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不確実性の時代の軍縮:レイキャビクで議論

Photo: NATO Conference group photo. Credit: Ministry of Foreign Affairs of Iceland.【レイキャビクIDN=ロワナ・ヴィール】

米ロ間の(さらには米ロとその他の国々との間での)緊張が高まる中、今回で14回目となる北大西洋条約機構(NATO)による大量破壊兵器に関する年次会合(アイスランド会合)にあわせて軍縮に関するセミナーが開催されたのは、時宜を得たものであった。

「不確実性の時代における軍縮への実践的なアプローチ」と題されたこのセミナーの構想は、アイスランドのカトリン・ヤコブスドッティル首相が7月にブリュッセルで開催されたNATO首脳会議に出席した際に生まれた。ヤコブスドッティル首相はNATO関係者をレイキャビクに招くにあたり、セミナーの主要議題は軍縮になるだろうと語った。首相はIDNの取材に対して、その理由として「NATO首脳会議では、軍縮が十分に議論されてこなかった。」と語った。

Katrín Jakobsdóttir at Göteborg Book Fair 2012 03/By Arild VÃ¥gen - Own work, CC BY-SA 3.0 ヤコブスドッティル首相はまた、ブリュッセルで「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の代表らと会う機会を持ち、NATO年次会合のサイドイベントとして開催される今回のセミナーに招待した。

ICANは「核兵器がもたらす破滅的な人道上の結末への注目を集め、核兵器を条約によって禁止するための革新的な努力をしてきたこと」が評価され、2017年にノーベル平和賞を受賞した。

10月29・30両日に開かれたNATO年次会合には、加盟諸国をはじめ、NATO加盟が取り沙汰されているウクライナなどの国々、さらに国連及び包括的核実験禁止条約機関準備委員会CTBTO)などの国際機関から140の代表者が参加し、過去最大規模となった。

NATOのローズ・ガテマラー事務次長は基調講演で、NATOは「あくまでも核不拡散条約(NPT)の枠内にとどまり、核兵器国を置き去りにしたり、これまで積み重ねてきた国際的公約を無視したりするような近道を取ろうとする誘惑と闘わなければなりません。NATOの同盟国は、グローバルな安全保障環境を無視したり、NPTを損なうような軍縮へのアプローチを支持したりしないと明確に主張してきました。」と語った。

最近、ロナルド・レーガン政権で国務長官を務めたジョージ・シュルツ氏や、ソ連の元大統領であるミハイル・ゴルバチョフ氏が『ニューヨーク・タイムズ』に寄稿している。その中でシュルツ氏は、1987年にレーガン大統領(当時)とゴルバチョフ書記長(当時)が署名した中距離核戦力(INF)全廃条約は保持されるべきであると述べ、ゴルバチョフ氏は、対話と交渉に戻るには遅すぎるのだろうかと問いかけた。両者の意見は、今回の軍縮セミナーにおけるパネル討論のたたき台となるものだった。

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI、スウェーデン)のタイティ・エラソ氏は、ミサイル防衛が核軍備管理への障害の一つとなっていることと、レーガン大統領とゴルバチョフ書記長が当時協議したのは、中距離ミサイルだけではなく核兵器全般についてであった点を指摘したうえで、しかし「(現在は)軍備管理への政治的意思が存在していません。」と語った。

ICANのベアトリス・フィン事務局長の代理でセミナーに参加したレオ・ホフマン=アクセルム氏は、セミナーの参加者に「現在のところ、核兵器国には軍縮のプランというものが何もないのです。ですからまず、一般的な目標について合意し、兵器を禁止する必要があります。そうしてようやく、圧力をかけ、その目標に向けたすべての必要な措置がとれるようになるのです。」と語った。

Map of Icelandアクセルム氏はまた、「留意すべき重要なポイントは、核兵器に依存する国々は、核兵器を違法と宣言する考え方そのものに抵抗しているのです。」と指摘したうえで、「NATOの核抑止力に依存しているアイスランドは現在、核兵器禁止条約に参加せず、核抑止に依存しつづけています。アイスランド国民はこのことを知るべきです!」と語った。

中満泉・国連軍縮問題上級代表は、NATO年次会合だけではなく、このセミナーにも参加し、アントニオ・グテーレス事務局長が新たに5月に発表した軍縮のための国連アジェンダの概要を以下のように説明した。

軍縮アジェンダの第一の柱は、人類を守るための軍縮です。それは、核兵器とその他の大量破壊兵器の廃絶に加えて、新しい分野で戦略兵器の軍拡競争が勃発するのを防ぐことに焦点を当てたものです。第二の柱は、通常兵器の規制に焦点を当てた「人命を救うための軍縮」であり、第三の柱は、軍縮のためのパートナーシップの強化です。」

Izumi Nakamitsu/ K.Asagiri|IDN-INPS中満上級代表はこの機会を利用して、軍縮に関する神話を否定した。「武器の破棄を『安全保障』や『防衛』の真逆と誤って考える一般的な誤解があるにもかかわらず、軍縮はそれほど単純で一枚岩的なものではない。むしろ、それは、さまざまな状況や文脈において応用可能な実践的なツールから成る戦略的資源を政策決定者に提供するものだ。たとえば、廃棄、禁止、軍備管理、制限、削減、不拡散、規制、透明性、信頼構築などに関する措置である。」

他方、日本のピースボートが運航する「オーシャン・ドリーム」号がレイキャビクに短期停泊している。1991年12月の冷戦終結以来で最大規模となったNATO演習「トライデント・ジャンクチャー2018」に参加するためにアイスランドを10隻の艦船が出発してから24時間以内のことである。「オーシャン・ドリーム」号には、1945年の広島・長崎への原爆投下を生き延びた被爆者も搭乗しており、レイキャビク滞在中にアイスランドの学生らに対して被爆体験を語った。

「この被爆者の方々は、『ヒバクシャ地球一周 証言の航海 おりづるプロジェクト2018』の一環として『オーシャン・ドリーム』号に乗船し、彼らの悲劇的な経験を共有し、核兵器が人体に及ぼす壊滅的な影響について人々に教え、政策決定者らと関与し、核兵器なき世界を実現するための世論を喚起する取組みを行っています。」と、ピースボート・ICANのセリーン・ナホリー氏は語った。

アイスランドには軍隊が存在しない事実を前提に、アイスランドがNATO年次会合の主催国になったり、トライデント・ジャンクチャーの実施を容認したりすること以上に、核兵器禁止条約に署名することを求めることが重要なのではないか、との問いに対して、ナホリー氏はこう答えた。「ピースボートやICANではアイスランド政府に対して、すみやかに核兵器禁止条約に参加するように求めています。たとえアイスランドが核兵器禁止条約に加わっても、核兵器国との軍事同盟が維持できなくなるわけではないのです。」

ナホリー氏は「NATOの条約文を見ても、核兵器については何も触れていません。」と指摘したうえで、「NATOの加盟国は拡大核抑止の政策を是認するよう法的に義務づけられているわけではありません。米国と同盟関係にある一部の国はすでに核兵器禁止条約に署名・批准しています。」と語った。

ICANICANは今年3月、アイスランド議会の核兵器禁止についての決議に関連して、同議会外務委員会に対する意見書を提出しており、その一部にはこう記されている。「核兵器禁止条約は、核軍縮に関して誠実に交渉することを、アイスランドを含むすべての加盟国に義務づけている核不拡散条約の履行に資するものである。そうした交渉は、昨年までの間に既に20年以上にわたって停滞している。NPT自体が、核兵器なき世界に向けた追加的な法的枠組みの創設を想定している。」

加えて、意見書にはこう記されている。「核兵器保有国は、法的拘束力があり、時限を定めた計画に従って核兵器を廃棄することに合意する限りにおいて、核兵器禁止条約に加盟することができる。同様に、他国の核兵器を自国領土に配備することを認めている国も、ある期限までにそれを撤去させることに同意する限りにおいて、核兵器禁止条約に加盟することができる。」

NPTについては2020年に次回の運用検討会議が開催される。2020年NPT運用検討会議の第1回準備委員会会合は、2017年5月2日~12日にウィーン国際センターで、第2回会合は国連欧州本部(ジュネーブ)で2018年4月23日~5月4日まで開かれた。最後の準備会合となる第3回会合はニューヨークの国連本部で2019年4月29日~5月10日まで開かれることになっている。(原文へ

翻訳=INPS Japan

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