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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

メコン川流域の不法地帯警備に中国が介入

 

【バンコクIPS=マルワーン・マカン-マルカール】

 

中国は、軍閥や麻薬密輸者が跋扈している東南アジアの一角(=メコン川上流地域)に武装巡視艇を派遣する意向である。中国はメコン川を通じて5か国(タイ、ビルマ、ラオス、カンボディア、ベトナム)と接している。

中国の『人民日報』ウェブサイトによれば、タイ北部のチェンセンと中国雲南省の關累をむすぶ河川輸送ルート(対象の保護船舶は約130隻)を5隻の中国巡視艇が警備するとのことである。

 
ラオス、タイ、ビルマ三国の国境が交わる岩だらけの山岳地帯は、麻薬密輸で有名な「黄金の三角地帯」と呼ばれており、メコン川もここを通っている。「中国の巡視艇は、これらの国々を行き来する中国、ラオス、ビルマ、タイの合法的な貨物輸送を警備する予定です。」と、メコン川を交易に利用している中国人船主協会のFang Youguo事務局長は述べている。

中国は10年前にタイ、ラオス、ビルマとメコン上流域における大型船舶の航行を可能にする浚渫工事に合意し、この地域への戦略的な足場を獲得することに成功した。

現在ではタイ(チェンセン)から中国(雲南)へのメコン川輸送ルートは、セメント、鉄、果物、石油など、年間15億ドル以上の物資を取り扱っている。一方、中国からは、にんにく、玉葱、リンゴ、タイ市場向けのプラスチック製品等を積載した船がタイに航行している。

今回の中国政府の決定は、2隻の中国貨物船が何者かによって襲われ、中国人乗組員13人が殺害されるという10月5日の事件をきっかけとしている。

当初タイ軍特殊部隊は、ビルマの少数民族シャンの麻薬密売組織のリーダーNor Khamを容疑者として挙げていたが、10月末までには、タイ警察は9名のタイ軍兵士を容疑者に指名した。

一方11月上旬にはメコン地域のラオス領でカジノを経営している中国人実業家Zhao Wei氏の名が容疑者として浮上した。Zhao氏は、中国人顧客を呼び込んでいた彼の違法賭博場を手入れした中国官憲とトラブルを起こしていた。

中国人船員が殺害されたこの事件は、中国国内で大きな反響を呼び、中国政府は警備体制が整うまで、中国向け河川輸送を一時停止する措置をとった。陸上通商ルートと共にメコン河川を通じた輸送ルートは、中国と南に隣接した各国とのユニークな協力関係を構築することに貢献している。

「10月5日(の殺人事件)については多くの人々が関心を持ち、怒りと共に真相究明を呼びかける声が高まっています。治安問題は、地域協力を安定化する上で極めて重要な問題です。」とコラムニストのDing Gang氏は大手日刊紙「グローバルタイムス」に寄稿している。

中国政府は、タイ、ラオス、ビルマ各政府に、事件の捜査を強化するよう圧力をかける一方、国境地帯の共同警備を可能にする四カ国協定を10月31日に結んだ。

国際人権 NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ」(本部・ニューヨーク)の中国担当上級調査員であるニコラ・ベクイリン氏は、IPSの取材に対して、「これは(中国が)この地域の支配的な勢力になろうとしている意思表示なのです。」と語った。

「正義が勝つためには、犯人と扇動者を追い込み、法の裁きを受けさせなければならない。『黄金の三角地帯』をとりまく複雑な状況を考えれば、国境を越えた多国間の捜査と連携が重要である。」と先週中国の英字日刊紙「チャイナ・デイリー」は論説の中で報じた。

しかしこのような新協力体制のレトリックが、無法が蔓延る「黄金の三角地帯」で機能するかどうかはこれからの課題である。警察を含む従来の地域協力体制の下では、密輸、射殺問題に対して有効な成果を上げられずにきた経緯がある。

メコン川と国境をまたがる犯罪は、関連各国による最善の努力にも関わらず、引き続き大きな問題である。この地域の犯罪例には、麻薬関連のものの他に、ゆすり、強盗、発砲事件があります。」と国連薬物犯罪事務所(UNODC東アジア・. 太平洋地域センターのゲイリー・ルイス所長は語った。

「黄金の三角地帯の中には人里離れて、立ち入りが困難な場所が多々あり、メコン流域全般を警備するのを極めて困難にしています。こうした環境が犯罪組織に理想的な活動拠点を提供しているのです。」とルイス所長は語った。

国連薬物犯罪事務所(UNODC)は、9月に発表した報告書の中で、「黄金の三角地帯」を流れる全長4880キロのメコン川を、ビルマのシャン州で製造されたメタンフェタミン錠剤の主要な密輸ルートとなっている点を指摘している。この内容は、黄金の三角地帯がかつて世界最大の麻薬・ヘロインの密造地帯であったことを髣髴とさせるものである。

「黄金の三角地帯の密輸業者や軍閥は、麻薬取引から利益を得ていないときは、メコン川を航行する中国船舶から、『保護手数料』と称して金品を脅し取ってきました。」とシャン族の通信社で編集長をつとめるクエンサイ・ジャイエン氏は語った。

「彼らは、長年に亘って貨物船を襲って荷物を奪い取ってきました。中には、停船を拒否したことから撃ち殺された中国人船員も少なくありません。」とジャイエン氏は語った。(原文へ

翻訳=IPS Japan