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|タジキスタン|新しいテロ世代の波

【ニューヨークIPS=ポーシャ・クロウ】

 

国際社会の目がバーレーン、シリア、リビア、イスラエルの人権状況など中東情勢に釘付けになる中、国際危機グループ(ICG)が中央アジアの「最貧国」タジキスタンに関する報告書を発表した。

それによれば、タジキスタンは国内外において安全保障上の脅威に直面しているという。東部ラシュト地区では、軍閥や青年ゲリラなどに対する政府の不毛な掃討作戦が続けられていたが、2010年、エモマリ・ラフモン大統領とタジク反対戦線(UTO)のミルゾフヤ・アフマドフとの間で不安定ながらも和平合意がなされた。

その結果、2009年の襲撃以来、政府軍を悩まし続けてきたアフマドフとその支持者らは、恩赦との交換条件で武装解除に応じ、政権支援に回ることになった。

 
「2010年のラシュト地区掃討作戦が失敗したことで、タジキスタン国軍及び治安部隊の戦闘力に関する信頼と威信は大きく傷つくこととなった。」と同報告書は記している。また、タジキスタンは、国内のこうした軍閥の脅威に直面する一方で、隣国のアフガニスタンを混乱に陥れているウズベキスタンイスラム運動(IMUによる脅威にも晒されていると報告している。ICGの中央アジアプロジェクトディレクターのポール・クィン=ジャッジ氏は、「IMUはイスラム国家樹立のビジョンを掲げて、タリバンとともにアフガニスタンで戦闘に加わっており、タジキスタン政府としては、IMUが引き続きアフガン情勢にかかりきりとなりタジキスタンの内政に干渉しないことを願っている。」と語った。

またICG報告書は、アフガニスタン紛争が1400キロに及ぶ同国とタジキスタンとの国境地帯に及ぶ中、脆弱なタジキスタンが、中央アジア各地のゲリラ勢力をひきつける可能性があると警告している。東部ラシュト地区での和平合意で現地のゲリラ部隊はわずか30人になったというが、一方でアフガンゲリラのタジキスタンへの浸透は既に何年にもわたって続いており、「タジキスタン政府は、こうしたゲリラ勢力に対処する能力をほとんど有していない。」と同報告書は述べている。

こうした安全保障上の脅威は、タジキスタン国内及びIMU内部で台頭してきている若い世代のゲリラたちである。「こうしたゲリラの多くは、1992年から97年にかけて5万~10万人の命を奪ったとも言われるタジキスタン内戦の記憶を持ち合わせていない20台の若者達である。」と同報告書は記している。

また同報告書は、「こうした新世代の台頭を背景に、タジク人があまりにも悲惨な内戦の記憶から、現政権(反乱を誘発するような腐敗政権ではあるが)に反抗することはありえないとする憶測は成り立たなくなってきている。」と記している。

「タジキスタンの政治腐敗状況は引き続き深刻なレベルです。」とクィン=ジャッジ氏は語った。同国政府は、アフガニスタンから中国、ロシアに麻薬を密輸しておりアフガニスタン国境の不安定化の一因となっているとの疑惑が持たれている。

ICG報告書
によれば、タジキスタンは、腐敗した政権と弱い軍隊に加えて、「瀕死」の経済とインフラの老朽化に直面している。こうした深刻な現状に対する不満から、アラブ世界を席巻している民衆蜂起の波がいずれタジキスタンにも及ぶのではないかと予測する専門家もでてきている。

IGC
アジアプログラムディレクターのロバート・テンプラ-氏は、「ラフモン大統領は北アフリカでおきた民衆蜂起がタジキスタンでも発生する可能性を否定しました。しかし、タジキスタンの脆弱な政治情勢を考えれば、国内の小さな問題でも政権の存続を脅かす大問題に発展しかねません。タジキスタンも中東・北アフリカを席巻している民主化の波の影響を受けないとはいえないのです。」と語った。

同報告書は、タジキスタン政府に対して、暴力を否定する穏健なイスラム集団を容認し、彼らの政治・社会参加を促すことが必要だと勧告している。また同報告書は、ロシア、中国、米国に対しては、アフガニスタン-タジキスタン国境のリスクを検証し、同国境の安全保障を強化する方策を協議するよう勧告している。また、「今の段階でタジキスタンや中央アジア諸国の開発援助スタッフの専門技術向上に投資しておけば、今後大きな成果を期待できる。」として、従来の開発援助のありかたを見直し、政治経済改革を促す各種条件を設けるよう勧告した。

タジキスタン情勢に関するICGのレポートについて報告する。(原文へ

翻訳=山口響/IPS Japan戸田千鶴


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