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|パプアニューギニア|民衆不在の土地取引で国土の3分の1が外国企業の手に

UNREDD【トロントIDNJC・スレシュ】

「ああ 立ち上がれ この土地に生きる全ての息子 私たちの喜びを歌うよ 神を賛美し歓喜し パプアニューギニア」これは、パプアニューギニア(PNGが1975年にオーストラリアから独立した際に制定した国歌の第1節である。しかし、この歌が体現する精神の多くが、少しずつ失われている。

PNGは、マレーシア、中国、オーストラリア、米国など多数の外国企業による近年最も大規模かつ急速な土地収奪の犠牲になっている。オークランド・インスティチュート、グローバリゼーションに関する太平洋ネットワーク(PANG)、ビスマルク・ラムグループが共同発表した調査報告書・映像作品「On our Land(私たちの土地で)」によると、こうした外国企業は、PNGの国土の実に3分の1近くを占有して、熱帯雨林(世界3番目の規模)を破壊し、現地住民から土地と歴史的・文化的伝統遺産を収奪しているという。


Papua Newguinea同報告書によると、「近年の土地取引における不正・管理不行き届きの衝撃的な実態が政府調査報告書で明らかにされているにも関わらず、ピーター・オニール首相は有効な対策を打ち出せず、事実上政府黙認の下で」、深刻な土地収奪が進行している。

報告書の執筆者であるオークランド・インスティチュートの政策責任.者フレデリック・ムソー氏は、「アフリカで長年大規模な土地買収の実態を目の当たりにし、あらゆる騙しと共謀のシナリオを耳にしてきたと思っていましたが、PNGの実態を知って認識を改めざるを得ませんでした。ここでは政府調査委員会の報告があるにもかかわらず、政府は問題が指摘された70の土地契約を見直したり地権を住民に返還するようなアクションを全くとっていません。ここでは依然として契約書の署名偽装からコミュニティーに対する抑圧や露骨な嫌がらせなど、あらゆる違法行為が横行しています。」と語った。

悲惨な現状を伝えたこの報告書の意義は、そもそもPNGでは土地に関する氏族の慣習的所有権が独立後に制定された憲法により保証され、国土の大半が民衆に属していた事実を考えると、より際立ってくる。最近まで、PNG国土の97%は地域の氏族・部族の保有であった。事実、PNGは世界でもっとも平等な土地分配を実現した社会として知られていたのである。

またPNGの熱帯雨林は世界第3位の広さを誇り、豊かな生態系に恵まれ多様な部族が生活している。しかし今日のPNGは、急速かつ大規模な土地収奪の舞台となっている。

報告書は国土の12%にあたる550万ヘクタールが外国企業にリースされていると指摘。数多くの外国企業が「特別農業・ビジネスリース」(SABLという公的枠組みの下で、土地のリースを受けている。

SABLは、元来この慣習的に利用されてきた土地を農業利用のためにリースすることを可能とした法的枠組みであった。しかしPANG報告書は、「リースを受けた企業は、実際には地域で木材の伐採を行って海外に売却しており、この枠組みは、外国企業にPNGにおける新たな木材伐採地の確保を比較的容易にする手段となってきた。」と記している。

公的機関の機能不全が浮き彫りに

2011年、PNG政府が立ち上げた「SABLに関する調査委員会」は、地元の人々に対する事前の十分な説明や承諾なしに土地リースが進められている実態を明らかにした。公的部局(土地省・農業省・森林省)はプロセスにまともに関与せず、本来住民の権利を守るために定められている諸規定は顧みられず、詐欺や汚職が横行していた。多くの取り決めにおいて、地権者の住民らは(リースされる土地の使用目的であるはずの)農業関連プロジェクトの性格や規模について、まともに知らされていなかった。

2013年9月18日、オニール首相は議会で調査委員会の報告について、「報告書は、行政の驚くべき腐敗と管理不行き届きの実態を露呈した。」と語った。

報告書は「PNGにおける木材産業の状況調査を目的に過去数次に亘って実施された政府委員会による報告は、いずれも森林伐採の大半が憲法を含む国内諸法に違反して行われており、公的部局の腐敗が深刻で関係諸法の施行能力が欠如しているために、違法伐採された木材が輸出され、不正浄化手続きを経て、改めて合法的な海外市場に流されている実態を指摘した。」と記している。

また報告書は、「PNGで深刻な違法伐採が横行し中国市場でそうした違法木材が幅広く流通している現実を考慮すれば、改正レイシー法欧州連合木材規制法(EUTRで違法伐採木材の取引を禁止している欧米諸国が、中国が輸出する木材やPNG原産の木材を受入れるべきかどうかは甚だ疑わしい。」と記している。

報告書は、PNG産木材の最大の輸入国は中国で2010年にはPNG産木材の97%を輸入、さらに翌年には輸入量を26%増やしている。その後中国は世界最大の違法伐採木材の取扱国となり、家具に加工して主に米国と欧州連合に輸出している。国際刑事警察機構(インターポール)は2012年の報告書で、PNGは世界で有数の違法伐採木材ロンダリングの拠点であるとしている。

Paul Hawken環境問題研究家のポール・ホーケン氏がナレーションを務めキックスターターキャンペーンの支援を得て制作された映画「On our Land(私たちの土地で)」と添付報告書は、パプアニューギニア国民が1975年の独立後に獲得した土地への権利を覆した「土地収奪」を可能せしめた政策の実態を暴露したものである。

またこの作品は、土地と資源が失われた結果引き起こされた人的損失と環境コストを描いている。そして「土地収奪」という複雑に捻じ曲がった世界の実態を暴露するとともに、PNGのように世界で最も平等な土地分配を実現したような国の政府が、自国の国民と憲法を裏切った経緯と理由を解明している。

PNGでは「開発のために土地使用に関する制限を緩和する」とした政府戦略のもとで、これまでに外国企業に対して850万ヘクタールの土地がリースされ森林伐採に供されたほか、550万ヘクタールの土地がパームオイルプランテーション用地へと変貌した。

報告書を作成したPANGのセラ・オーポン氏は、「太平洋地域の民衆にとって土地は、単なる商品以上の存在、つまり、福祉や生活、アイデンティティ、社会的なセーフティネットの源なのです。私たちは人口の大半を占める一般民衆に必要不可欠なサービス(基本的な保健医療、初等教育、食料や安全な水等)が提供されるよう政府への働きかけを続けていますが、民衆の基本的ニーズを満たす大前提として彼ら自身の土地へのアクセスが確保されていなければなりません。従って、外国企業による土地収奪の横行を許しているPNG政府の共謀は甚だしい不公正であり、早急な対応が必要なのです。」と語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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