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気候変動会議で水問題は依然として軽視されている

Water Aid【国連IPS=タリフ・ディーン】

米国のジョン・ケリー国務長官は最近行った講演のなかで、近年世界各地で見られる「記録的な数の」異常気象に注意を促した。

ケリー長官は、パリで開催される第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(気候変動会議:COP21)を念頭に、「南太平洋の島嶼国では、主に海面上昇により島全体が水没の危機に直面しています。」と警告した。

Secretary Kerry Delivers a Speech About U.S. Foreign Policy at Indiana University in Bloomington/ US State Dept「ブラジル南東部は、過去80年で最悪の旱魃に見舞われており、我が国でもカリフォルニア州は、過去100年で最悪の旱魃が続く中、大規模な山火事も頻発しています。」

「また、アフリカ南部のマラウィが記録的な水害に見舞われている一方で、北極圏でも温暖化の影響で村全体が水没の危機に直面しています。」と、ケリー長官は、インディアナ大学世界と国際関係学院で行った講演の中で語った。

ケリー長官のこうした警告をよそに、間もなくパリで開幕する気候変動会議では、主に炭素排出量の問題に焦点があてられる予定で、水の問題は比較的軽視されているテーマである。

英国に本拠を置くNPO「ウォーターエイド」で水の安全保障と気候変動の分析を担当しているルイス・ホワイティング氏はIPSの取材に対して、「気候変動の影響を最も受けるのは世界の最貧層の人々であり、彼らは主に水を通してそれを実感することになります。つまり、水が多すぎる現象(洪水、海面上昇)、少なすぎる現象(旱魃)、誤った降水時期(天候不順)や誤った水質(塩害、汚染水)に悩まされる現象です。」と語った。

世界には6億5000万を上回る貧しく社会の片隅に追いやられた人々が、依然として安全でない水源に依存して生活しているが、そうした水源が気候変動に関連した脅威に晒されているため、こうした人々の生活は今後ますます不安定な状況に陥っていくとみられている。

「例えば、洪水が発生すれば井戸が浸水し真水の供給源が汚染させることになります。」とホワイティング氏は指摘した。

COP21 Logo/ UNFCCC11月30日から12月11日にかけて開催されるパリ気候変動会議に向けた準備が進む中、ウォーターエイドは、国際社会に対して、何よりもまず水、つまり(トイレなどの)下水設備と(安全な水を確保する)公衆衛生へのアクセスを確保する「水の安全保障」を、貧しい国々が気候変動に適応するのを支援する際に優先事項とするよう呼びかけている。

「上下水道と公衆衛生へのアクセスが確保できてはじめて、人々の健康と教育の充実を図り、経済を安定させ、気候変動に強いコミュニティーを育んでいくことが可能となります。」とホワイティング氏は語った。

「私たちはまた、(気候変動につながる)問題を引き起こした人々からその影響に最も脆弱な立場の人々へと開発資金が流れるようにしなければなりません。」

2010年、国連総会は「安全な水と基礎的なトイレを利用する権利」を人権と決議した。

そして播基文国連事務総長は、安全な水と衛生環境を確保することは、貧困削減、持続可能な開発、そして今年12月末に期限を迎えるミレニアム開発目標のいずれの目標を達成するうえで、不可欠だと再三にわたって述べている。

今年9月に世界の指導者らが採択した17項目からなる持続可能な開発目標(SDGs)もまた、安全な水と衛生環境の確保を国連のポスト2015開発アジェンダにおける重要な問題と指摘している。

国連は2030年までに、以下の施策(①公害を減らして水質を向上させる、②危険な化学物質の不法投棄を根絶し危険物資の拡散を最小限にとどめる、③全ての分野で水使用効率を飛躍的に引き上げる、④水不足に取組むために持続的な淡水の取水・供給を行う、⑤水不足に苦しむ人々の数を大幅に削減する)を通じて、全ての人々に安全で手頃な飲み水への普遍的なアクセスを確保しようとしている。

Louise Whiting/ Water Aidホワイティング氏はIPSの取材に対して、「ウォーターエイドは、貧しいコミュニティーの安全な水と基礎的なトイレへのアクセスを向上させることに力を入れていきます。」と指摘したうえで、「水不足に悩む地域では、旱魃の兆候を早めに察知できるよう、貯水能力の拡充とともに、村人による雨量や水位のモニタリング能力強化(=水専門家育成訓練)を図っています。一方、バングラデシュのように水害に苦しむ地域では、必要に応じてインフラの強化を図るとともに、村落住民が政府に対してより良いサービスを要求できるよう、互いに集まってコミュニティーの脆弱さを話し合い自ら把握できるよう支援を行っています。」と語った。

ウォーターエイドはまた、西アフリカの29のコミュニティーを対象に、水不足対策を支援している。ここでは、とりわけ村落住民が気候変動の脅威により良く立ち向かっていけるよう、水資源管理のありかたを改善する指導を行っている。

1年のうち8カ月が乾季となるブルキナファソでは、多くの村落住民が不安定な生活を送っており、気候変動は彼らをとりまく状況をさらに悪化させるものとみられている。ウォーターエイドは、住民を対象にした水専門家の育成訓練と並行して、既存の井戸の改善、新たな井戸の掘削、水を溜め地下水の水位を上げるための砂防ダムの建設を進めている。

こうして訓練を受けた水専門家らは、コミュニティーの水管理能力を飛躍的に改善している。彼らは、雨量や水位をモニタリングし、観測データを分析することで、水不足の危険を事前に察知するとともに、年間を通じて水を確保するための給水量やタイミングを常に調整している。

彼らはまた、このデータを政府のモニタリング計画に提供することで、ブルキナファソ全土を網羅した、より信頼性の高い気候パターン図を作成する取り組みにも貢献している。

「自然は、あなたがブルキナファソの自給自足農民か、カリフォルニアの会計士かは問いませんから。」とホワイティング氏は語った。

「気候変動は全ての人々に影響を及ぼしますが、その原因に最も関わっていない人々が最大の被害をこうむることになるのです。」

「COP21に出席のためパリに集まる世界の指導者は、貧しい国々が来たる気候変動に適応するために必要な技術的・財政的支援を行うことを約束しなければなりません。」とホワイティング氏は力説した。

UNICEF国連の統計によれば、1990年以来23年の間に、新たに26億人が安全な飲み水(改善された水源からの飲み水)を手に入れたが、2015年現在、依然として6億6300万人が安全な飲み水を利用できていない状態に置かれている。

1990年から2015年の間に、安全な飲み水を使用している世界の人口の割合は、76%から91%(66億人)に増加した。

国連はまた、水不足は世界の人口の実に4割以上に影響を及ぼしているが、今後この割合は増えていくと指摘している。(原文へ

 

翻訳=IPS Japan

 

この記事はIPS北米局が、国際協力協議会(GCC)Devnet Tokyoと共同で実施しているメディアプロジェクトの一部。

 

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