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INPS JAPAN   IDN-InDepthNews - UN INSIDER

貧困国が難民受け入れ負担の大半を負っている(アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官)

 

【ナイロビIDN=ジェローム・ムワンダ】

 

世界の先進各国は、ことある毎に、途上国からの移民がそうでなくとも堅調でない自国の経済に負担になっていると不平を漏らすが、この度国連は、そうした先進国のステレオタイプを覆す報告書を公表した。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR
は、「世界難民デー」にあたる先月20日、「2010年世界の動向レポート」を発表し、難民受け入れの負担を受けているのは、富裕国ではなく、難民の絶対数からも、また、ホスト国の経済規模から見ても、圧倒的に貧困国(全世界の難民の8割が居住)である実態を明らかにした。

 
先進44ヶ国への難民申請数はこの10年間で約4割減少した。2001年には62万件、2010年には35万8800件であった。アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官(右写真の人物)は、「近年、世界的な難民申請の動向は変化してきています。」と語った。

難民申請者の出身国をみると、2010年に最も多かったのはセルビア(コソボを含む)出身者で、しかも昨年の18,800人から28,900人へと急増している。この点についてUNHCRは、「セルビアのパスポート保有者に対してビザなし入国を認めた欧州連合(EU)の2009年12月の決定の影響が大きい。」と解説している。

他に多くの難民を出している国は、アフガニスタン、中国、イラク、ロシア、ソマリア、イラン、パキスタン、ナイジェリア、スリランカである。
 UNHCR
グテーレス難民高等弁務官は、引き続き途上国が難民申請者の大半を受け入れている現状と、中にはリベリアやチュニジアのように、国内問題を抱えながら受け入れ国になっている国もある点を指摘した。

一方先進国の中でもっとも難民受け入れが多いのが米国で、2010年には中国、メキシコ出身の難民申請者が増加したのを背景に5万5000件を記録した。これに続くのがフランスで、4万7800件、主にセルビア、ロシア、コンゴ民主共和国からの難民を受け入れている。その他にドイツ、スウェーデン、カナダがトップ5に入っている。

UNHCR
は、難民申請者を「国際社会に保護を求め、難民としての地位が未だ確定していない個人」と定義している。難民申請者は、1951年の「難民の地位に関する条約Convention Relating to the Status of Refugees)」の基準を満たせば難民として認定される。

UNHCR
の「世界の動向レポート」で挙げられた難民受け入れ国の内訳は欧州連合の27加盟国、アルバニア、オーストラリア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、カナダ、クロアチア、アイスランド、日本、韓国、リヒテンシュタイン、モンテネグロ、ニュージーランド、ノルウェー、セルビア、スイス、トルコ、米国、マケドニアである。

同レポートによると、現時点でもっとも多くの難民を受け入れているのは、パキスタン(190万人)、イラン(107万人)、シリア(100万人)である。一人当たりの国内総生産に占める受入難民数でみると、パキスタンが1ドル当たり710人で、最も経済的に負担を負っていることが分かる。これにコンゴ民主共和国の475人、ケニアの247人が続いている。

「こうした国際保護の実態については憂慮せざるを得ません。難民の殺到を恐れる先進国に広がる感情は大げさに誇張されたものか、移民の流入問題と混同したものなのです。一方で現実はずっと貧しい国々が実質的に負担を負わざるを得ない事態に置かれているのです。」とグテーレス氏は付加えた。

全体的に、最新のレポートはUNHCRが設立された60年前とは大きく変化した移民を取り巻く環境を描いている。UNHCR設立当時の取り扱い件数は、210万人で、第二次世界大戦の結果発生した欧州の難民が対象であった。今日UNHCRが受持つ国地域は120カ国を超え、保護対象者も国外への移転を余儀なくされた人々に止まらず国内難民も含まれる。

現在、世界には4370万人の出身地・居住地を追われている人々がいる。この人口を国に置き換えると、コロンビア或いは韓国の全国民、或いはスカンジナビア諸国とスリランカの全ての国民の合計に相当する。

そのうち、内戦による被害者が2750万人、難民が1540万人(うち、パレスチナ関係が482万人)、難民申請者が83万7500人である。ちなみにこれらの数字には、今年発生したコートジボワールとリビアの国内難民は含まれていない。

また同レポートは、いくつかの主要紛争が長引く傾向にあることから、「難民状態の長期化」が近年深刻になってきている問題を指摘している。因みにこの定義(UNHCRの定義で5年以上を指す)に該当する難民の総数は昨年720万人で、2001年以来最も多い人数を記録した。一方、昨年故郷への帰還を果たした難民の数は僅か197,600で、1990年以来最も少ない人数だった。
 
UNHCR2001年と2010年の統計を比較すると、いずれもアフガン難民が全体の3分の1を占めている他、イラク、ソマリア、コンゴ民主共和国、スーダンからの難民がいずれもトップ10入りしている。この状況についてグテーレス氏は、「将来に希望を見出せない難民があまりにも多すぎます。国際社会は不安定な状況にある難民を無期限に放置することで、彼らを見捨ててしまっているのです。途上国が、難民の受け入れに関して今日のような過重な負担を支え続けることは困難であり、先進各国には難民の再定住受入枠を大幅に見直し、今日の不均衡を是正する取り組みが求められています。それと並行して、難民が帰還できるよう、長引く紛争に終止符を打つべく和平の取り組みを強化する必要があります。」と付け加えた。

各国から「無国籍者」として報告される人々の数は、2004年以降増加し続けている。しかしUNHCRは、各国が採用する定義や調査手法等の違いにより、正確な実情を把握するのが困難と指摘している。例えば、昨年の「無国籍者」の総数は350万人で、この数値は2009年の総数の半数と激減しているが、これは主にいくつかのデータ提出国が調査手法を変更した結果であることが判明している。ちなみに、「無国籍者」に関する非公式な総数は1200万人近くと見積もられている。(原文へ

翻訳=IPS Japan