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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

|軍縮|核実験の包括的禁止は核兵器なき世界への一里塚(ラッシーナ・ゼルボCTBTO準備委員会事務局長インタビュー)

Gamma spectroscopy can detect traces of radioactivity from nuclear tests from the air. Credit: CTBTO Official Photostream/CC-BY-2.0【国連IPS=カニャ・ダルメイダ】

4週間にわたる核不拡散条約(NPT)運用検討会議が国連で開かれている最中であるが、人類への最大の脅威に関する拘束力のあるこの政治協定がきわどい状況にある中、希望と不満が同じように交錯している。

5つの核保有大国(米国・英国・フランス・ロシア・中国)の間の権力闘争に報道はもっぱら焦点を当てているが、地政学的な対立に巻き込まれることを拒否する多くの組織が、より安全な世界を創出するという難題に挑んでいる。

Dr. Lassina Zerbo, executive secretary of the Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty Organisation (CTBTO). Credit: CTBTO Official Photostreamこうした組織の一つが、ウィーンを本拠とする包括的核兵器禁止条約機構準備委員会(CTBTO)である。包括的核実験禁止条約(CTBT)の履行状況を独立の立場から監視する機関として、CTBTが締結された1996年に創設された。

183の署名国と164の批准国を持つ同条約は、核実験禁止に向けた国際的取り組みの一里塚となっている。

しかし、CTBTが法的拘束力のあるものとなるためには、44か国から成る発効要件国(いわゆる「付属書2諸国」)の批准を必要とする。そのうち、中国、エジプト、イラン、イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮、米国の8か国が条約批准を拒否している。

これらの未加盟国の存在により、核廃絶プロセスのもっとも基本的な目標に向けた動きでさえ阻害されてきた。

それでもなお、CTBTOは、完全批准に向けた環境を整えるために、この20年間、相当の努力を積み重ねてきた。

地震、水中音波、微気圧振動及び放射性核種の観測所が世界中に網の目のように張り巡らされ、諸国が条約に違反する行為を行うことはほぼ不可能になっている。また、CTBTOの多くの施設から集められた豊富なデータは、世界中で広範囲にわたる科学的な取組みに貢献している。

CTBTO事務局長のラッシーナ・ゼルボ博士は、IPSとのインタビューで、同機関の2015年NPT運用検討会議に対する期待と、核兵器なき世界への途上に立ちはだかる主な障害について考えを語った。

以下は、インタビューの抜粋である。

Q:CTBTOはNPT運用検討会議でどのような役割を果たすことになりますか?

A:軍縮と不拡散に関してよい結果がこの4週間の交渉で得られることを切に希望していますが、CTBTはその中で重要な役割を果たすと考えています。CTBTは、NPTの無期限延長を成立させた主要因の一つであり、すべての加盟国をまとめる要素にもなっています。それは比較的到達しやすい成果(=残り8か国の条約批准をとりつければ発効する)の一つであり、この運用検討会議でいかなる成果を得ようとするにせよ、CTBTの発効をその一里塚として機能させるようにしなくてはなりません。

例えば、核不拡散に関してまず取り組まねばならないと考える国々と、より迅速にとまでは言わないまでも、核不拡散と同等に核軍縮についても取り組まねばならないと考える国々との間に、妥協点を見つける必要があります。

また、核保有国がより近代的な兵器を開発することが許されているのに、その他の国々に関しては核兵器取得に繋がりかねない基本的な技術さえ開発を禁止されていることに疑問を持つ国々の懸念に対して、私たちは応える必要があります。

CTBTはすべての国家が同意できるようなものを表しているのです。それは、その他の、より難しい問題に関するコンセンサスの基盤として機能します。これこそが、私がこの会議で伝えたいメッセージです。

Q:CTBTOの最大の成果は何でしょうか? 将来に向けてゼルボ事務局長がもっとも火急の問題と考えることは何でしょうか?

A:CTBTOは、すべての水中・地下・空中の核爆発実験を禁止しています。私たちはこれまでに、放射性物質の放出を追跡するものを含め、核実験を探知するために約300の観測所ネットワークを構築してきました。

私たちの国際監視システムは水平的拡散(核兵器保有国の拡大)だけではなく、垂直的拡散(現有兵器庫の拡大及び精密化)も防止してきました。

CTBT批准に二の足を踏んでいる国がいるのはそのためです。自国の核兵器体系を維持ないしは近代化するには核実験が必要だと考えているからなのです。

今日の核兵器開発は、20年から25年前に実施された実験のデータを基礎としています。北朝鮮以外のどの国も、21世紀に入って1回も核実験を行っていません。

Q:北朝鮮のような国にどのように対処しますか?

A:北朝鮮と公的に接触があるわけではありません。世界の指導者から伝えられていることを基にして、判断するしかありません。(ロシアの外相である)セルゲイ・ラブロフ氏が北朝鮮をCTBTの議論に巻き込もうとし、北朝鮮は核実験モラトリアムを検討する意思があるかどうか尋ねたことがあります。昨日私は、北朝鮮と国交のあるカザフスタンのイェルツァン・アシバエフ副外相と面会しましたが、同国は北朝鮮に対してCTBT署名を検討するよう緊急に要請しているところです。

(北朝鮮と)二国間関係にあるこうした国によって、私たちは助けられています。

そうは言っても、もしCTBTOが北朝鮮に招かれ、北朝鮮がCTBTやその組織的枠組み、私たちが構築してきたインフラについて理解するための議論に関与する基盤となりうるような会談を持てるとしたら、どうでしょうか? もちろん、断る理由はありません。喜んで参ります。

私たちはまた、中東のような地域でCTBTに署名することでリーダーシップを取りうるイスラエルのような国とも接触しています。つい最近イスラエルを訪問した際、次のような問いかけをしてみました。「(イスラエルは)核実験をやるつもりですか?そうではありませんね。核実験が必要ですか? そうではありませんね。ならば、非核兵器地帯、あるいは非大量破壊兵器(WMD)地帯のさらなる批准・検討につながりうるような、(中東)地域における信頼醸成のために必要な枠組みを開くために、リーダーシップを発揮されてみてはいかがでしょう?」

イスラエルは今や、CTBT批准は「可能性」(if)の問題ではなく、「時期」(when)の問題であると述べています。その「時期」がそう遠くないことを望みます。

Q:核軍縮と核廃絶を求める数多くのデモが行われ、署名が提出されても、核保有大国は聞く耳を持っていません。運動の最前線にいる人々にとっては、きわめて残念な傾向です。世界の市民社会に対するメッセージは何かありますか?

A:あなたの国の政治指導者にプレッシャーをかけ続けてください。この問題を前進させるための政治のリーダーシップを私たちは必要としているのです。現在、世界の9割の国々が、核実験反対の意思を示しています。にもかかわらず、私たちは、(CTBTに批准していない)一部の国々によって人質に取られた状態になっているのです。

市民社会だけが、諸政府に対して、「あなたがたが依然として保有し、依然としてこだわっているもの(=核兵器)に対して、世界の大多数が『ノー』を突き付けているのだから、あなたがたには行動を起こす義務がある」と語りかけることができます。CTBTは、「核兵器なき世界」という、できれば私たちが生きている間に実現したい目標を達成するための重要な要素なのです。(原文へ

翻訳=IPS Japan

 

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