www.facebook.com
www.twitter.com
www.linkedin.com
www.blogger.com
www.myspace.com
RSS Feeds
 
INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

減災には弱者に配慮した救援計画が不可欠

【デーラダン(インド)IPS=マリニ・シャンカール】

 

インド北部ヒマラヤ山脈の麓に位置するウッタラーカンド州では、今年6月14日から4日間降り続いた大雨により洪水と地滑りが発生し、少なくとも千人が死亡、数千世帯が家を失った。その後現地では、洪水の犠牲になった父親が帰ってくると信じて、毎日ヘリコプターの発着場に通っている子どもの話がささやかれている。

 

「実はこのような悲惨な話は、被災地では無数にあるのです。」と国際援助団体「セーブ・ザ・チルドレン」(STCのレイ・カンチャールラ氏は語った。

 

自然災害に見舞われた際、最も弱い立場にあるのは子どもたちである。子ども、女性、病弱者、お年寄りには、被災地において特殊なケアと注意が必要である。彼らは、かりに生きながらえたとしても、災害後の事態に対応することが困難だし、捜索救援隊に発見されても、食糧支援や救援物資を手に入れることができないかもしれない。

 

近親者から引き離された経験は、とりわけ子供たちにトラウマを引き起こす原因の一つである。捜索救援隊は、任務の緊急性からして、作業スピードを最優先する傾向があり、家族や集団のうちまだ何人が行方不明であるのかを確認する時間が取れないことも少なくない。また、発見された生存者を一刻も早く救済する立場から、各地に点在する避難所にその時の状況に応じてばらばらに送ったりすることもある。一方家族との再会に向けて尽力するのは、災害対応責任者や救援機関の仕事とされている。

 

2010年1月、パプアニューギニアを地震と津波が襲った。報じられた死亡者のすべてが、寄る辺ない子どもたちだった。被災地では以前から「減災」訓練が実施されていたが、大人が対象だったため、「潮が引いたら津波の予兆」だという知識は子どもには行きわたっていなかった。

 

「大人は、潮が引いたら津波到来の前兆だということを知っており、高台に逃げたので、犠牲者は一人もでませんでした。不幸な犠牲者は、みな子どもでした。」とFM局「ニュー・ドーン」(新たな夜明け)のアロイシウス・ラウカイ氏はIPSの取材に対して語った。

 

高齢者に対する支援活動を行っているNGO「ヘルプエイジ・インディア」のアアプガ・シン氏は、ウッタラーカンド州での洪水災害の後、「災害が起こりやすい地域においては、病弱者やお年寄りの所在地をあらかじめ把握しておくのが極めて重要です。そうしておけば、緊急時に効率的に救援できるほか、救援物資を配布する際にも、後回しにされがちな弱者への救援が可能となります。」と語った。

 

最近の自然災害の中でも、必ずと言っていいほど、両親や家族と生き別れてしまった子どもたちのケースがある。2004年12月に発生したインド洋大津波でも、7才の少女が家族と生き別れてから約8年後、ようやく2012年になってインドネシアのスマトラで家族と再会できた。

 

人びとの記憶は短いが、生存者のトラウマは一生涯続く。惨禍に見舞われた地域では、災害がふたたび起きることを避けるために、自然災害や救援活動から得られた全ての教訓を公開記録として残していかなければならない。

 

このインド洋大津波、インド・ビハール州でのコシ洪水(2008)、バングラデシュやインドを襲ったサイクロン「アイラ」(2009)、インド・オリッサ州でのスーパー・サイクロン(1999)、インド・アッサム州での洪水(2012)、ウッタラーカンド州での洪水(2013)ののち、家族の別離があちこちで起きた。

 

NGO「プラン・インディア」のムラリ・クンドゥル氏は、子どもたちのトラウマは、「指しゃぶり、おねしょ、親へのしがみつき、睡眠障害、食欲喪失、闇への恐怖、行動における退行、友人や日常生活からの引きこもり」といったところに現れてくる、とIPSの取材に対して語った。

 

家族別離のトラウマに苦しむ子どもが食欲不振に陥った場合、文化に配慮した食料安全保障がきわめて重要な意味を持ってくる。

 

別離によるトラウマと被災地における生存競争に立ち向かわざるをえないのとは別に、女性や子どもは、とりわけ、水不足と衛生環境の悪化に対して脆弱な立場にある。

 

「栄養のある適切な食事をとらないと、子どもも大人も免疫力が低下し、「下痢やコレラ、腸チフス、呼吸器の感染、皮膚や目の感染」といった水を介した疾病に罹りやすくなるという。「これらは、水供給や衛生サービスが災害によって機能しなくなると発生しやすくなります。」とクンドゥル氏は語った。

 

乳飲み子を抱えた母親が被災して家を失った場合、避難所はジェンダーに配慮し適切なプライバシーが保たれた場所でなくてはならない。同時に、避難所は、身体に問題を抱えている人びとのニーズに合わせたものでなくてはならない。例えば、避難所を建築する段階で、車椅子の被災者用のスロープを付けるといった配慮が必要なのである。

 

ウッタラーカンド州の洪水では、(高地の避暑地として有名なナイニタール等の)観光地の経済が大きな被害を受け、観光で生計を成り立たせている人びとが、雇用を求めて平地にある大きな都市や町に流入した。

 

「災害によって大人が生活のために移住すると、子どもたちの教育が影響を受けることになります。多くの場合、青年期の男子が家族の面倒を見る立場になり、小さな子ども、とりわけ男の子が生活のために学校を離れたりして教育が中断し、生涯にわたる影響をこうむることになるのです。」と「エイド・エ・アクション」のシェクハール・アンバティ氏は語った。

 

またこうした子どもたちの収入を補うべく、女性たちも外に働きに出るようになると、家事が滞り、残された幼い子ども達の栄養状態が悪化することになる。

 

地域活動家のK・ヘマラサ博士は、開発によって引き起こされた移住に関する調査報告書に、「約25%の子どもが学校を辞めざるをえなかったとの知見が得られた。これは、移住によって人びとが蒙るリスクのひとつだ。」と記している。アルン・アントニー神父、ピタンバリ・ジョシャルカル氏との共著で出されたこの調査報告書は、バンガロールのクライスト大学によって出版されたものであり、国際カトリック大学連合からの資金提供によって作成されたものである。

 

配慮に欠ける救援対策は、災害時にかえって弱者を追い詰める「人災」を引き起こしかねない。従って、効率的な減災を実現するには、事前計画が大いに役立つ。つまり、人口、消費パターンに関する知識、生活水準、人間開発指標(HDIについてのデータベース管理を計画の中に盛り込み、災害にあいやすい地域における、特に子どもや弱者に対する災害の影響を弱めるようにしなくてはならない、と活動家らは指摘している。(原文へ

 

翻訳=IPS Japan

 

 

 

関連記事:

津波が来たらツイートを

|ユニセフ|資金不足で数百万人の子どもへ支援の手が回らず

震災・津波瓦礫と闘う日本