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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

|スリランカ|多民族の融和を目指して

 

【ジュネーブIPS=ガスタボ・カプデヴィラ】

 

1988年日本で設立された反差別国際運動 (International Movement Against All Forms of Discrimination and Racism: IMADR)のニマルカ・フェルナンド理事長は「今日の世界では、自分と自分の社会『以外』のものは異質であるとして何らかの形で処分および滅ぼすべきであるという風潮が蔓延している」と述べた。

さらに彼は「世界の経済・政治の秩序は人々の間で脆弱性と社会的無視を生み出している。今日、我々人間の生活は貧困や(ジョージ・W・ブッシュ米大統領による)石油資源の支配に脅かされている」とIPSの取材に応じて語った。

 
IPS
:現在、人種差別は世界でどのような役割を果たしていますか。

ニマルカ・フェルナンド:人種差別は戦争や資源の略奪をもたらし、我々の社会に人種差別や排除を促す政治的イデオロギーです。

IPS
IMADRといったNGO団体は現在どんな取り組みを行っていますか。

NF
:我々の活動は9.11以降非常に困難になっています。2001年9月11日のニューヨーク、ワシントンでのテロ攻撃の影響を受けて、全ての反体制派の活動はテロや暴徒の仕業であると見なされています。民主的権利のための活動は、テロ撲滅のスローガンのもとに停止を余儀なくされています。

IPS
:スリランカでも人種差別はありますか。

NF
:スリランカでは民族的立場から生まれた人種差別があります。(多数派民族の)シンハラ人過激派は、長年スリランカ北部で自治権や民主的権利を求めて争ってきたタミール人指導者たちに対する憎悪の念を増大させる運動を展開しています。

IPS
:スリランカについて教えてください。

NF
:スリランカは『崩壊した国』の典型例です。つまり、スリランカは植民地時代以後、様々な民族・文化・宗教が複雑な関係を作り出すなか、政治理念と権力分担の安定化に向けた経済政策に失敗した国です。

IPS
:その結果、どうなりましたか。

NF
:我々は20年以上もの間続く戦争へ発展した民族紛争に関わってきました。そしてこの闘いで多くの命が失われました。中でもタミール人の死者の数は最大でした。現在も多くの人々が国内外で行き場を失っています。戦争は1つの社会を破滅へと導くことになるのです。

IPS
:解決策はないのですか。

NF
:(2002年2月22日)シンハラ人とタミール人との停戦合意は実現したものの、戦争の影は日に日に色濃くなっています。(11月19日)マヒンダ・ラージャパクサ新大統領が政権を握ると、同国の北部や東部で再び戦闘が激化し多数の死者を出しました。そして犠牲者のほとんどは、武装していない一般市民でした。

IPS
:紛争に対する各党の対応はどうですか。

NF
:政治的暗殺に関しては政府の調査は行われません。これは政府の支援を受けた東部の民兵組織が暴力や殺人に関わっているためです。従って、LTTE(タミル・イーラム解放の虎)も彼らの暴力に関する報告を受けていないのです。

IPS
:2004年(12月26日)に発生した津波に襲われたアジア南部地域の1つであるスリランカは、17,500~41,000人もの死者を出したとされていますが、現在の状況について教えてください。

NF
:民族紛争後のスリランカでは津波による甚大な被害を受けたことで、国内のイスラム教徒とタミール人に対する差別はさらに悪化しています。(仏教徒とキリスト教徒が占める)南部の救援活動や復興の様子は大いに注目されましたが、一方の北部・東部ではほとんど注目されませんでした。

津波以降、大統領の支援団体は(政府の要請する戸数を超える)500戸を建設していますが、北部・東部地域では未だに多くの被災者が一時避難場所で生活しています。


IPS
:そのような動きは注目されてきたのですか。

NF
:私の立場から言うと、国連でさえスリランカの貧困者の実態を把握していないと言わざるを得ません。我々は津波後の国連による同国の再建状況をいつも耳にしています。またビル・クリントン前米大統領が(国連特別大使として)復興の進捗状況を見るため我々の元を訪れました。

Action Aid
は津波による被災者の人権問題を扱った資料を作成したので、彼らのホームページを参考にしてください。


IPS
:少数民族社会の現状はどうですか。

NF
:スリランカで生活しているイスラム教徒の人々は2重の差別を受けています。1つはスリランカ政府が彼らの問題を扱わないでいること。もう1つは東部を支配するタミール人が直面する紛争問題や(政府とLTTEとの)緊張状態です。

東部では去年多くのイスラム教徒が死亡したにも関わらず、適切な調査が行われていません。10年前LTTEにより北部を追い出されたイスラム教徒は、今もなおIDP(国内避難民)として将来の不安を抱えながら生活しています。そして、彼らはIDPとなった現在も居住地で全ての社会から酷い扱いや差別を受けています。


IPS
:では、タミール人はどうですか。

NF
:スリランカで生活しているタミール人は使用言語の差別に直面しています。タミール人は公用語の規定により自らの言語を使用する権利はありますが、政府はこの規定を実施していないのです。

逮捕されたタミール人はシンハラ語で書かれた供述書に署名させられるか、彼らの知らない言語で全ての書類に署名することを強要されます。北部や東部の政府が管轄する地域では警察署内にタミール語を話せる警察官が全くいません。さらに、郵便局でもタミール語で書かれた電報やメッセージを送信する設備が整っていません。


IPS
:そのような風潮が女性に与える影響はどうですか。

NF
:女性は多くの差別に直面しています。タミール人女性は戦争中多くの暴力を受けてきましたが、停戦の調印後その状況はいくらか緩和されました。

しかし、昨年12月からの北部・東部の軍隊による活動の高まりと共に、女性に対する暴力や嫌がらせの報告が次々と我々の元に届いています。スリランカ政府は、未だにジャフナのDharshiniという少女のレイプ殺人について報告や調査を行っていません。彼女の遺体は北部の海軍基地近くの井戸の中で発見されました。


IPS
:少数民族社会の将来はどうなりますか。

NF
:少数派民族を含む世界中の人々は労働、社会、統治の世界で公正な役割を求めて奮闘しています。我々は譲歩や福祉国家主義といった概念を超え、人権に基づく平等な扱いを実現していかねばなりません。

例えば、米国人主導の世界経済においてブッシュ米大統領による石油獲得への強い欲望は、正義や公明正大な行為への渇望によって阻止しなければなりません。我々はあらゆる人種差別を非難し、またこの問題と闘っていかなければならないのです。


IPS
:2月にジュネーブで始まり、次回4月にも開催される予定の平和交渉について話してください。

NF
:スリランカは再び武力闘争に戻ることはできないので、我々としてはジュネーブでのLTTEと政府との話し合いに期待しています。スリランカの人々は戦争や津波の被害に苦しんできました。従って、我々は市民社会の活動家としてこの機に反政府LTTEとスリランカ政府との対話内容の公表、問題地域の調査、民族問題に関する解決策の提案などに取り組みます。

我々は公式の話し合いには直接参加できませんが、市民社会グループの平和論者の一員として、政府とLTTEとの対話を通じて(タミール人社会の平和構築に必要な)信頼関係を築きながら内政面で活動していくつもりです。


さらに、我々は戦争ではなく政治的解決や話し合いによって(特にシンハラ人の気持ちの中で)この問題を解決するのに必要な政治風土を築くことにも取り組んでいます。


従って、市民社会活動家として内政面での我々のやるべき仕事は、タミール人との対話を公開する一方で、シンハラ人社会と活動を共にしていくことです。そうすれば、そのうちスリランカで平和が訪れることになるでしょう。(
原文へ


翻訳=IPS Japan浅霧勝浩


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