha Dhanapala

【国連IPS=タリフ・ディーン】

 

先月、米国のオバマ大統領は、チェコの首都プラハに集まった大群衆を前に「アメリカは、核兵器のない世界に向けて具体的な措置を取ります。」との歴史的な発表を行った。

ロシアとの新たな戦略兵器削減条約の締結と核実験の禁止を訴えたオバマ演説は、二週間に亘って開催される核不拡散条約(NPT)運用検討会議第3回準備委員会に大きな影響を及ぼすだろう。NPTは、核兵器技術の拡散防止、核兵器削減、核技術の平和利用の権利について規定した条約で、運用検討会議が開催される来年で発効から40年を迎える。


核軍縮に関する世界最高峰の権威であるジャヤンタ・ダナパラ氏は、5月15日まで開かれる準備委員会に参加のため現在ニューヨークに滞在中であるが、核問題の現状に関して、慎重ながら楽観的な見方をしている。

 
「私たちは軍縮問題については、不満に満ちた暗い冬の時代を経て、希望の春を迎えている。」と、ダナパラ氏は語った。同氏は、元軍縮問題担当国連事務次長で、現在は科学と世界の諸問題に関するパグウォッシュ会議の会長を務めている。


タリフ・ディーンIPS国連総局長のインタビューに応じたダナパラ氏は、「オバマ大統領がプラハ演説で表明した美辞麗句は特定された問題ごとに具体的な行動が伴うものにしなければならない」と語った。


ダナパラ氏はまた、「同時に、これらの核軍縮に向けた行動に対する抵抗勢力の力を見縊ってはならない。市民社会はオバマ大統領を支持すべきだし、他の国々 - 特に核兵器保有国は核兵器削減及び核不拡散の分野でそれぞれの役割を果たしていかなければならない。」と語った。


オバマ大統領はプラハ演説で、「米ロ間の冷戦は今日なくなったが何千発もの核兵器はまだ存在している」と警告した。そして、「米国とソ連の間に核戦争が起きることはありませんでしたが、何世代にもわたり人々は、この世界が一瞬の閃光のもとに消失してしまうことがありえると承知の上で生活してきました。」と付け加えた。


また、オバマ大統領は、全世界的な核実験の禁止を実現するために包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を直ちに積極的に進めることを誓った。


ダナパラ氏は、「オバマ政権と支援者たちは、まず同条約批准の前提となる米国上院における可決(上院議員67名の賛成票が必要)に向けて全力で取り組まなければならない。」と語った。


以下にインタビューの抜粋を紹介する。


IPS
:新たな政治環境のなかで、CTBT或いは兵器用核分裂性物質生産禁止の分野で大きな進展はあるとお考えですか?


ダナパラ氏:米国による条約批准が大きな一歩となることは確かですが、他の8カ国が締結或いは批准して初めて、条約発効となる現実を忘れてはなりません。


CTBT
がいつも核軍縮の試金石と見なされてきた主な理由は、核のテスト実験をなくしてしまうと、核兵器の次世代開発、新規デザイン、機能向上を図ることを事実上停止せざるを得ない現実があるからです。そして条約の効力を蔑にしようとする取引は魂を売り渡した行為と見なされ、核軍縮を志向するコミュニティーから拒絶されることになります。


兵器用核分裂性物質の生産禁止については、米国が新たに検証可能な形での条約を志向するようになったことから、ようやく、軍縮会議が兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)にむけた交渉を開始できる道が開かれるでしょう。


IPS
NPTが大きく進展する見込みはあるでしょうか?


ダナパラ氏:NPTは本質的に差別的な条約です。核兵器保有国に対してその保持を認める一方で非核保有国にのみ不平等な義務を押し付けており、こうした構造が是正されない限り持続可能な体制とはいえません。


5年毎に、核兵器保有国はNPT運用検討会議開催を機に、その都度生じた管理体制の欠陥・問題点の穴埋め作業に取り組んできました。


2010年のNPT運用検討会議では、北朝鮮、イランを巡る未解決の問題、米-インド核協力合意、核保有国の核兵器削減の失敗といった新たな諸問題に取り組むこととなるでしょう。


しかしこうした問題も、オバマ政権によって創出された新たな国際環境の下で具体的な対策を来年とっていくならば、交渉決裂に終わった2005年のNPT運用検討会議の失敗を回避できるかもしれません。


IPS
核兵器のない世界という究極の目標についてどうお考えですか?


ダナパラ氏:核兵器が全くない世界を蜃気楼の如き「究極の目標」とみる従来の漸進主義的なアプローチに対して、徐々にではありますが、生物・化学兵器と同様に核兵器を禁止する核兵器禁止条約(NWC)締結を志向するアプローチが注目を浴びてきています。


前者のアプローチは、今後も核兵器の拡散とテロリストグループによる核兵器取得のリスクを高める結果につながるだけです。オバマ政権が進めている「核戦力見直し」(nuclear posture review)においては、抜本的な教義上の方針変換を行わなければならないでしょう。そうすることで初めて国の安全保障における核兵器の役割を廃し、核によらない地球規模の安全保障体制構築へと向かうことができると思います。


翻訳=IPS Japan浅霧勝浩



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