移住労働者に「グローバルな見方」を学ぶシンガポールの学生
【シンガポールIDN=カリンガ・セネビラトネ】
政府統計によると、この東南アジアの豊かな国(=シンガポール)においては、人口の3人に1人が移民である。彼らは、近代的なインフラを築き、ビルを清掃し、レストランで料理や給仕をし、勤め先の家庭で子どもや老人の世話をしているが、しばしば賃金レベルはきわめて低く、粗雑な扱いを受け、地元の人々からは不審の目で見られている。
数百人のインド人労働者が警察車両を襲った2013年の「リトルインディア」暴動に始まり、イスラム系テロ集団との関連が疑われる27人のバングラデシュ労働者の最近の逮捕に到るまで、移住労働者に関しては社会に緊張が走っている。法律を学ぶある学生が語ったように、「私たちは移住労働者に関して二次的な情報源からしか情報を得ていない。そしてそれは、彼らがどういう人たちであるかについて教えてはくれない。」のである。
|視点|世界市民、現れつつあるグローバルな意識の結果(アルセニオ・ロドリゲス「DEVNETインターナショナル」会長)
【ミャートルビーチIPS=アルセニオ・ロドリゲス】
グローバル化は近代的なるものの不可欠の特徴です。既にグローバル化はかなり進行しており、地域の経験をグローバルな経験に変え、世界各地の背景が異なる村々をグローバルなコミュニティの下に統合し、国民経済を国際経済に組み入れています。
しかし同時に、グローバル化のプロセスは文化的アイデンティティの喪失をももたらしています。
イラクのキリスト教徒、「イスラム国」の脅威に直面してヨルダンに避難
【アンマンIPS=アレージ・アブクダイリ】
イラク人のマーヴィン・ナフェ氏にとって隣国シリアでスンニ派過激組織「イスラム国」が勢力を伸ばしている様子を捉えたとされるソーシャル・メディアの映像や写真は、現実からかけ離れたものとしか思えなかった。
「あまりにも架空のものに思えて、信じられませんでした。」と27歳になるナフェ氏は語った。
ランペドゥーザという名のアフリカ人にとっての夢
【トリポリIPS=カルロス・ズルトゥザ】
ナイジェリア出身のユーセフ(28)さんは、ポケットに折りたたんだ欧州の地図を入れてサハラ砂漠を横断してきた。「この地図でランペドゥーザがどこだか指さしてもらえますか? 私にはわからないのです。」と語った。
ランペドゥーザとは、ここリビアの首都トリポリの北西600キロに位置するイタリア領の島の名前である。ユーセフさんは、このランペドゥーザ島にいつか辿り着くことを目指して、ナイジェリアの首都アブジャから過酷な道のりを経てリビアへとやってきたのだった。
「アブジャからトリポリまで直行便がないから、陸路できたんだ。ぎゅうぎゅう詰めのトラックに揺られて砂漠を縦断する5日間の旅に800ユーロ(約112,800円)掛かった。トラックでは、運び屋から『誰かが落ちても止まらないからしっかり体を結びつけておけ』と言われたよ。」とユーセフさんはIPSの取材に対して語った。
欧州のどこかへ何とかして逃れようとする人びと
【アテネINPS=アポストリス・フォティアディス】
熾烈な内戦状態が続くシリアから逃れてヨーロッパに向かう人々が増える中、ギリシャはできれば通過したくない場所になってきた。
現在、そうしたシリア難民の大半(他の国々からの難民もそうだが)は、ギリシャ以外の場所を通過して北部ヨーロッパに逃れようとしている。そしてその選択肢の一つとして、やはり難民に対して厳しいバルカン諸国を通るルートが浮上してきている。
|米国|国境を要塞化しても、最終解決策にはならない
【シアトルIPS=ピーター・コスタンティーニ】
米国における移民を巡る議論に困惑している人は、あの「マジノ線」を思い出してみたらどうだろうか。
「マジノ線」とは、1930年代に、当時のフランス陸軍大臣アンドレ・マジノ(André Maginot、1877年―1932年)の提唱で、来るドイツの侵攻に備えてフランス政府がドイツ―フランス国境沿いに構築した長大な要塞線のことである。しかしナチスドイツは、第二次世界大戦初期の対仏電撃戦において、マジノ要塞の北限(フランスは中立国のベルギーとの国境にマジノ線を延長していなかった:IPSJ)をやすやすと迂回して英仏連合軍を圧倒、わずか6週間でフランスを降伏させた。
アフリカに新天地を見出す中国人労働者
【ナイロビIDN=マーク・カプチャンガ】
中国人にとってアフリカ大陸が新たな故郷になりつつある。4年前にケニアにきたリュウさん(3児の父)は、暫くは中国福建省の故郷に帰ることはないだろうという。
最近完成したばかりのティカ高速道路の建設に従事していたリュウさんは、今後はケニアで小売業を始めるか、違う仕事を探すつもりだという。
現在アフリカには新たな中国人移民の波が押し寄せているが、リュウさんの声はそうした中国人労働者の心情を代弁したものといえよう。今日までに中国からアフリカに渡航した労働者は81万人以上にのぼっている。そして彼らの大半が、アフリカ諸国では本国と比較して多くの収入が期待でき、ビジネスチャンスも多いことから、労働ビザの期限が切れた後も不法滞在を続けているのである。
また中にはアフリカの広大な耕作地に目をつけ、土地と農業ビジネスへの投資で一儲けを企図して渡航してくる者もいる。
情報不足で困難に陥る難民支援
【ベルリンIDN=ジャヤ・ラマチャンドラン】
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が、情報不足からくる2つの問題に悩んでいる。ひとつは、難民発生国における活動の困難であり、もうひとつは、先進国に難民が集まりやすいという幅広く信じられている「誤解」の問題である。
UNHCRでは、近年のソマリア情勢の悪化により、今年に入って32万人がソマリアから避難したとみている。UNHCRのアンドレイ・マヘチッチ報道官が10月21日に語ったところによると、難民の多くはケニアやエチオピアといった隣国にも向かっているが、アデン湾を超えて対岸のアラビア半島に渡るという危険な行為に出る難民も少なくないという。
今年に入ってからすでに2万人のソマリア難民が対岸のイエメンに到着している。「イエメンの難民受入センター(Reception Center)に新たに到着した難民がUNHCR職員に語ったところによると、旱魃、飢饉、内戦、兵士への強制徴用が、ソマリアを逃れてきた主な原因です。」とマヘチッチ報道官は語った。
|イエメン|売り買いされ虐待にさらされる女性たち
【アデンIPS=レベッカ・ムレイ】アイーシャ(20歳)は、2人の子どもを強く抱き寄せながら、自身に降りかかった恐ろしい経験について語った。ソマリアの首都モガディシュで育った彼女は4年前に恋に落ち、未婚のまま最初の子どもを出産した。それを知った家族が「名誉を汚した」として彼女の命を脅かしたため、やむ無く家出したという。
アイーシャは、より良い人生を求めてブローカーを頼りにイエメン行きの密航船に乗り込み、危険なインド洋を渡ってきた。