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|書評|4マイル上空から帝国を防衛する(「ターミネーター・プラネット」)

 

【ワシントンIPS=ジョン・フェファー】

 

その兵器はある国を例外として、世界中で忌み嫌われている。米国のピューリサーチセンターが行った世論調査によると、(ドローン:drone)無人機を使用した攻撃に関して、市民の過半数が支持している世界で唯一の国は、この最新の軍事技術を最も定期的に使用している国――アメリカ合衆国のみである。

無人機を使用した攻撃について、米国では賛成する声が62%を占めたのに対して、反対の声は僅か28%であった。この結果は、改めて米国は世界のルールに対して例外であるという現実を示している。

 
ニック・タース氏とトム・エンゲルハルト氏が、最近出版した共著「ターミネーター・プラネット(ターミネーターの惑星)」の中で述べているように、無人機開発は、当初から米国が自認する例外主義という考えに基づいて進められてきたものである。無人機は1990年代末のコソボ紛争に際して偵察を目的に導入されたものであったが、間もなくして作戦空域における米軍の優位を確保するための主要な要素として重視されるようになった。

 
ロバート・ゲーツ国防長官
が2011年に行った演説の中で「米軍は、過去40年間において航空戦で1機の戦闘機も戦闘員も失っていない。」と豪語したが、著者たちが指摘しているように、米軍は無人機を導入する以前から圧倒的な制空権を確保してきた。

長引く経済不況から、国防予算削減に対する圧力が強まる中、無人機技術は、米軍の優勢と米国の世界唯一の超大国としての地位を低価格で保障する手段として、益々重要視されるようになった。エンゲルハルト氏が指摘しているように、無人機技術は、今や米国にとって「中央情報局(CIAを通じて、安価にしかも隠密裏に帝国を防衛する」不可欠な要素となっているのである。

また無人機技術は、米国の例外主義の伝統を更に拡張する上で、もう一つの重要な役割を果たしてきた。ブッシュ政権から対テロ作戦を継承したバラク・オバマ政権は、無人機技術の使用範囲をさらに拡大し、アルカイダタリバンの指導者の暗殺に活用した。

「現在は、KGBがかつて作戦で行ったような毒針を先端に仕込んだ傘を使用したり、CIAが行った毒入り煙草を使う時代は過ぎ去り、今や暗殺の舞台は空に移り、しかも年中24時間行われる活動へと変化している。」とエンゲルハルト氏は記している。

米国は、国際世論や国連レポート、国際法を公然と無視して、戦闘地域以外でもこのような暗殺行為を行う権利があると主張している。

共著者であるニック・タース氏は、本書の中に、米国国防省(ペンタゴン)とCIAが作り出した最新かつ詳細な無人機による作戦マップを掲載している(その図は当初TomDispatch websiteに掲載された)。MQ-9 リーパー、RQ-1プレデター、RQ-4 グローバルホークは、カタールのアル・ウダイド空軍基地をはじめトルコのインシルリク空軍基地、イタリアのシゴネッラ空軍基地、さらにはジブチ、エチオピア、セイシェルに設けた新拠点から飛び立ち、アフガニスタン全域をはじめ、今ではアジア各地に作戦領域を広げている。

軍当局は、この最新鋭技術への依存度をますます深めてきており、現在では軍が所有する航空機の3機に1機はロボット化されている。2004年、MQ-9 リーパーの飛行任務従事期間は僅か71時間だったが、2006年には3,123時間に跳ね上がり、さらに2009年までには25,391時間に伸びている。

多くの人員をアフガニスタン作戦にとられ、大規模な米兵の海外駐留に異議を唱える反軍事基地運動に直面する一方、政府がさらなる予算削減の方策を追求する中、無人機の開発は、新たな魅力的な選択肢として浮上しているようだ。

「私たちは、(人間とは異なり)抗議も勝手な欠勤もできない、また、『市民生活』も家もないモノ(無人機)に、ますます戦争をアウトソーシングするようになっています。」とエンゲルハルト氏は語った。

無人機が世界的に嫌われている主な原因は、他の航空機と比べて無人機が誤爆による犠牲者を多く出してきた点にある。作戦区域から遠く離れた米国本土の軍事基地で無人機をモニター越しに操作しているスタッフたちは、事実これまでに多くのミスを犯しており、パキスタン一国だけでも、200人の子どもを含む数百人の民間人を誤って殺害している。

しかしこれまでのところ、米国の一般市民は無人機のこうした負の側面にあまり関心を寄せていない。その背景には、オバマ政権が、無人機の性能について、あたかも外科手術で健康な患部の周りを傷つけることなく癌細胞のみを除去できる精密兵器だと、繰り返し保障してきた広報戦略がある。

さらに米国政府は、無人機の研究開発において、技術面の優位性を維持し続けており、現時点で、米国本土に対する無人機による攻撃が行われるリスクは低い。しかし、ジョージ・W・ブッシュ政権は、イラク攻撃を正当化する根拠の一つに、サダム・フセインが無人機を使って米国本土を標的に大量破壊兵器を使用するリスクを挙げていた。

しかし、ピューリサーチセンターの世論調査結果が示しているように、無人機攻撃は各地に深刻な反米感情を引き起こしている。2010年にニューヨークのタイムズスクェアで発生した自動車爆弾テロ未遂事件の実行犯は、米軍がパキスタンで展開している無人機による攻撃を、犯行動機の一部として告白している

また、他の国々‐イスラエル、ロシア、中国、イラン-も無人機ビジネスに参入してきている現状を考えれば、米国が無人機市場における圧倒的な優位を失うのも時間の問題かもしれない。

タース、エンゲルハルト両氏は、無人機の歴史的な位置づけについて、それが革命的な転換をもたらした存在なのか、それとも従来の制空権の優位を競う流れの中で登場した過渡的なものなのかについて、意見が分かれている。

「もちろん、この機械は進化したサイボーグというわけではありません。ある意味では、そんなに先進的なものでもないのです。」とエンゲルハルト氏は記している。

まして、今日の先進的な防空システムをもってすれば、こうした無人機は、むしろ容易に撃墜が可能である。つまり、無人機の使用は、そのような防空システムが整っていない場所においてのみ効果的なのである。

一方で、急激なインターネットの普及がコミュニケーションのあり方を根本的に変化させるのみならず、人間の考え方さえも変えたように、無人機は、おそらく、戦争や国境に関して米国やその他の国々が抱いている概念を徐々に変化させていく存在となるだろう。両共同執筆者は、本書の中で、事前に標的を定めて戦うようプログラムされた自律無人機が互いに戦うといった様々な未来のシナリオを描いている。

その内、ペンタゴンが作成した「2011~2036年度における無人システム統合ロードマップ(Unmanned Systems Integrated Roadmap, FY 2011-2036)」と題した資料を基にしたあるシナリオでは、米国の無人機が西アフリカ沖の海底油送管を狙う無人機を捕捉・無力化(撃墜)する場面が描かれている。このことからも、米国が無人機技術分野において将来的にも優位性を確保し続ける意向であることが窺える。

またタース、エンゲルハルト両氏が、繰り返し言及しているもう一つのシナリオは、ハリウッド映画「ターミネーター」に描かれた「ロボット対人間」というシナリオである。この映画の中では、未来の地球はロボットに支配されており、アーノルド・シュワルツェネッガーが扮するロボットが、人間のレジスタンスを率いるジョン・コナーを抹殺すべく、後に彼を生むことになる母親を殺すために過去に送られる。

ペンタゴンは、将来は前者のシナリオ(ロボット対ロボットの戦い)になると踏んでいる。しかしタース、エンゲルハルト両氏は、今後も人類が技術を盲信し、米国が例外主義を貫き通して、世界中に無人機が急速かつ大量に拡散する事態になれば、将来の世界はペンタゴンの予測よりも、もしろハリウッド映画が描した悪夢に近づくのではないかと心配している。(原文へ


翻訳=IPS Japan

 

 

 

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