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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

核実験禁止条約の早期発効を訴える国際会議

Ramesh Jaura, Director-General of INPS at The Science and Technology Conference/ CTBTO【ニューヨーク/ウィーンIDN=ラメシュ・ジャウラ】

核兵器を禁止しその完全廃絶に導く法的拘束力のある文書を交渉するための国連会議が条約草案を提出し、国際社会が北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の脅威に注目する中、ある国際会議で包括的核実験禁止条約(CTBT)を早期に発効させる必要性が強調された。

専門家や若手社会人などが世界各地から集い、オーストリアの首都ウィーンで6月26日から30日まで包括的核実験禁止条約機構(CTBTO)準備委員会が開催した「科学技術会議」に参加した。

署名開放から21年目となるこのタイミングでCTBT早期発効の呼びかけが行われた背景には、同条約に183カ国が署名し、核兵器保有国のフランス・ロシア・英国を含む実に166カ国が既に批准しているという事実がある。

CTBTOしかし、「附属書Ⅱ」国家として知られる発効要件国(特定の核技術を持つ44カ国)の存在が、CTBTの条約発効を阻んでいる。この条約が発効するにはこれらの国々が署名・批准することが要件となっている。このうち、中国・エジプト・インド・イラン・イスラエル・北朝鮮・パキスタン・米国の8か国が未だに批准していない。中でもインド・北朝鮮・パキスタンに至っては署名さえしていない。

5月2日~12日にウィーンで開催された、2020年核不拡散条約(NPT)運用検討会議第1回準備委員会会合で発言したCTBTOのラッシーナ・ゼルボ事務局長は、今日のように地政学的に不安定な国際状況下においては、(これら8か国が未批准のままでいる)現状は、安全なものではないと強調した。

ゼルボ事務局長は、6月27日のCTBTO「科学技術会議」の開会挨拶のなかで、「これ(=CTBT)はNPT加盟国が合意している重要な点です。しかし私は、単に合意を叫ぶだけでは不十分だとはっきり申し上げてきました。CTBTを発効させるには、言葉だけではなく行動に移すよう強く要求していかなければなりません。」と語った。

「従って、残りの発効要件国8か国の内、一国を除いてすべての国々から科学者がこの会議に参加し、CTBTの検証体制を強化するために協力していることは注目に値します。」「科学の発展と協力を通じて、外交分野における行動を促すことができればと考えています。」とゼルボ事務局長は語った。

Lassina Zerbo/ CTBTO ゼルボ事務局長はまた、「信頼と相互理解を促進するために、科学技術における私たちの共通の目的を前進させることに焦点をあてていかなければなりません。科学分野の協力は、核の脅威のない世界を実現するために必要不可欠です。また、減災や気候変動、持続可能な開発といった他の世界的な課題に対処していくためにも、科学分野の協力は不可欠なのです。」と強調した。

この会議で表明された注目すべき見解に、米国と中国が今日の行きづまりを打開する鍵を握っているというものや、米国がイスラエル(の批准)を説得できれば、エジプトの安心感は増すだろうというものがあった。また、匿名を条件に見解を述べたある専門家は、米国がパキスタンに影響力を行使し(CTBTへの署名・批准を説得できれば)、それが次にインドの署名・批准につながる、との期待感を示した。

また別の専門家集団は、北朝鮮が強く主張している米朝直接対話が、近い将来においてCTBTの発効を導く友好的な解決への障壁を取り払うことになるとの見解を示した。

こうした観点が現実政治の中でどれほど実現するかはわからないが、CTBTO会議の重要性は、120カ国以上から1000人以上が参加登録し、650人が要約を提出し、100人が口頭発表を行った事実からも明らかだ。加えて、約400のポスター発表がCTBTのさまざまな科学的側面に焦点をあてた。今回のCTBTO「科学技術会議」は、このテーマを扱った会議としては史上最大規模のものとなった。

The Science and Techonology Conference/ CTBTO参加者らは、数多くの国々から科学者や指導者が参画した機会を活かして、学問の壁を越えて知識や意見を活発に交換した。こうした交流が、条約の世界的な検証体制が科学技術革新の先端に立ち続けることを可能にするのである。

会議の参加者らは、科学的な展示やポスター発表を通じて、CTBTには独自かつ包括的な検証体制があり、いかなる核爆発も検知されずに終わることはないとの確信を得ることができた。この検証体制には3つの柱がある。

(1)国際監視制度(IMS)の約92%の施設はすでに稼働している。完成すれば世界全体で337施設になり、核爆発の兆候を世界中で監視することになる。IMSは次の4種類の最新技術を用いている(数字は最終的な施設数)。

・地震動:主要施設50カ所、補助施設120カ所が地球上の衝撃波を監視している。毎年数千回以上起きるこの衝撃波の大半は、地震によるものだ。しかし、地雷の爆発や北朝鮮が発表した2006、2009、2013、2016年の核実験のような人工的な爆発も探知されている。

・水中音響:今年6月19日に、全体で最後となる11カ所目の水中音響探知施設が完成し、ネットワークが完成した。CTBTの下で核爆発の兆候を毎日24時間監視している。CTBTOが最も時間をかけ、最も複雑な工学的取り組みのひとつである水中音響施設「HA04」がフランスのクロゼ島に2016年12月に完成した。数多くの難題と困難を乗り越えるのに20年近くかかった。11カ所の水中音響施設は、海洋の音波を「聴いて」いる。爆発による音波は水中をかなり遠くまで伝わるからだ。

・微気圧振動:地表の60カ所の観測所が、大規模な爆発によって引き起こされる(人間の耳には聞こえない)超低周波の音波を探知している。ゼルボ事務局長は6月15日~19日、ガラパゴス諸島に設置された微気圧振動測定所「IS20」の完成式に参加するためエクアドルを訪問した。この施設は、IMSで計画している60カ所の微気圧振動測定施設のうち、51カ所目にあたる。「IS20」の設置によって、ネットワークのうちエクアドルの部分が完成し、とりわけ太平洋におけるカバー率が向上した。

・放射性核種:80カ所の観測所で、放射性粒子を探して大気を測定している。そのうち40カ所希ガスも測定する。その他の手段によって探知された爆発が核爆発かどうかを明らかにできるのは、この方法によってのみである。16カ所の放射性核種実験所が支援している。

(2)IMSのデータによって核実験がある場所で発生したと示されたら、核爆発の疑惑がもたれている場所へ現地査察団が派遣される。この査察は、CTBTが発効したら、加盟国によってのみ要請され承認される。大規模な現地査察訓練は、2008年にカザフスタンで、2014年にヨルダンで実施されている。

(3)これらの観測所で収集された大量のデータは、核爆発の探知以外の目的にも利用される。津波警戒センターに対して、水中の地震に関する情報をほぼリアルタイムで提供して、人々に対して早期に警戒情報を出し、多くの命を救うことも可能になる。

CTBTO2011年3月に発生した福島第一原発事故の際には、このネットワークの放射性核種観測所が地球規模で放射性物質の拡散を追跡した。また、こうしたデータは、海洋や火山、気候変動、クジラの移動、その他多くの問題の理解を促進するために利用可能だ。

さらに、ウィーンのCTBT本部にある国際データセンターは、世界中の観測所から大容量のデータを受信している。処理されたデータは、生データあるいは分析データの形で、CTBTOの加盟国に配信されている。

北朝鮮が2006年、2009年、2013年、2016年に核実験を行った際には、加盟国は実験から2時間以内に(そしてそれは北朝鮮による発表以前でもある)、実験の場所や規模、時間、深さに関する情報を受け取っている。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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