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|アイスランド|頭の痛いNATOからの要求

Photo: U.S. Navy Poseidon P-8A at Keflavik. 8 November 2017. Credit: b737.org.uk【レイキャビクIDN=ロワナ・ヴィール】

2016年2月、米国政府は、ケフラヴィーク国際空港にある北大西洋条約機構(NATO)軍の格納庫の扉に必要な変更を加える可能性について、アイスランド側と協議を開始した。新型でより大型の対潜哨戒機を格納できるようにするためである。この問題は、米国が資金提供に合意した2017年12月に決着を見た。

格納庫は空港敷地内にある旧米軍基地(旧ケフラヴィーク海軍航空基地:2006年の米軍撤退後に閉鎖したが、米軍はアイスランドの安全保障を引き続き継続することを約束している:INPS)の警戒区域に設置されており、問題となっている哨戒機は「ポセイドンP-8A」である。この型の哨戒機は、「グリーンランド=アイスランド=イギリス(GIUK)ギャップ」と呼ばれている、アイスランド周辺の海域で活動を活発化しているロシアの核搭載型・通常型潜水艦を追跡することを目的としている。

GIUK Gap/ Public Domain現在、冷戦期よりも多くの核搭載型・通常型ロシア潜水艦がGIUKギャップで活動を展開している。アイスランド外務省によると、2016年、同国を拠点とした監視飛行は77日だったが、2017年には153日を数えたという。使用されたのは、米国との他の北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国が運用する「P-3」「P-8A」哨戒機である。P-8AはP-3の後継機にあたる。

「この変更については当初から米国の資金を充てることが想定されていました。」と、ある外務報道官は語った。米国の2018会計年度国防予算では、「海外緊急作戦のための軍事建設」(4602条)と「空軍建設・土地取得事業」(2903条)において、アイスランドの「飛行場施設の更新」の名目で1440万ドルの予算が要求・配分されていた。後者の条項は、空軍省長官に対して、「不動産」を取得し、米国外の施設に関して軍事建設事業を実行することを認めるものだ。

一方、アイスランド側でも予算は積み増しされている。アイスランド沿岸警備隊による2017年3月8日の報告書『アイスランドの防衛とアイスランドにおけるNATO作戦』では「海洋作戦・能力の増強」に言及がなされる一方、同国外務省は、「ケフラヴィーク空港の建造物と防空システムの運用により」2017年度のアイスランドの予算で作戦関連予算が34%増えた、としている。

この問題は論争を引き起こしている。というのも、アイスランドを2006年9月に撤退した米軍が再び戻ってくることを検討しているのではないかとの懸念が出ているからだ。基地跡地のほとんどが現在は教育やハイテク目的で利用されているが、一部は依然として一般の立ち入りが禁止されている。そうした区域では沿岸警備隊が格納庫やその他の軍事施設を警備している。沿岸警備隊は、アイスランド上空の軍民両方の航空管制も行っている。

2016年7月、戦略国際研究所(CSIS)が報告書を発表し、その中で「NATOは、アイスランドのケフラヴィーク海軍航空基地を再開することによって、適切な場所で適切な時に適切な能力を確保する対潜戦闘態勢を最適化することができる。」と示唆したことがある。

Katrín Jakobsdóttir at Göteborg Book Fair 2012 03/By Arild Vågen - Own work, CC BY-SA 3.0 2017年10月の総選挙でカトリン・ヤコブスドッティルが首相になった。彼女は当時、アイスランドで最も信頼されている政治家と呼ばれ、アルシング(アイスランド国会)第二党である左翼環境運動党(グリーンレフト)の党首である。同党はマニフェストの一環として常にアイスランドのNATOからの脱退を一貫して主張しているが、総選挙においてはこの問題が触れられることはほとんどなかった。

しかし、左翼環境運動党が掲げるその政策は、他の連立相手である中道の進歩党と(63議席から成るアルシングで最大の16議席を保有する)右派の独立党の支持するところとはなっていない。

にもかかわらず、2017年12月初め、首相就任直後のヤコブスドッティル氏は、グドゥロイグル・トール・トールダルソン外相に対して、格納庫の改修に関する調査を依頼し、アイスランドにおけるNATOの軍事プレゼンスに対する左翼環境運動党の反対を改めて表明したのだった。その際、ヤコブスドッティル首相は、アイスランドにNATOの軍事基地を建設する意図はないと告げられた。

2017年初め、左翼環境運動党のスタイナン・トーラ・アルナドッティル議員はトールダルソン外相に対して、アイスランドが核兵器禁止条約制定に向けた議論に参加する予定があるかどうか尋ねた。トールダルソン外相は、NATO加盟国としてアイスランドは協議に参加する予定はないと述べ、その理由は「アイスランドは、核兵器国がこの軍縮プロセスに参加する必要があると考えており、現在はそうでないことが明白だから」だと説明した。

左翼環境運動党が昨年に野党であった際、ヤコブスドッティル首相は、核兵器禁止条約が2017年7月に国連で採択された時に「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の「議員の約束」に署名した17人のアイスランド議員の一人であった。署名議員のほとんどは左翼環境運動党と海賊党の所属である。

Ray Acheson/ Reaching Critical Will2017年12月にオスロで行われたノーベル平和賞授賞式からの帰途、リーチング・クリティカル・ウィル/WILPFのレイ・アチソン氏とICAN豪州支部長のティム・ライト氏がアイスランドを訪問した。「カトリン(ヤコブスドッティル首相)は、ティムと私が参加した大学での公開集会に来てくれました。また私たちは、他の左翼環境運動党の議員、海賊党の議員、外相、レイキャビク市長にもお会いしました。」とアチソン氏は語った。

アチソン氏は、核兵器禁止条約について、「民主的な政府は民衆の意思に従うものですから、どの民主政府でも核兵器禁止条約に参加するという希望が常にあります。カトリン・ヤコブスドッティルを首相に置くアイスランドは、条約に参加し、他のNATO諸国をリードして核軍縮への真のステップを支持する強力な立場にあると私たちは信じています。」と述べ、アイスランド政府に対する期待を表明した。

「核兵器禁止条約を支持しているカトリンを初めとした閣僚は閣内での反対に遭っていますが、核兵器に反対する国としての地位をアイスランドが取り戻し、NATOや米国の立場の影に隠れて民間人無差別殺戮の脅しを掛けさせないようにすることが重要だと考えています。」とアチソン氏は語った。

アチソン氏はつづけて、「人道主義と軍縮の問題について原則的な立場を持つ新政権は、核兵器は、誰がそれを保有・使用するかに関わらず合法的或いは容認可能な兵器ではないとの立場をアイスランドは明確にすべきです。」と語った。

Tim Wright/ ICANティム・ライト氏は楽観的だ。「アイスランドが核兵器禁止条約に署名・批准するのは避けては通れない道です。そうしないのは無責任です。カトリン・ヤコブスドッティル首相は条約支持を約束しており、他の閣僚もそうすると確信しています。核兵器はいかなる正当な目的にも奉仕しない。アイスランドは、はっきりと核兵器に反対すべきです。」とライト氏は指摘した。

アイスランドには、軍隊を持たない国として、平和への取り組みを支持してきた誇るべき歴史があります。ぐずぐずすることなく、この最悪の大量破壊兵器の廃絶に向けた世界的な取り組みをリードすべきです。」(原文へ

翻訳=INPS Japan

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