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|視点|気温上昇とともに、食料価格も高騰していくだろう(レスター・R・ブラウン、アースポリシー研究所創立者)

【ワシントンIPS=レスター・R・ブラウン】

 

現在ある農業は、きわめて安定的な気候の中、1万1000年にわたって発展してきたものである。人類はこの気候システムのなかで、生産を最大化するために農業を進化させてきたのだ。しかし現在、気候が突如として変動しつつある。年が過ぎるごとに、農業システムが気候システムとの調和を失ってきているのだ。

 

数世代前には、インドでのモンスーンの不発生(=雨季の不在)やロシアでの厳しい干ばつ、米国トウモロコシ地帯での熱波など、異常な気象が発生した場合でも、すぐに事態は正常に戻るだろうと誰もが思っていた。しかし今日、戻るべき「正常」は存在しない。地球の気候は常に流動的で、頼りなく、予測不能な状態になっているのだ。

 

1970年以来、地球の平均気温は華氏1度以上上昇してきた。もし今後も私たちがより多くの石油や石炭、天然ガスを燃やすこれまで通りの生活を続けたならば、今世紀末までにはさらに華氏11度(摂氏6度)は上昇すると見られている。そしてこの気温上昇は、地理的に不均等な形で(赤道地域よりも高緯度地域、海洋よりも陸地、沿岸地域よりも大陸内部でより高くなって)顕在化してくる。

 

地球の気温が上昇すれば、様々な面で農業への影響がでてくる。高温のため受粉が妨げられ、基本農作物の光合成が減少する。また高温は、植物の脱水も進行させる。トウモロコシも、太陽への露出を避けようと葉を丸めてしまうため、光合成が減少するのである。

 

地球の気温上昇は、山地の氷河の融解を通じて間接的に作物産出に影響を与えている。巨大氷河が縮小し、小規模氷河が消滅すると、河川を支える雪解け水やそれに依存する灌漑システムは減少していく。山地の氷河が失われつづけ、そのために雪解け水の流量が減ると、人口密度が高いいくつかの国において、前例のない水不足と政情不安が引き起こされるかもしれない。

 

科学者らは、高温によってより干ばつが多くなると予想している。近年干ばつの影響を受ける陸地が非常に多くなっていることがその証左だ。アメリカ大気研究センターNCAR)の科学者らは、地球上の陸地のうちきわめて乾燥した状態にある場所が、1950~70年代の20%をはるかに下回る状況から、近年では25%に近づいていると報告している。

 

科学者らは、地球の気温が上昇すると、熱波の頻度と厳しさが増すのではないかと考えている。別の言い方をすれば、農作物を減らす熱波は今や、農業の風景の一部になったと言えるだろう。このことはとりわけ、世界が適切な食料安全保障を確保するために、穀物備蓄を増やさねばならないということを意味する。(原文へ

 

レスター・R・ブラウン『満杯の地球、空っぽの皿:食料不足の新たな地政学』(ニューヨーク、WWノートン社)からの抜粋。本稿の裏付けとなるデータや映像、スライドは以下で無料ダウンロードできる。www.earth-policy.org/books/fpep.

 

翻訳=IPS Japan

 

 

 

 

 

 

 

 

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