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|COP23|先住民の協議参加の基盤がついに示される

Leaders from Indigenous communities speak at a press conference in COP 23. Credit: Stella Paul | IDN-INPS【ボンIDN=ステラ・ポール】

パトリシア・グアリンガ氏は、もう何年も国連気候変動会議に参加している。たいていは、サイドイベントのパネルディスカッションで2、3分の時間をもらって、自身が属しているエクアドルの先住民キチワス族が直面している苦境について話をしている。

先住民の生存を脅かしている苦境とは、急速な水質劣化、大気汚染、土地奪取、部族民の家屋からの強制立退き等、いずれも開発の名の下に横行している生活環境の悪化である。グアリンガ氏の出身地であるサラヤクは、大手の石油探査企業によってしばしば土地劣化が引き起こされているエクアドル東部(アマゾン地域)の小集落である。

Patricia Gualinga at COP23/ Youtubeグアリンカ氏は、11月18日未明にボンで終了した国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国会議(COP23)にあわせて開かれたサイドイベントで、「私たちはサラヤクにおける石油採掘に抗議し、探査会社の活動をくいとめるのに成功してきました。」と語った

「私たちが行動をおこしたのは、私たちの家があり、食料と水を手に入れる場所である森林を石油探査会社が破壊していたからです。石油採掘は私たちにとっては発展を意味しません。森林の保護こそが発展なのです。私たちは単に盲目的に抗議しているのではなく、解決策を持っています。『生きる森林』と呼ばれる、先住民の土地で持続可能な開発を達成するロードマップを提案しています。しかし、(COPのような会議で)それについて紹介する機会が必要なのです。」

SDGs Goal No. 16COP23終了にあたって、グアリンガ氏のような先住民の活動家にとっては嬉しいことがあった。締約国が初めて、先住民が国連の気候協議に積極的に参加できるプラットフォームの創設に合意するという、画期的な動きがあったのだ。

このプラットフォームは、パリのCOP21で初めて提案され、自国ではしばしば迫害されている人びとの声を強化し、森林の保護者としての彼らの主導的な役割を認識したものだ。

会議では「アフリカ・デー」として祝われた11月15日に全体会で承認されたこの合意は、「このプラットフォームの全体的な目的は、気候変動への対処・対応に関連する地域社会や先住民の知識や技術、実践、取り組みを強化するものだ。」と述べている。

保全の取り組みにおける先住民の役割

気候変動に関する政府間パネル(IPCCによると、「地球上に残された生物多様性の推定8割」を含む地表面の22%を管理する先住民は、世界に推定3億7000万人いるという。彼らはまた、熱帯雨林が吸収する二酸化炭素の2割以上を管理している存在でもある。

IPCCは、世界が地域社会や先住民とともに学び、彼らから学ぶところが多いと認識している。彼らの知識や実践は「気候変動への対応の主要な源泉」になるとされている。必然的に、先住民はしばしば、気候変動の原因である森林破壊に対する強力なバッファー(=森林破壊の程度を緩和する存在)になると見られている。

Edwin Vasquez/ Stella Paul | IDN-INPSアマゾン流域の先住民の連合体である「アマゾン先住民組織連合」(COICA)のコーディネーターであるエドウィン・バルケス氏によると、COICA自身による最近の調査も含め、いくつかの調査が、先住民によって管理された森林は、政府やその他機関によって管理された森林よりも破壊の程度が低いという。

「私たちはヤグアス国立公園(ペルー北東部アマゾン地域)でケーススタディを行った。地元の先住民社会によって森林の土地が管理されているところでは、森林破壊が85%以上のケースで止められていた。これに比べると、政府が選定したその他機関によって管理されている森林では、大規模な森林破壊が起きていた。」とバルケス氏は報告した。

しかし、環境保全に大きな役割を果たしているにも関わらず、先住民は一般的に差別されており、彼らの人権はしばしば、物理的暴力や攻撃、彼らに仕掛けられた数多くの訴訟のために、侵害されているという。また先住民は、気候対応の対話に組み込まれていないために、資金を直接利用する手立てもない。

結果として、COICAのようなグループが、先住民が森林を保全するための資金を確保するために別の資金源を探して回ることになる。

「政府は先住民に森林保全を要請しますが、必要な資金は提供しません。そこで、私たちが、財政的な持続可能性の問題に取り組みはじめています。」とバルケス氏は語った。

新たなプラットフォーム

UNFCCCの文書によると、このプラットフォームは「先住民や地元社会の知識体系の統合や、気候変動対策の行動・事業・政策への彼らの関与を促進させることを定めた、決議1/CP.21の第135パラグラフを通じて」実現したものだ。

UNFCCCと共に先住民の問題に関して活動している「先住民コーカス」当初の提案は、次のようなものだった。

1.経験とよい実践例を記録し共有する基盤を提供すること。

2.先住民と地域社会のキャパシティビルディング(能力構築)を支援し、パリ協定の履行を含め、UNFCCCやその他の関連プロセスへの彼らの関与を支援すること。

3.あらゆる気候関連の行動・事業・政策への先住民の関与に加え、多様な知識体系や実践、革新を統合すること。

Three functions of the local communities and indigenous peoples platform/ UNFCCCしかし、COP23では、地域社会と先住民の関与に向けたUNFCCCの伝統的知識のプラットフォームに締約国が合意したのみであった。先住民の権利は、COP23の最終プラットフォーム文書で完全には認識されておらず、地域社会と先住民に履行のしわ寄せが及ぶことになる。

専門家らは、この新協定は進歩の兆しであるとしながらも、先住民をUNFCCCの決定と行動に完全に包摂するにはまだ時間がかかるかもしれない、と指摘した。

国際環境法センター(CIEL、ジュネーブ)の人権弁護士セバスチャン・ドゥイク氏は、「残念ながら、最大の先住民を抱える締約国が、十分な発言をしたとは言えません。」「締約国が合意した文書は、その前文において、『先住民の権利に関する国連宣言』を『想起する』と述べているだけです。また、プラットフォームは必ずしも森林や諸権利を十分に保護していません。従って、確かに進歩はあったとは言えますが、その真の実現は、ポーランドで開かれる次回のCOP24を待たなければならないでしょう。」と語った。

比較的小さな国々が交渉を牽引

ドゥイク氏も先住民活動家らも、先住民問題での決定的な進展は可能であるという点で一致する。というのも、先住民の人口を多く抱える島嶼国フィジーの存在があるからだ。ボンのCOP23が始まると、今年の議長国であるフィジーは、先住民とその権利の問題を協議の中心に据えようと熱心に動き回った。

「フィジーが今年の議長国であったことは非常によかった。」「おかげで多くの人々がCOPでこの問題について協議するドアが開かれました。(次回COPが開かれる)ポーランドではさらに進展があるといいのだが。」と、ドゥイク氏は語った。

ドゥイク氏はまた、「先住民が気候対策により組み込まれるようにするには、それぞれの国別約束(Nationally Determined Contribution:自国で決定した2020年以降の温室効果ガス削減目標)においてこのことが直接言及されるようにしなくてはなりません。しかし、いくつかの国の国別約束を分析したが、僅か5、6件の国別約束しか先住民やその権利の問題に触れていなかった。この点で変化が必要です。」と語った。

SDGs Goal No. 13WWFインターナショナルでグローバル気候政策問題を統括するフェルナンダ・カルバルホ氏は、今回の進展をまとめて、「COP23では、締結国が地域コミュニティー・先住民プラットフォームの目的と機能に合意して、気候関連の議論と行動における彼らの完全参加に向けた重要なステップになった。この決定は、先住民の人々が基本と考える原則、すなわち、完全かつ効果的な参加、平等な地位、先住民代表の自己選出という原則を考慮に入れたものになった。」と語った。

カルバルホ氏は、フィジーのように先住民問題を中心に押し出すことには意義があるとして、「これはCOP議長国のフィジーにとって重要な問題であり、WWFはこうした成果を歓迎し、より多くの国別約束にこれが反映されればよいと考えている。」と語った。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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