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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

国連事務総長「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ」を訴える

A Hibakusha, one of the survivors of the atomic bombings in Hiroshima and Nagasaki, speaks at a special event commemorating Disarmament Week in October 2011. Credit: UN Photo/Paulo Filgueiras【国連IPS=タリフ・ディーン】

日本への原子爆弾投下70年を記念する演説で、核軍縮の必要性を声高に訴えてきた国連の潘基文事務総長は、「ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ」という両被爆都市が世界に発信してきたスローガンに賛同を表明した。

1945年8月6日の広島と、その3日後の長崎への原爆投下により、20万人以上が放射能の影響、爆風、熱線によって亡くなったという恐るべき数字について潘事務総長は語った。

"Ban Ki-Moon Davos 2011 Cropped" by World Economic Forum - Licensed under CC 表示-継承 2.0 via ウィキメディア・コモンズ -さらに、第二次世界大戦終結以来、40万人以上が、この核攻撃の影響によって亡くなり、今も亡くなり続けている。

潘事務総長はまた、「皆様が被爆の記憶を継承して下さっているように、国際社会も核兵器が廃絶されるまで尽力し続けなくてはなりません。」「国連は、70年前に創設されて以来、大量破壊兵器の廃絶を求め続けてきました。」と語った。

1946年1月に採択された国連総会の最初の決議は、すべての大量破壊兵器を廃絶するという目標を定めるものであった。

「この目標を実現するまで、核兵器の危険性に関する意識を世界中で喚起し、国際社会の緊急の対応を要請するために、あらゆる機会を利用していきます。」と潘事務総長は語った。

アボリション2000」調整委員会の委員で「核時代平和財団」ニューヨーク支部のアリス・スレイター支部長はIPSの取材に対して、「70年前のこの運命の日(8月6日)、当時現存した2発の原爆のうちの一つが広島に投下され、8月9日には2発目の破滅的な爆発が長崎の街を破壊しました。これによって、その年の末までに22万人以上が亡くなり、さらに数多くの人々が、放射線による汚染とその致命的な後遺症のためにその後も亡くなっていったのです。」と語った。

スレイター氏はまた、「こうした恐るべき事態が日本で起きたにも関わらず、現在でも地球上には1万6000発の核兵器があり、そのうち1000発以外は米国とロシアが保有しています。」と指摘したうえで、「核兵器を抑制し廃絶するための法的枠組みは貧相なものです。核不拡散条約(NPT)で認められている5つの核兵器保有国である米国・英国・ロシア・フランス・中国は、45年前の1970年に核兵器を廃絶する努力を誠実に行うと約束したにも関わらず、依然として核抑止力に固執し、『安全』のために核兵器は必要だと主張しています。」と語った。

ICAN米国が提供する、核「抑止」という形での「安全保障」は、核同盟関係にある北大西洋条約機構(NATO)加盟国や、アジア・太平洋地域の日本・オーストラリア・韓国など、多くの国に拡大されている。

「NPT非加盟国であるインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮(NPTを脱退)は、核兵器を製造するために、原子力の「平和」利用というファウスト的な取引を利用し、安全のための核「抑止力」への依存を同じように主張しています。」とスレイター氏は語った。

「(核兵器国以外の)世界の大半の国々は、核兵器国が、核軍縮を行うという約束を履行しないばかりか、核戦力を継続的に近代化し「改善」している現状に憤慨しています。」とスレイター氏言う。米国は、今後30年で1兆ドルかけて、新たな核兵器製造工場2か所と核運搬手段や弾頭を製造するという。つい先月には、自由落下型の核爆弾「B61-12」を使用した核バンカーバスター弾頭の実験をネバダ州で行ったばかりである。

"Lawrence Livemore National Laboratory Aerial View" by llnl.gov. Licensed under public domain via Wikimedia Commons米国が新たに改修された核兵器を製造するために多額の資金を投じているローレンス・リバモア国立研究所(カリフォルニア州北部)近くで、平和活動家らが原爆投下70周年の行事を開いた。

ローレンス・リバモア国立研究所は、米核兵器備蓄における全ての核弾頭の設計に関与してきた2つの研究所のうちの一つである。

核軍縮を長年推進してきた西部諸州法律家財団(WSLF)は報道発表で、「米国が広島・長崎の人々に原爆を投下してから70年、核戦争の準備がローレンス・リバモア国立研究所で進行している。同研究所の2016会計年度予算の実に85%超が、核兵器向けとなっている。」と述べた。

同研究所の科学者らは、空中発射の巡航ミサイルに替わる、新型の長距離スタンドオフ兵器として(スタンドオフとは、敵の攻撃の射程圏外にある状態を指す:IPSJ)、改修型の核弾頭を開発中である。

「約1万6000発の核兵器(そのうち94%を米国とロシアで保有している)が人類に受け入れがたい脅威を与えており、核の敵対状況が生まれる可能性がある場所の一つである欧州の辺境で、核兵器の問題が再び中心的な課題になりつつあります。」とスレイター氏は語った。

核交戦が、事故、計算違い、あるいは狂気、いずれの理由で起きるのであれ、放射能汚染と煤煙は国境を超えて拡大していくことになる。

WSLFの声明はまた、「米国が今後30年間で1兆ドルをかけて、核爆弾、弾頭、運搬手段、インフラを『近代化』し、それを今後数十年維持しようと計画している。私たちの健康、環境、倫理、民主主義、平和への見通し、人類生き残りへの確証など、それが人間に及ぼすコストは計測不能である。」と指摘している。

ICAN「ここリバモア国立研究所に集った私たちは、核兵器予算を削減し、人間のニーズにそれを振り向けるよう要求する。この70周年の日に、私たちはイラン核協議の妥結を歓迎し、米国政府に対して、核兵器の普遍的な廃絶を達成すべく、時限を切ってこのプロセスを主導するよう求める。」

「発効後25年のNPTを無期限延長することと引き換えに核保有国が1995年に約束した、中東非大量破壊兵器地帯化に関する会議についてのエジプト提案を米国、英国、カナダが拒絶して、5月に行われたばかりのNPT運用検討会議は決裂に終わりました。しかしこの会議では、非核保有国が大胆なステップをとりました。」とスレイターは語った。

南アフリカ共和国は、核兵器を「持つ国」と「持たざる国」との間の現在の「安全保障」システムにおける、容認しがたい核のアパルトヘイト状態に対して怒りを表明した。これは、少数者のための安全保障ドクトリンが全世界を人質に取るようなシステムである。

ここ2年の間、ノルウェー、メキシコ、オーストリアで諸政府と市民社会による大きな会議が3回開かれ、今回のNPT会議の最後には100か国以上が、核兵器の禁止・廃絶に向けた法的欠落を埋めるための効果的手段を確定し追求することを謳ったオーストリア政府主導の「人道の誓約」に署名した。

世界が化学兵器や生物兵器に関してそうしたように、核の恐怖を絶対悪とみなし否定するために核兵器を禁止する条約の交渉に向かうよう、113か国が現在のところ呼びかけている(www.icanw.org参照)。

スレイター氏はまた、「核兵器の傘の下に守られている国々も、市民社会からのプレッシャーによって『核を持つ悪魔』との同盟をあきらめ、『人道の誓約』に加わってくれることを望んでいます。」と語った。

The Atomic Bomb Dome in the Hiroshima Memorial Park in japan was designated UNESCO World Heritage site in 1996/ Freedom II Andres Imahinasyon/CC-BY-2.0「広島・長崎で起こった恐るべき出来事を世界中で記憶し記念するこの8月こそ、核兵器禁止に踏み出すべき時です。(核兵器禁止条約締結に向けた)交渉を今こそ始めましょう!」(原文へ

翻訳=IPS Japan

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記者追記:

暗黙の、しかし脆弱なタブー

核政策に関する法律家委員会」のジョン・バローズ代表はIPSの取材に対して、「米国による広島・長崎への原爆投下は、核兵器の恐るべき性格を見せつけました。」「それこそが、核兵器がその後70年も戦争においては使用されなかった理由です。中には、核使用に関する『タブー』を口にする人もおり、ある一つの規範が生まれつつあるようです。」と語った。

国際司法裁判所赤十字国際委員会は、核兵器使用は、戦争の影響から民間人を保護する人道法と相容れないとの見解を明らかにしている。

最近開催された2015年核不拡散条約(NPT)運用検討会議では、最終文書こそ採択されなかったものの、NPT上の核保有国を含むすべての加盟国が、「核兵器が二度と使わないことが人類の利益であり、すべての人々の安全を保障するものだ」という内容に合意する用意があった。

しかし、このタブーは、ウクライナをめぐる核の対立に示されるように、脆弱なものだ。1945年以来核兵器が使用されてこなかったのには、別の理由もある。

いくつか例を挙げれば、第二次世界大戦で破壊を尽くした後の厭戦気分、戦後に創設された国連などの国際機関の積極的な役割、核兵器の配備によってたいていは、しかし常に生み出されたわけではない警戒心があるだろう。

「しかし、現状に満足するわけにはいきません。核不使用という、生起しつつある規範は、いかなる状況においても核兵器の使用を禁止し、それを廃絶することについて規定した、全ての国家が参加した世界的な条約によって法制化される必要があるのです。」とバローズ氏は語った。