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核兵器禁止会議に備えるアスタナとジュネーブ

Central Downtown Astana with Bayterek tower/ Wikimedia Commons【ジュネーブIDN=ジャムシェッド・バルーア】

カザフスタンは8月28・29両日、核兵器の禁止・廃絶に向けた政治的意志を形成し強化するための国際会議を主催する。世界には約1万5000発の核兵器があり、人類の生存そのものを脅かしている。

アスタナでの会議は、カザフスタン共和国上院が、同国外務省、核不拡散・軍縮議員連盟(PNND)と共催で行うものである。

First Soviet Atomic test, Joe One/ Public Domain世界各地の議員や首長に加え、宗教指導者、政府高官、軍縮問題専門家、政策アナリスト、市民活動家、国連・欧州安全保障協力機構(OSCE)国際赤十字委員会(ICRC)などの国際・地域機関の代表らが参加する予定だ。

会議は、セミパラチンスク核実験場閉鎖25周年を記念して開催される。旧ソ連は、1949年8月29日に当時ソ連構成国であったカザフ共和国(現カザフスタン)東部のセミパラチンスク地区に設置した核実験場で初の核実験を実施して以来、1991年8月29日にカザフ国民とヌルスタン・ナザルバエフ大統領からの要求によって実験場が閉鎖されるまでの期間に、合計450回の核実験を行った。

8月29日は、カザフスタン主導により国連が「核実験に反対する国際デー」に指定しており、世界中で記念行事が催されている。カザフスタンはまた、昨年12月の国連総会で採択された「核兵器なき世界の達成に関する普遍的宣言」を主唱した。

Kazakh President Nursultan Nazarbayev addressing the UN General Assembly in September 2015 | Credit: almaty.sites.unicnetwork.orgアスタナ会議は、新たな国連プロセスである「核軍縮に関する公開作業部会」(OEWG)が、核兵器なき世界の達成に向けた多国間協議に関して取るべき行動について、今秋の第71回国連総会に向けた勧告を含む報告書を準備する中で開催される。

同会議は、「国連公開作業部会」が2月と5月に行われた実質的作業のフォローアップとなる会議を8月5日、16~19日にふたたびジュネーブで開いてから数日後に開催される。

2月と5月に開催された公開作業部会(第1会期、第2会期)における議論の焦点は、核兵器なき世界を達成するために必要な法的措置についてであり、核リスクを低減し、透明性を高め、核爆発がもたらす広範な人道上の結末に対する認識や理解を深めるための勧告を用意することにあった。

UNFOLD ZERO」によれば、公開作業部会の第1会期及び第2会期で議長を務めたタイのタニ・トーンパクディ大使が、8月5日に公開作業部会の最終報告書の草案(ゼロ・ドラフト)を発表するとのことだ(実際には7月28日に発表された:INPSJ)。公開作業部会の第3会期(8月16日から19日)の間にこの草案に対する参加各国政府の意見表明が行われ、交渉の後に19日に最終文書の「採択が期待される」という。

公開作業部会の第1会期と第2会期で提示されていた主な提案には以下のようなものがある。

・核兵器の禁止・廃絶に向けた法的取り決めに関する多国間交渉を2017年にも開始すること。

・2010年に米国のバラク・オバマ大統領が始めた「核セキュリティー・サミット」と類似の一連の核軍縮サミットを、核軍縮に向けた世界的な関心と政治的行動を促すことを視野に入れて招集すること。

・先制不使用政策、すべての核兵器システムの警戒態勢の解除、核備蓄の削減、警告即発射態勢の解除などの初期的措置の採用。

「交渉すべき法的取り決めの種類には数多くのオプションがあり、それぞれに一長一短がある」と、「核兵器なき世界」の達成に向けて国連に焦点をあてたイニシアチブや行動のためのプラットフォームである「UNFOLD ZERO」は指摘している。

主たる4つのオプションは、①包括的な核兵器禁止条約、②禁止先行型の核兵器禁止条約、③枠組み協定、④核軍縮の特定の側面に関する個別の協定を含むハイブリッド型のアプローチ、である。

ほとんどの非核兵器国が包括的な核兵器禁止条約あるいは禁止先行型の核兵器禁止条約を望んでいるが、ほとんどの核抑止依存国は「ハイブリッド・アプローチ」(彼らは効果的な法的及び法的以外の措置を並行的、同時進行的に行うという「ビルディング・ブロック(ブロック積み上げ方式)」と呼んでいる)を志向している。 

公開作業部会第2会期(5月2日~13日)は、非核兵器国のグループが、核兵器を違法化する条約の交渉を2017年に開始することに前向きであるとの意志を示して終結した。

この提案は、非核兵器地帯(NWFZ)を通じて地帯内で既に核兵器を禁止している国々の一部によってなされたものである。ラテンアメリカ、南太平洋、南極、東南アジア、アフリカ、中央アジアの115カ国が、NWFZに加盟している。

Nuclear Weapon Free Zones/ UN photoこのうち9カ国(アルゼンチン、ブラジル、コスタリカ、エクアドル、グアテマラ、インドネシア、マレーシア、メキシコ、ザンビア)が公開作業部会に提出した文書で「核兵器を禁止する法的拘束力のある文書について協議するため、すべての国家、国際機関、市民社会に開かれた国連総会による会議を2017年に招集すること」を提案している。

この提案ではまた「そうした文書の交渉に関する進展について、2018年までに招集される核軍縮に関する国連ハイレベル国際会議に報告する」必要性を強調している。これは、公開作業部会へ提出された作業文書34「核軍縮を進める:非核兵器地帯の視点からの勧告」で提示されている。

公開作業部会の会期期間中、この提案に対して、数多くのその他の非核兵器国や市民団体が賛意を表明した。他方で「核の傘」に依存した国家(北大西洋条約機構加盟国、日本、韓国、オーストラリア)はいずれもこの提案に賛同しなかった。また、公開作業部会に参加しなかった核武装国もこの提案に反対している。

公開作業部会に参加していた非核兵器国の多くが、核抑止依存国からの合意はそうした条約交渉には必要ないとの立場である。

しかし、もしそうした条約に核抑止依存国の一部でも含めることができないならば、核兵器政策や核の運用にほとんど、或いは全く影響を与えることができないだろうという意見もある。それどころか、核廃絶に向けた中間的措置を採るよう核抑止依存国に迫る圧力を減じてしまうという意味で逆効果ですらあると論じる向きもある。

UNFOLD ZEROによると、核抑止依存国からの賛同を集め、こうした国々の政策に直接の影響を与えうるような核軍縮交渉のその他のオプションが提案されているという。

ひとつには「ビルディング・ブロック・アプローチ」であり、もうひとつは、国連気候変動枠組条約に似た枠組み合意を核軍縮に関して作るというものである。

枠組み合意の支持者は、「プロセスの初期においてより強力な禁止措置を含む一方で、そうした措置を最初から取ることができない国々と関与し続けることができる」と主張している(「中堅国家構想」が公開作業部会に提出した文書「枠組み合意のオプション」を参照)。

ICANしかし、多くの非核兵器国は、「ビルディング・ブロック」アプローチや枠組み合意の提案は、短期的に十分強力な措置を提示することができていない、と批判している。核兵器を禁止する条約こそが、仮に核抑止依存国を巻き込むことができなかったとしても、より望ましい、というのだ。

核武装国が公開作業部会に参加せず、「核の傘」依存国が核兵器禁止条約を支持しない主な理由のひとつは、これらの国々が依然として自国の安全保障を核兵器に依存し続けている現状がある。

2月と5月に開催された公開作業部会(第1会期、第2会期)では、21世紀における核兵器の役割に関して、そして、核抑止依存国の間で緊張と紛争が激しくなってきている現在にあって、核兵器の役割を廃棄することが可能かどうかについて、有益な議論が持たれた。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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