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専門家らが、アブラハム諸宗教でのヘッドスカーフ容認を訴える

Photo: Panel Debate about Veiling/Unveiling at UN Office in Geneva【ジュネーブIDN=ジャヤ・ラマチャンドラン】

国連欧州本部で開かれた討論会に参加した専門家らによれば、欧州で物議を醸しているヘッドスカーフは、むしろ3つの主要なアブラハムの宗教IPSJ注:聖書の預言者アブラハムの宗教的伝統を受け継ぐと称するユダヤ教、キリスト教、イスラム教を指す)の間に共通するものだという。

「べールを被る/ベールを脱ぐ:キリスト教・イスラム教・ユダヤ教におけるヘッドスカーフ」と題したこのイベント(2月23日)は、第37回国連人権理事会定期会合(2月26日~3月23日)を前に、「ジュネーブ人権促進・グローバル対話センター」(ジュネーブセンター)と国連欧州本部のアルジェリア代表部の共催で開催された。

Idriss Jazairy/ Geneva Center for Human Rights Advancement and Global Dialogueジュネーブセンター代表で、このイベント(同テーマに関係する展示会も同時開催された)のモデレーターを務めたイドリス・ジャザイリー大使は、この討論会の狙いについて、ベールの使用について画一的な見方がある問題について考え、「ヘッドスカーフが、キリスト教・イスラム教・ユダヤ教をつなぐ糸であり、これらがまとまるための要素であることを明らかにしようとするものです。」と語った。

Exhibition: Veiling/Unveiling: The Headscarf in Christianity, Islam and Judaism./ Geneva Center for Human Rights Advancement and Global Dialogueさらにジャザイリー大使は「ヘッドスカーフは、不和よりもむしろ共通性を示すものですから、文化を分断するのではなく、むしろ、架け橋とならねばなりません。ヘッドスカーフは、アブラハムの3つの宗教すべてにおいて、アイデンティティを画定するうえで重要な役割を果たしてきたのです。」と語った。

SDGs Goal No. 5いわゆる「ベール」の使用は、政治問題化され、ヘッドスカーフの使用に関する女性の個人的な選択の自由を奪うようなことがあっては本来ならない問題です。」「女性にヘッドスカーフを被るかどうかの権利を否定することは世界人権宣言第18条に違反します。」とジャザイリー大使は語った。.

「それを女性に押し付けたり、法律で禁じたりすることは、彼女らの人権を侵害することになります。女性達の権利を擁護し、彼女らの地位を向上させる唯一の方法は、女性の選択権を尊重することです。」とジュネーブセンター代表は語った。

Toufik Djouama/ Geneve Center for Human Rights Advancement and Global Dialogueアルジェリア代表部のトゥフィク・ドゥジョアマ副代表は、「『文明の衝突』という見方を信じている数多くの集団が、『イスラムのヘッドスカーフに関するマイナスイメージ』を掻き立てています。」と指摘したうえで、「しかし、ベールの使用は、ムスリム女性による『個人的な選択』にすぎません。」と指摘した。

ドゥジョアマ副代表は「『対話、相互理解、人権の尊重、多様性』の促進が、諸政府や市民団体、学界の主たる目標でなければならない」との見方を示したうえで、「世界人権宣言18条に規定されている、公に自分の宗教や信条を明示する自由に基づいて、すべての女性にヘッドスカーフを被るかどうかの選択の自由が与えられなくてはなりません。」と語った。

Elisabeth Reichen-Amsler/ Geneve Center for Human Rights Advancement and Global Dialogueヌーシャテル州[スイス]福音改革派教会で「教会と社会」部門の部長を務めるエリザベス・ライシェン=アムスラー氏は、ヘッドスカーフの使用は、よく一般に議論されるような、イスラム教のみに限定できる問題ではありません、と語った。実際には、そのルーツは、メソポタミアや古代ギリシャ、ローマ帝国、キリスト教の誕生の時期にまで遡ることができる。「既婚女性がヘッドスカーフを被る義務は、紀元前1120年にアッシリアの王が書いた古代法ですでに言及されています。」とライシェン=アムスラー氏は語った。

ライシェン=アムスラー氏はまた、「新約聖書の使徒パウロのコリント人への第一の手紙において、女性はヘッドスカーフを被るように義務づけられています。」と語った。この義務はキリスト教においておよそ1900年も続いた。女性が宗教上の理由からヘッドスカーフを被るよう義務づけられなくなったのは、ようやく1960年代に入ってからのことだった。つまり、ヘッドスカーフの使用については、イスラム教・ユダヤ教・キリスト教で異なる解釈があることを物語っている。

 Malika Hamidi/ Geneve Center for Human Rights Advancement and Global Dialogueムスリム・フェミニズムの何が問題?』の著者であるマリカ・ハミディ博士は、フランスのフェミニズム・世俗主義的な運動が、ムスリム女性によるヘッドスカーフの装着が彼女らの自由と尊厳への権利を侵害しているとしてスカーフ着用に反対していることに注目した。しかし、政治運動や世俗主義的運動に参加している数多くの女性が、「ヘッドスカーフと自由との間の矛盾はない」「尊厳と女性の尊重との間に矛盾はない」と主張している。

ハミディ博士は、「欧州のフランス語圏におけるフェミニスト運動は、ムスリム女性の一部に、ヘッドスカーフがむしろ男性やヨーロッパ社会との関係で自らを開放してくれていると考える人々がいる事実に衝撃を受けています。女性たちが、イスラム教で定められた規範内でヘッドスカーフを装着するということが、尊敬を得ることにつながる可能性がある一方で、西側社会で大いに問題視されている政治・社会・文化的な方向性に与しているとみなされる傾向にあります。」と語った。

Valérie Rhein/ Geneva Center for Human Rights Advancement and Global Dialogueベルン大学ユダヤ研究所でユダヤ教に関する博士号を持つ神学の専門家ヴァレリー・ライン博士は、「ユダヤ教徒の花嫁は結婚式の前に顔にベールをかけることが慣習だった」点を指摘したうえで、「ヘッドスカーフの使用はユダヤ教古来の伝統です。」と語った。この慣習は、イサクとリベカの最初の出会いを描いた聖書の創世記24章で触れられている。

ライン博士はまた、「(ユダヤ教では)髪を隠す行為は、「敬虔なユダヤ教」への帰依と結婚していることの証になることから、『Zniut(節度)』の概念に起源を持つタルムード法により、ユダヤ教徒の女性は結婚後は髪を隠すように義務づけられてきた歴史がある。」と指摘した。また、「男性は、『尊重の証』であり、『神との関係』を象徴しているキッパーという被り物を頭に装着するのを義務づけられてきました。」と語った。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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