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人類の生存を危機にさらす核兵器と気候変動(デイビッド・クリーガー核時代平和財団会長インタビュー)

Photo credit: Hiroshima Peace Memorial Museum, Shigeo Hayashi - RA119-RA134【コペンハーゲン/サンタバーバラIDN=ジョン・S・アベリー】

Mで始まる5つの英単語、つまり、悪意(Malice)、狂気(Madness)、過失(Mistake)、計算違い(Miscalculation)、操作(Manipulation)の1つでもあれば、核戦争の引き金となり得る。「この5つのうち、核抑止で防げる可能性があるのは『悪意』だけです。しかもそれに関しても確実ではありません。また核抑止(核報復の威嚇)は、狂気・過失・計算違い・操作(ハッキング)に対しては全く効果がありません。」と、ジョン・スケールズ・アベリー氏によるインタビューに答えたのは、デイビッド・クリーガー氏である。

クリーガー会長は、1982年、「核兵器なき世界」の実現を目指す「核時代平和財団」を創設し、平和と核兵器の完全廃絶に向けて着実かつ弛みない取り組みを進めてきた。アベリー氏は著名な学者・科学者であり、情熱的な平和活動家でもある。

インタビューの内容は以下の通り。

John Avery | Countercurrentsジョン・アベリー(JA):クリーガーさん、核兵器の完全廃絶に向けたあなたの献身、ご自身の生涯をかけた英雄的な取り組みを私は高く評価しています。まずは、あなたの家族や若い時期、教育についてお話いただけますか。核兵器の完全廃絶を目指す、世界で最も著名な活動家の一人にあなたを作り上げたものは何だったのでしょうか。

デイビッド・クリーガー(DK):アベリーさん、核時代平和財団の顧問に就任いただき光栄に思っています。あなたは、核兵器やその他の技術が地上の生命の未来に及ぼす危険に関して、私が知る限り最も見識が高い人物のひとりであり、これらの脅威に関して素晴らしい著述を残しておられます。

私は核兵器が広島・長崎を破壊する3年前に生まれました。私の父は小児科医、母は主婦で病院のボランティアでした。両親ともに平和を志向しており、軍事主義を無条件に拒絶していました。

私はオクシデンタル大学に通い、そこですばらしい教養教育を受けました。大学卒業後、日本を訪問し、広島・長崎の惨状に目を見開かされたのです。米国で私たちは、原爆をキノコ雲の上から眺めて技術的進歩だと捉えていますが、日本ではそれをキノコ雲の下から見て、無差別大量殺戮の悲惨な出来事として捉えているのです。

日本から帰国後ハワイ大学の大学院に進み、政治学科の博士号を取得しました。徴兵されましたが、当初は兵役義務の代替手段として予備役に加わることができました。しかし後に実際の軍務に招集されました。

軍ではベトナムへの派兵を拒否し、良心的兵役拒否の立場を取りました。ベトナム戦争は違法で非道徳的な戦争だと考えていましたから、良心の問題として、前線に赴くことはできないと思ったのです。私の事案は連邦裁判所にかけられ、結果的に名誉除隊となりました。日本と米陸軍での私の経験は、平和と核兵器に対する私の見方を形作りました。平和は核時代の必須条件であり、核兵器は廃絶されねばならない、と考えるようになったのです。

JA:人類と生命圏が、すべてを破壊する熱核戦争の脅威に晒されています。それは、技術や人為的な過ちによって、あるいは、通常兵器による戦争が制御不可能な形でエスカレートすることによっても起こり得るのです。この大きな危険について何かコメントはありますか。

David Krieger, Founder and President of the Nuclear Age Peace Foundation. Credit: NAPFDK:核戦争が始まるきっかけはいくつもあります。5つのMについてお話ししましょう。すなわち、悪意(Malice)、狂気(Madness)、過失(Mistake)、計算違い(Miscalculation)、操作(Manipulation)です。この5つのうち、核抑止によって防げる可能性があるのは『悪意』だけです。しかもそれに関しても確実ではありません。また核抑止(核報復の威嚇)は、狂気・過失・計算違い・操作(ハッキング)に対しては全く効果がないのです。

あなたがおっしゃるように、核時代のあらゆる戦争は、核戦争に発展する可能性があります。核戦争は、それがどのように始まるにせよ、人類が直面する最大の脅威を与えるものであり、核兵器の完全廃絶によってのみ達成できるのです。そのことは、段階的で、検証可能で、不可逆的で、透明な交渉を通じて達成できます。

JA:核兵器がオゾン層や地球温暖化、農業に与える影響について教えていただけますか? 核戦争は大規模な飢餓を引きおこす可能性はありますか?

DK:私の理解では、核戦争によってオゾン層が破壊され、大量の紫外線が地上に降り注ぐことになるでしょう。加えて、核戦争によって地球上の温度は極端に下がり、地球にあらたな氷河期をもたらしかねません。核戦争が農業に与える影響は計り知れないものになるでしょう。

大気科学者は、インド・パキスタン両国がそれぞれ50発の核兵器を使用し合う比較的「小規模」な核戦争ですら、大気中に煤をまき散らして太陽光を遮り、作物の成長期間を短くして、20億人が飢える大規模な飢餓につながりかねないことを指摘しています。大規模な核戦争ならば、地球上の最も複雑な生命を破壊する可能性も含めて、もっと厳しい状況が生まれることでしょう。

Nuclear weapon test Bravo (yield 15 Mt) on Bikini Atoll. The test was part of the Operation Castle. The Bravo event was an experimental thermonuclear device surface event. Credit: Wikimedia Commons.JA:放射性降下物による影響についてはどうでしょうか。ビキニ核実験がマーシャル諸島や近隣の島々の人々に与えた影響について教えていただけますか?

DK:放射性降下物は、核兵器に独特な危険の一つです。1946年から58年の間に米国はマーシャル諸島で67回の核実験を行いましたが、これは広島型爆弾1.6発を12年にわたって毎日爆発させ続けるのに匹敵する破壊力です。これらの実験のうち23回がマーシャル諸島のビキニ環礁で行われました。

これらの実験の一部は、実験場から数百マイルも離れた島々や漁船を汚染しました。一部の島は依然として汚染されており、住民が帰還することができません。米国は恥知らずにも、放射性降下物の影響を被ったマーシャル諸島の人々をモルモットのように扱い、人体の健康に放射線が与える影響を調査するために利用したのです。

JA:核時代平和財団はマーシャル諸島政府と協力して、NPTに署名し現在核兵器を保有しているすべての国々を、核不拡散条約第6条に違反しているとして訴えました。この訴訟について教えていただけますか。マーシャル諸島のトニー・デブルム外相は、この訴訟で果たした役割に対して「ライト・ライブリフッド賞」を受賞しました。このことについても教えてもらえますか。

DK:核時代平和財団は、9つの核武装国(米国・ロシア・英国・フランス・中国・イスラエル・インド・パキスタン・北朝鮮)に対する訴訟についてマーシャル諸島政府と協議しました。ハーグの国際司法裁判所(ICJ)における訴訟では、核軍拡競争を終結させ核軍縮を達成する交渉をNPT第6条の下で行う義務を果たさなかったかどで最初の5カ国が訴えられ、NPT加盟国でない他の4つの核兵器国に関しては、交渉を行わなかったという理由は同じですが、慣習国際法に違反するとして訴えられました。さらに、米国は米連邦裁でも提訴されました。

9カ国のうち、英国とインド、パキスタンだけが、ICJの強制的管轄権を受諾しました。これら3つの国の事案に関してICJは、当事者間に十分な争いが存在しないとして、実質的な審理に入る前に門前払いしました。16人の裁判官の投票は僅差でした。英国の事案では裁判官は8対8に分かれ、フランス人裁判長の投票によって決したのです。

米連邦裁の事案もまた、実体的審理を行わずに棄却されました。マーシャル諸島政府はこれらの訴訟において9つの核兵器国を訴えようという意思を持った世界で唯一の政府であり、訴訟はトニー・デブルム氏の勇敢なリーダーシップによって遂行されたものです。残念ながら、デブルム氏は2017年に逝去してしまいましたが、これらの訴訟に関してデブルム氏と協力できたことは光栄なことでした。

JA:2017年7月7日、核兵器禁止(核禁)条約が国連総会の圧倒的多数の支持を受けて採択されました。これは、核兵器による大量殺戮の脅威を世界から取り除く闘いにおける大きな勝利でした。核禁条約の現状について教えていただけますか。

ICANDK:核禁条約はまだ、署名と批准を獲得するプロセスにあります。50カ国目が批准書を寄託するか、条約に加盟してから90日後に条約が発効することになっています。現在、署名国は69、批准・加盟国は19ですが、この数字は頻繁に変わります。核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)とパートナー組織は、各国政府へのロビー活動を行い、核禁条約への参加を呼びかけています。

JA:ICANは核禁条約の成立につながる取り組みを行ったとして、ノーベル平和賞を受賞しました。核時代平和財団はICANを構成する468団体の一つであり、その意味では、あなたは既にノーベル平和賞受賞者だと言ってよいでしょう。私はこれまでにも個人的に、あなた自身を、そして核時代平和財団をノミネートしたことがあります。この賞を受けるに値するこれまでの活動について振り返っていただけますか。

DK:アベリーさん、私と財団をこれまでノーベル平和賞にノミネートしてくださったことを感謝申し上げます。私のこれまでの最大の成果といえば、この財団を創設しリードしてきたこと、平和と核兵器の完全廃絶に向けて着実に、たゆみなく行動してきたことぐらいでしょうか。これがノーベル平和賞に値するかどうかわかりませんが、満足のいく活動をしてきたことを誇りに思っています。私はまた、私の財団の活動は国際的なものではありますが、概して米国に焦点を当てたものであり、この国は進歩をもたらすことがとりわけ難しい国だと感じています。

しかし、こうも言えます。全人類にとって意味のあるこうした目標のために活動してきたことに満足してきましたし、そうした活動を行うことによって、アベリーさんも含め、ノーベル平和賞に値する多くの献身的な人々に出会うことができました。平和・核兵器廃絶運動には、能力があり熱心な多くの人々がいますが、彼らの活動には頭がさがります。ノーベル賞受賞で認知度が高まり前進がもたらされることも事実ですが、何よりも大事なのは、賞や、ましてノーベル賞ではなく、核廃絶を目指す活動そのものなのです。私が当初から加わり長年にわたって共に活動してきたICANについてもそう言えます。ですから、この賞を共に受賞できて、嬉しく思っています。

JA:世界中の軍産複合体が、その莫大な軍事予算を正当化するために、危険な対立を必要としています。その結果として引き起こされている瀬戸際的な政策の危険についてコメントがありますか。

DK:ええ。世界の軍産複合体はきわめて危険な存在です。瀬戸際的政策そのものが問題であるというだけではなく、医療や教育、住宅、環境保護などの社会政策から莫大な資金を奪い取っているという意味においてもそう言えます。多くの国々で軍産複合体に向けられている資金の量は、とりわけ米国においては、悲憤慷慨すべきものだといえましょう。

私は最近、ジュディス・イブ・リプトン氏とデイビッド・P・バラシュ氏が記した素晴らしい本『平和を通じた強さ』を読みました。1948年に軍隊を放棄し、それ以来、世界で最も危険な地域のひとつで平和裏に存続してきたコスタリカに関するものです。本の副題は「脱軍事化がいかにコスタリカで平和と幸福につながったか、そして、世界がこの小さな熱帯の国から学べることは何か。」でした。

平和を追及するには軍事力に訴えるよりも優れた方策があるということを示してくれる良書でした。その中でローマの古い諺を覆しています。つまり、ローマでは「平和を望むのなら、戦争に備えよ」といいました。しかし、コスタリカは「平和を望むのなら、平和に備えよ」という範を示したのです。こちらの方がはるかに合理的であり、平和へのまともな道筋だと思います。

JA:ドナルド・トランプ政権によって核戦争への危険は増していると思いますか?

President Donald Trump poses for his official portrait at The White House, in Washington, D.C., on Friday, October 6, 2017.DK:ドナルド・トランプ大統領自体が核戦争の危険を増していると言えるでしょう。彼はナルシストであり、頭に血が上りやすいタイプであり、概して妥協を嫌います。世界で最強の戦力を手にしている人物の気質としては、最悪の組み合わせと言えましょう。そしてまた、彼の取り巻きはイエスマンばかりです。トランプ大統領が聞きたいことしか耳に入れないのです。さらにトランプ大統領は、イランとの核合意から撤退してしまい、ロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約からも脱退するとの意向を明らかにしました。トランプ大統領が米国の核戦力を握っていることは、核時代始まって以来、核戦争の危険がもっとも差し迫っていることを意味するかもしれません。

JA:カリフォルニアで起こっている山火事について何かコメントありますか。壊滅的な気候変動がもたらす危険は、核による大惨事に匹敵するでしょうか。

DK:カリフォルニアの山火事は恐るべきもので、同州史上最悪のものとなっています。ハリケーンや台風、その他の気候関連の事象と同じく、地球温暖化のひとつの現れです。壊滅的な気候変動は、核による大惨事に匹敵するものだと思います。核による大惨事はいつでも起こり得るものです。気候変動に関しては、平常にもはや戻ることのできない地点に私たちは近づきつつあり、神聖なる地球に人間が住めなくなってしまうかもしれません。(原文へ

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