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核兵器のない世界はあらゆる人々にとって共通の問題―カリプベク・クユコフ氏から学べること(イリヤ・クルシェンコCTBTO Youthメンバー)

At the opening of the CTBT exhibition in the Vienna International Centre's Rotunda: Karipbek Kuyukov (right), Honorary Ambassador of The ATOM Project, Kazakhstan's campaign to end nuclear testing./ CTBTO【モスクワIDN=イリヤ・クルシェンコ】

今日私たちの世代は、冷戦下で平和の脆さを痛感して育った親の世代ほど、核兵器に対して恐怖心を抱いていない。親の世代が抱いていた懸念を、私たちの世代は共有できていないようだ。恐らく私たちは、歯止めのきかなくなった軍拡競争の結果を目の当たりにするか、その被害を蒙った人々に直接会ってはじめて、私たちが暮らすこの時代に前世紀の恐ろしい遺物が存在する余地などないということを理解し始めるのだろう。

Karipbek Kuyukov/ Atom Project私の場合、カリプベク・クユコフ氏に出会ったのを契機に、核兵器の廃絶こそが自分自身にとっての大義となった。カザフ人のクユコフ氏は、ソ連の核実験場近くの村で暮らしていた母親の胎内で被爆し、その影響で深刻な障害を持って誕生した。彼の物語は、核実験がもたらず悲惨な人道被害を伝えている。これは極めて個人的なケースだが、核兵器の問題が全ての人々の関心事であることを如実に示している。私たちがどのような世界に暮らしたいのか、それを決めるのは私達次第だ。そして今日、核軍縮を実現するという大義に市民が積極的に参加することが、何にもまして求められている。

クユコフ氏は1968年にポリゴンの名称でも知られるセミパラチンスク核実験場近くの村で誕生した。国連ニュースサービスによるインタビュー取材で、クユコフ氏が最初に話したのが、「母が(私を出産した)ショックと恐怖を克服して私の様子を見に来たのは3日目のことでした。」という部分だ。両手がない状態で生まれたクユコフ氏は、セミパラチンスク核実験場(大きさは日本の四国に相当する:INPS)周辺の広大な地域で放射線に晒され、遺伝子レベルで引き起こされた多くの健康被害に苦しんできたひとりだ。

クユコフ氏の両親は核実験場からわずか48マイルしか離れていない村に生活していた。彼の幼少時、クユコフ氏の母親は、丘を登った際に周り一帯を閃光が埋め尽くしたかと思うと瞬く間に漆黒の闇に包まれた経験を語って聞かせたという。

Atom Projectベルリンの壁が崩壊すると、カザフスタンでもソ連の核実験場の閉鎖を要求する抗議活動が盛んになり、クユコフ氏はこの運動に身を投じた。カザフ国民は、カザフスタンの国土から核兵器を一掃するというヌルスルタン・ナザルバエフ大統領の判断を強くし支持した。クユコフ氏は、自身の使命を、「自分が核実験の最後の犠牲者になる」ことだと言う。彼はまた、自身の作品のなかで世界の美しさを表現し続ける芸術家でもある。クユコフ氏の絵画作品の1つは、彼が理念と価値観を強く支持する米国のバラク・オバマ前大統領に寄贈された。

ソ連が支配していた時代、誰もクユコフ氏のような症例に関するデータにアクセスすることはできなかった。全てが厳格に秘密とされ、医師達は、核実験場の周りで起こっていた健康異常を訴える患者を診断することは、固く禁じられていた。それどころか当時は、医師たちが深刻な問題を抱えて生まれた子供に、薬物注射を投与して安楽死を勧めることが一般的だったという。クユコフ氏の父は、その時息子の顔を覗き込むと自分を見つめる彼の視線を感じ、どうしも安楽死を選択できず、母親とともに彼を引き取って病院から連れ帰ったという。

Ilya Kursenkoクユコフ氏はこうした経験を経て、持ち前の意志の強さと行動力で核軍縮に貢献する原動力となっていった。今日私たちは、新たな軍事技術の登場と無関心が広がる中で、これまで構築してきた協調的な安全保障環境が崩壊しかねない帰路に立っている。世界が平和的に共存していくためのアジェンダを前進させていくためには、クユコフ氏のような市民社会の活動家の活躍が極めて重要になっていく。もしこの方向にあらゆる人々が参加すれば、私たち青年の未来を「明るい未来」から「明るい現実」へと変貌させることが可能だ。つまり、核兵器のない世界は、あらゆる人々にとって共通の問題なのだ。(原文へ

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