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国連要員の性犯罪予防キャンペーン、まずは非軍事職員をターゲットに

Different jurisdictions and immunities apply to civilian and military personnel, made more obscure by a lack of transparency and detail in the U.N.’s reporting of abuse cases. Photo: UN Photo/Pasqual Gorriz【国連IPS=リンダル・ローランズ】

「私たちはこの問題についていくらでも議論はできますが、犠牲者の立場になって考えれば、一刻も早くこの悪弊をやめさせるための行動をおこさなければなりません。」

これは、著名な人権活動家のグラサ・マシェル氏が、国連の平和維持活動(PKO)に従事する国連職員による性犯罪防止を目指す「コード・ブルー」キャンペーンを立ち上げた際に訴えた言葉である。

"Madame Graca Machel" by Madame_Graca_Machel.TIF: Sportsforpeacederivative work: Rosentod (talk) - Madame_Graca_Machel.TIF. Licensed under Public Domain via Wikimedia Commons -マシェル氏は、5月13日に開催されたこの問題に関するシンポジウムにおいて、国連調査報告書「戦争と子どもたち : 武力紛争が子どもにおよぼす影響」を作成する過程で自身が経験した失望感について次のように語った。

「私たちは、国連PKO要員から虐待をうけた女性や少女らと遭遇し、大きなショックを受けました。」「平和維持活動は、軍事的に戦闘がない状態を保つということだけではなく、地元の人々の心に平和をもたらすことなのです。」

マシェル氏の訴えに、当日登壇したパネリストら(ルワンダ虐殺の際に国連ミッションに参加したロメオ・ダレール中将、アンワルル・チョウドリ元国連事務次長、「アフリカ女性開発財団」のテオ・ソワ会長、そしてこのキャンペーンの先頭に立って活動している「エイズなき社会」のポーラ・ドノバン共同代表。)は一様に共感の意を示した。

パネリストらは、国連並びに世界の指導者に対して、国連の内部資料へのアクセスを容易にし、職員への聞き取りを認めることで、国連職員による性犯罪調査をスムーズに行う環境を整えるよう要求した。

マシェル氏は、会場のメディア関係者から質問が相次いだ(真相究明に際しての)複雑な手続きや制約に対処するよう求めた。

これまでPKO要員の関与が疑われた国連による調査は、実に複雑な問題を抱えてきた。それぞれの民間・軍事要員に適用される異なる管轄権や免責規定の問題に加えて、報告書が透明性と具体性に欠け真相が曖昧にされる傾向にあったからだ。

「コード・ブルー」の創設者らは、この全般的な問題に取り組むための重要な第一歩として、まずは非軍事要員をターゲットにするアプローチを打ち出した。

国連軍事要員による性搾取と性的人権侵害』の著者であるロイジン・バーク博士はIPSの取材に対して、「非軍事要員をめぐる『法的空白』の問題に対処する必要はありますが、『コード・ブルー』が軍事要員・非軍事要員両方の問題に同等に取り組むよう望みます。」と語った。

バーク博士は、「国連PKO要員の70%から80%は軍事部門に属しており、世界中に何十万人という軍事要員が展開しています。」と指摘したうえで、「一人あたりの性犯罪発生率は、民間要員の方が軍事要員よりも高いのはたしかです。しかし発生件数全体でみると、民間要員が関与した件数のほうが多いということにはなりません。」と語った。

シンポジウムでは、軍事要員の問題についても議論された。「コード・ブルー」では、民間要員に対する調査を阻害している免責を巡る国連の官僚的な遅延問題に取り組んだのちに、軍事要員の問題についても取り組んでいく予定だ。

ダレール中将は、母国の司法管轄権下にある軍事要員に対する犯罪容疑を捜査する難しさについて、「各々の国がそれぞれの判断基準に従って行動しています。大抵の場合、(自国が派遣した容疑者に対する)本格的な捜査は行わず、本国から航空機を手配して要員を乗せ、去っていきます。」「権限があまりにも中央に集中し過ぎているため、現場では時宜を得た捜査が困難なのです。」と語った。

パネリストらは、軍事要員による性犯罪に対する起訴の可能性が高まれば、各国がPKOに要員を派遣しなくなるのではないかという意見があることについて、「そうした危惧は当たらない」と主張した。

チョウドリ元国連事務次長は、「私は国連に最大の軍事要員を提供しているバングラデシュの出身者ですが、バングラデシュ政府は、派遣要員に求められる基準を高くすることを歓迎するでしょう。」と語った。

「コード・ブルー」はまず、民間要員に適用されている免責問題に取り組む予定だ。

ドノバン氏は、「これまでしばしば国連の官僚主義が立ちふさがり、PKOの民間要員にかけられた容疑の立証が不可能になることがありました。」と指摘したうえで、「この官僚主義の弊害を打破する第一歩は、免責問題への取組みです。」と語った。

UN Photo/Mark Garten国連職員が公務に従事している間は免責される規定があるからといって、この免責条項は、職員の性的搾取や虐待行為を隠ぺいことを意図して設けられたものではない。しかしドノバン氏によると、国連職員の性犯罪が疑われる個別の事例に関しては、事務総長自身による審査が必要と規定されており、犯罪が公務時のものかどうかを判断するのに相当の時間がかかるため、その間に証拠が逸散してしまったり証人がいなくなってしまったりすることがあるという。

チョウドリ元事務次長はIPSの取材に対して、「国連は、こうした状況について、これ以上法律の問題の陰に隠れるのではなく、高尚な立場をとるべきです。もし国連が今後平和維持活動に従事する女性要員の数を増やすことを真剣に考えるのであれば、性的搾取や虐待の問題に取り組むことは重要な課題のはずです。」と語った。

今年初めに「エイズなき社会」がリークした、国連内部の専門家報告書によると、明るみに出ていない(国連PKO要員の関与が疑われる)事案はかなりの数にのぼっている。

ソワ会長は「私は国連の存在意義を信じているので、国連が紛争地域の女性や少女たちを食い物にする者たちを訴追する存在ではなく、逆に彼らの擁護者になっている現状に大きなショックを受けていますし、この問題がこうして議論されなければならないことに、胸が張り裂けそうな思いです。」と語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan

 

 

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