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|児童労働|シリア危機の隠された悲劇

Aboudi, 12, spends his evenings selling flowers outside Beirut's bars. His parents are stuck in his war-torn hometown Aleppo in Syria. Credit: Sam Tarling/IPS【国連IPS=カニャ・ダルメイダ】

今年1月時点で22万人の命を奪い84万人を傷つけた紛争では、時として死者統計以上のことを見ることが困難である。

シリア内戦は、民主派の活動家とバシャール・アサド大統領下の堅固な独裁制との間の対立として始まったが、現在は世界で最も厳しい紛争のひとつとなった。4つの別個の武装集団がこれに加わり、地域のその他の国々も巻き込んでいる。

数百万人が飢餓の危機にあり、シリア難民の数はいまやパレスチナ難民に続いて世界で2番目に多くなっている。こうした中、これまではあまり知られてこなかった戦争関連の惨状が、新聞の見出しに競って現れてきている。

7月2日、国際連合児童基金(ユニセフ)と「セーブ・ザ・チルドレン」は共同で、シリア危機の隠された一面、すなわち、地域における児童労働の拡大に関する報告書を発表した。

ヨルダンの首都アンマンで発表されたプレスリリースでユニセフは、「シリアの子どもたちは、世界が紛争を終わらせることができないために多大の犠牲を払わされている。」と述べた。

UNICEF「この報告書は、シリアの子どもたちが、調査した世帯の4分の3以上において家計に貢献していることを明らかにした。ヨルダンでは、すべてのシリア人の難民児童の半数近くが共同あるいは単独で家族の稼ぎ手となっており、レバノンの一部では、たった6才の子どもが働いているという」。

「すべての労働児童のうちもっとも脆弱な子どもたちは、武力紛争や性的搾取、集団での物乞いや児童人身売買のような違法行為に関わっている子どもたちである」とプレスリリースは述べている。

ユニセフのデータによると、紛争が勃発する4年前以前には、シリアは中所得国であった。民衆は通常の生活水準を享受し、識字率は9割を誇っていた。

しかし、今年半ばまでには、シリア国民の5人に4人が貧困線以下の暮らしをしており、760万人が国内避難民と分類されている。

すべての都市や町から住民がいなくなり、経済活動が崩壊して、失業率は2011年の14.9%から今年は57.7%まで急上昇した。

国連難民機関は、約330万人が国外に逃亡し、近隣諸国の難民キャンプや一時的なシェルターで暮らしていると推計している。女性と子どもが難民の半分以上を占める。

シリア国内にとどまっている住民の大部分(64.7%以上)が、「極度の貧困」生活を送っていると分類され、もっとも基本的な食べ物や衛生上の必要も満たすことができていない。

専門家によれば、だとすれば、子どもたちが主たる稼ぎ手になり、家族の生計を支えるために街頭に出てさまざまな産業に従事することは不思議ではないという。

ヨルダンに逃げたシリア人難民で12才のアフメドは、ユニセフからの聞き取りにこう答えている。「私には家族への責任があります。自分はまだ子どもだと思うし学校にも行きたいけど、家族に食べ物を持ってくるには自分が働くしかありません。」

『小さな手、重い負担:シリア紛争がいかにして子どもたちを労働に追いやっているか』と題された報告書は、推定270万人のシリア人の子どもが学校に通っていない、としている。

教育機会がなく、人道支援の配給も少なくなる中、この子どもたちは、児童労働の真の部隊を構成しているか、あるいは今後そこに加わる危険性がある。

「ヨルダンでは、避難先で働く子どもの大多数が週に6~7日は働いている。3分の1の子どもは1日8時間以上働いている。」「1日あたりの収入は4~7ドルである。」と報告書は述べている。

児童労働の広がりは、教育や認知の発達への後戻りできない阻害であり、人生の後の段階においてよい職に就ける機会を制限するというだけではなく、若い人々の身体をも傷つける。

「セーブ・ザ・チルドレン」は、「ヨルダンのザータリ難民キャンプの労働児童のうち約75%が健康問題を抱え、約40%がけが・病気・不健康を抱え、レバノンのベッカー高原で働く児童の35.8%が、読み書きができなかった」と推定している。

数多くの世帯を飢餓が捉えてしまうようなこうした紛争の状況下では、あらゆる産業がまともなものに見えてしまう。

Syrian refugee children learn to survive at a camp in north Lebanon. Credit: Zak Brophy/IPS.たとえばベッカー高原では、移住農業動労者にかつて日給10ドルを与えた地主らが、しばしば親と一緒に同じような仕事をしている児童に日給4ドルしか与えていない。

都市の中心部や自動車修理工場、各種作業場、建設現場などが「人気」のある職場だ。10才のシリア人男児が、レバノン中の街で、大工仕事や金属加工、自動車修理などの仕事にフルタイムで従事している。

街頭での労働は子どもたちにとってもっとも危険な職のひとつである。最近、レバノンの2つの主要都市を調査したところでは、1500人以上の児童のストリート労働者がおり、そのうち73%がシリア難民であったという。

子どもたちは、物乞いや行商などで1日平均11ドルを稼ぐ。他方で、売春のような違法行為に従事すれば、小さい子どもでもたった1日の労働で36ドルものお金を手にすることが可能だという。

ユニセフによれば、児童労働の問題は、子どもの人権と教育をシリア危機への人道的対応の中心に置く目的で2013年に立ち上げられた「ロスト・ジェネレーションをなくすキャンペーン」の「達成にとって中心的な課題である」という。(原文へ

翻訳=IPS Japan

 

 

 

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