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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

国連条約の署名は、核兵器なき世界に向けた重要なステップ

The Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons opened for signature at United Nations headquarters in New York on 20 September 2017 and will remain open indefinitely. Once 50 nations have ratified or acceded to it, it will enter into force. Credit: ICAN【国連IDN=シャンタ・ロイ】

国連で7月7日に採択された画期的な核兵器禁止条約に50カ国以上が署名し、国際社会は「核兵器なき世界」に向けた最初の重要な一歩を踏み出した。

第72回国連総会にあわせて9月20日に開かれた署名式は、122カ国の圧倒的多数の賛成を得て(反対はオランダ1カ国、棄権はシンガポール1カ国のみ)採択された核兵器禁止条約に署名国として加わる国がますます増えることが見込まれる中、継続する見通しだ。

米国と北朝鮮という2つの核兵器国による軍事対立の可能性(しかもそれは核の脅威によって引き起こされたものでもある)が取りざたされる中、この条約の重要性は増してきた。

 Antonio Guterres/ DFID - UK Department for International Development - CC BY-SA 2.0国連のアントニオ・グテーレス事務総長は署名式で演説し、「この20年以上で初の多国間軍縮条約となるこの歴史的な条約の署名開放に立ち会うことができて光栄だ。」と語った。

「『英雄的な』広島・長崎原爆の生存者(ヒバクシャ)たちは、核兵器による破壊的な人道被害を思い起こさせてくれている。」とグテーレス事務総長は語った。

「核兵器禁止条約は核兵器なき世界という世界目標に向けた重要な一歩です。この条約が、目標実現に向けた世界的な努力を再活性化することを期待しています。」とグテーレス事務総長は続けた。

「依然として約1万5000発の核兵器が存在しています。人類を絶滅させるこの兵器によって、私たちの世界と子どもたちの将来を危機に陥れるわけにはいきません。」とグテーレス事務総長は宣言した。

核兵器禁止条約は、核兵器の使用、使用の威嚇、開発、実験、生産、製造、取得、所有、貯蔵、移転、受領、配置・設置・配備を明確に違法化するものだ。また、締約国が、核兵器開発への資金提供といった禁止行為を含め、支援を提供することも禁止している。

核兵器禁止条約は、50カ国以上が批准書、受諾書、承認書または加入書を寄託した後、90日後に発効する。

しかし、世界の9つの核兵器国(米国・英国・フランス・ロシア・中国に加え、インド・パキスタン・イスラエル・北朝鮮)は条約交渉会議に参加せず、署名・批准を約束していない。

東京を本拠にした在家仏教組織で、核兵器なき世界を求める運動を絶えず推進してきた創価学会インタナショナル(SGI)池田大作会長は、「禁止条約では、核保有国や核依存国の状況を踏まえた制度設計がなされている。」と語った。

さらに池田会長は、「つまり、『加盟前の核兵器全廃』を必ずしも前提とせず、『核兵器配備の解除と廃棄計画の提出』をもって条約に加わる道も開かれているのだ。」と述べた。

池田博士はまた、「核兵器の問題は、一国の安全保障の観点からのみ判断され続けて良いものでは決してない。人類全体の平和と世界の民衆の『生存の権利』に軸足を置き、『21世紀の新たな安全保障のパラダイム』を見いだす努力を傾ける中で、廃絶への道を共同作業として開かねばならない。」と論じた。

「問題の本質は、核保有国と非核保有国との対立にあるのではなく、『核兵器の脅威』と『人類の生存の権利』の対立にこそあるのだ。」と池田会長は訴えた。

ロスアラモス研究グループ」の代表であり、核政策の専門家であるグレッグ・メロ氏は、「国連が核兵器の禁止を交渉する任務(マンデート)を付与するというのは、非核兵器国が牽引したプロセスだが、前例のないものだった。冷戦終結以来、核軍縮における最も重要な進展だったと思う。」と述べ、核兵器禁止条約の署名式を軍縮問題における最高潮の瞬間と評した。

Moment of UN nuclear ban treaty adoption 7th July 2017. Credit: Clare Conboy | ICAN.核時代平和財団のニューヨーク支部長であり、「ワールド・ビヨンド・ウォー」調整委員会の委員でもあるアリス・スレーター氏はIDNの取材に対して、「9つの核兵器国、オランダを除く北大西洋条約機構(NATO)諸国、太平洋における米国の同盟国である日本・オーストラリア・韓国は交渉会議には参加していなかったものの、署名開放式に対する好意的な反応を見れば、条約発効に必要な50カ国による批准手続きの完了は比較的早期に、うまくいけば来年中にも達成されるのではないか。」と語った。

核兵器を「絶対悪」とみなす動きは、いわゆる「核の傘」に依存している国々においても始まっている。これらの国々は、核軍縮を支持するという偽善的な態度を取る一方で、自らの防衛のために壊滅的な核の惨禍を招く米国による保護を頼りとしている。

核兵器禁止条約署名後にドイツの(米国が核兵器を配備している)ブエッヘル空軍基地で行われた一連の反核行動は、このNATO加盟国でも議論を引きおこしている。野党社会民主党の党首で、今年のドイツ連邦議会選挙で首相候補となったマルティン・シュルツ氏は、米核兵器の撤去を呼びかけた。

スレイター氏は、多くのNATO加盟国や世界各地の核兵器国においても、禁止条約署名への圧力を政府にかけるデモが起こっており、民衆は、核兵器国や核共有国において(核兵器製造に関与している企業からの)投資引き揚げキャンペーンを展開している、と語った。

ピース・アクション」「ピース・アクション教育財団」のケビン・マーチン代表は、ロナルド・トランプ大統領の北朝鮮に対する威嚇について、「北朝鮮は人口2500万人の国です。たしかに北朝鮮の体制はおぞましいものですが、トランプ大統領は、国全体を破壊すると脅して、火に油を注ぐようなことをしています。こうした威嚇は、国連のミッションそのものと矛盾します。また、イランとの多国間核合意を反故にするという(トランプ大統領の)威嚇もまた、危険で無責任なものです。挑発的な言葉ではなく外交こそが、北朝鮮核危機を解決するために必要なものです。」と語った。

マーチン代表はまた、核兵器禁止条約に賛成した122カ国は、核戦争になりかねない地域戦争を煽るよりも『核兵器なき世界』に向かう必要性を理解している、と指摘した。

Beatrice Fihn/ ICAN核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)ベアトリス・フィン代表は、核兵器は、巨大な破壊力と備え、人類の脅威となっているにも関わらず、この数十年にわたって禁止されてこなかった唯一の大量破壊兵器であり、核武装国は依然として、諸都市と多数の民間人を消し去るために核兵器を使用すると威嚇しつづけている、と語った。

フィン代表はまた、核兵器禁止条約に署名した国々は、核兵器を違法化することによって、「核兵器なき世界」へのコミットメントを証明することになるだろう、と語った。

批准プロセスと、世界の核保有国が参加していない核兵器禁止条約の効果について、元国連条約局長のパリサ・コホナ博士はIDNの取材に対し、批准は署名のあとに行われねばならず、手続きに一定の時間を必要とすることになる、と語った。

コホナ博士はまた、「その期間を逃した国々でも加盟することは可能だし、条約で認められていれば、承認することもできる。条約そのものが示した手続きに従うことが重要だ。」と説明した。

各国の批准の仕方は、通常は、国内手続の規定に従うことになる、とコホナ博士は指摘した。条約を批准するために、内閣の承認だけでも十分な国もあれば、とりわけ関連法が制定されたり改正されたりする場合は、立法府の承認が必要な国もある。

米国では、批准前に上院が条約を承認しなくてはならない。米国は、海洋法条約包括的核実験禁止条約(CTBT)に関して、大々的に宣伝して署名したにも関わらず、上院の承認を得られず、未だに批准していない。

 Palitha Kohonaウィーン条約法条約に規定されているように、批准された条約は国内で履行されなくてはならないという国際的な法的義務が存在する。

条約の加盟国が義務に違反した場合、条約に規定されている報復措置も含めて、他の加盟国が適切な行動をとることができる。一般的に言って、諸国はその条約義務に従うものだ。条約の義務に違反している国だとレッテルを張られることをどの国も好まない、とスリランカの元国連大使でもあるコホナ博士は語った。

コホナ博士は、核兵器禁止条約の将来について問われ「見通しは明るいものではない」と語った。同条約を効果的なものにするためには、核保有国が加盟国にならなくてはならない。「しかし、この条約は核保有国に対して、国際社会は条約があろうとなかろうと『核兵器なき世界』を望んでいるとの明確なメッセージを送っています。」と、ケンブリッジ大学で国際商取引法に関する博士号を取得した国際法の権威であるコホナ博士は語った。

「いつの日かこの希望を実現する時が来るかもしれない。米ソ間の核攻撃の前後を描いたフィクションである1983年の米TVドラマ『ザ・デイ・アフター』のような状況になる前に、その日が訪れることを期待しよう。」とコホナ博士は語った。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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