www.facebook.com
www.twitter.com
www.linkedin.com
www.blogger.com
www.myspace.com
RSS Feeds
 
INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

米政府、マリ軍事政権に政治から手を引くよう求める

Malian rebels do not have the support of most ethnic groups in the north of the country. Credit: William Lloyd-George/IPS【ダカールIPS=ソウレマネ・ガノ】

 

ジョニー・カールソン米国務省アフリカ副長官(右上写真)は、「3月22日に政府を打倒したマリ軍兵士達には、政権を掌握する権利も、同国が現在直面している人道危機や安全保障問題に対処できる力もありません。」と語った。

またカールソン副長官は、「マリ共和国で21年間続いた民主政体が、祖国や人民の福祉よりも自らの利益を優先する少数の反乱兵士達により、打倒されてしまいまいました。このクーデターにより、マリの領土的一体性が危機に瀕し、結果的に国土の半分にあたる北部を(トゥアレグ族等による)反乱勢力に奪われてしまいました。さらに経済は後退し、深刻な旱魃に見舞われている北部への政府の対処能力も低下しています。」と語った。

さらに副長官は、「反乱軍を指揮しているアマドゥ・サノゴ大尉と彼が率いる『民主主義制定のための全国員会(NCRDS)』のメンバーは、兵舎に引き上げるとともに、憲法に基づく統治政体を復帰させなければなりません。」と、5月16日に行われたアフリカ全土を網羅した遠隔地間会議(テレ会議)において語った。

 
「民主政体への復帰プロセスが早ければ早いほど、マリは地域及び国際社会における同盟諸国の支援を得て、クーデター以降被ったダメージを早期に修復することができるでしょう。」

またカールソン副長官は、条件が整いさえすれば、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWASが計画しているロジスティクス面での支援、及び、ECOWAS軍のマリ国内における展開について、米国政府として支持する意向である旨を明言した。

さらに副長官は、「米政府は、ECOWAS事務局(ナイジェリアのアブジャ)の役割を高く評価しており、現議長のアラサン・ワタラ(コートジボワール大統領)氏とダニエル・カブラン・ダンカン(同国外相)氏がこれまでECOWASを統率してきた手腕に大いに信頼を寄せています。」と語った。

一方ワシントンDCではビクトリア・ヌーランド国務省報道官が、「米国政府は、もしECOWASによるマリの民主政体と憲法に基づく法の支配の復活が遅れるようなことになれば、問題は同国一国の問題にとどまらず、地域全体に悪影響が及びかねないと懸念している。」と語った。
 
報道官はさらに、「もし憲法により正当と認められた政府と治安部隊が(対話を通じ、国民の納得も得、さらに軍の協力も確保する形で)再び一つになれなければ、北部(アザワド)を実効支配している(イスラム)過激派やテロリストと戦うなど到底おぼつかないと言わざるを得ません。」と語った。

こうした米高官の一連の発言について、ダカールに本拠を置くムリムム・アフリカコンサルティング(コミュニケーション・政治戦略コンサル企業)のアブドゥ・ロー所長は、「米国がマリの政治状況を打開していくうえで、ECOWASが主要な役割を担うことを期待している様子が窺えます。」と語った。

「要するに、カールソン副長官は、ECOWASに指導的役割を担わせることで、同組織の機能強化を図りたいのです。米政府はこうした態度を示す背景には、ECOWASがその信頼性を高める必要に迫られている事情があるのです。」

ロー所長は、この点について、「ECOWASは、多くの弱小国家を加盟国に抱えている事情に加えて、加盟国各国の軍が近年政治への発言力を強化しており、さらにイスラム原理主義勢力が域内各地に台頭していることから、近年影響力が徐々に弱体化しているのです。」と説明した。

「今日の混乱を招いた原因は、マリの政治指導者に戦略的なビジョンが欠けていたことに他なりません。今日マリでは、軍事政権とATT支持勢力(アマドゥ・トウマニ・トゥーレ前大統領支持派)、政界リーダーたちが三つ巴となって政治主導権を争っていますが、現在マリにとって最も重要な課題は、国土の領土的一体性をいかに確保するかということなのです。」

サノゴ大尉は依然としてマリの暫定政権の任期(憲法の規定により5月22日に期限を迎える)を1年延長するというECOWASの提案に反対し続けており、対案として、全国会議を開催して移行期の政権を率いる新大統領を指名することを提案している。

この提案について、5月16日にアビジャンを訪問したディオンクンダ・トラオレ暫定大統領(前国会議長)は、「それでは問題の解決にはなりません。そもそも全国大会の開催など、4月6日にバマコでECOWASと軍事政権が調印した枠組合意に含まれていなかったのです。」と語った。

トラオレ暫定大統領は、憲法の規定通り、40日期限が切れる際に、ECOWASと軍事政権は再度会合し、次のステップを話し合わなければなりません。」と語った。アビジャンの外交筋によるとECOWASの閣僚級使節団が5月21日か22日にバマコを訪問予定とのことである。

マリのトゥーレ前大統領は、3月22日に起こったクーデターにより政権の座を追われた。当時トゥーレ政権は、トゥアレグ族が1月にマリ北部で開始した反乱鎮圧に苦慮していた。クーデターに参加した兵士たちは、このトゥアレグ族による反乱に終止符が打てない政府の不手際をクーデター決行の動機の一つとしている。しかし皮肉なことに、トゥアレグ反乱勢力は、様々なイスラム過激派組織とともに、クーデターによって生じた中央政府の政治空白の隙を利用して、マリ北部の制圧に成功した。

クーデター後、ECOWASと軍事政権の合意に基づき、トラオレ前国会議長が暫定政権の大統領に任命された。トラオレ氏は暫定政権を率いて、憲法による統治を完全復活させる任務を担っている。

しかし軍事政権はECOWASとの合意に署名したにもかかわらず、暫定政権樹立後も政治の実権を手放そうとせず、ECOWAWの一部の決定に対して強く抵抗している。(原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩