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尾崎行雄と立憲主義(石田尊昭尾崎行雄記念財団事務局長)

Takaaki Ishida/ Ozaki Yukio Memorial FoundationIDN東京=石田尊昭】

日本国憲法施行から71年を迎える今年は、憲政の父・尾崎行雄の生誕160周年でもある。尾崎は1890年の第1回衆議院議員総選挙から第25回まで連続当選し、60年以上にわたり衆議院議員を務めた。1912年の憲政擁護運動では犬養毅と共に「憲政の神」と呼ばれた。

「憲政」とは立憲政治のことである。立憲政治は、「多数国民の生命・財産その他の権利・自由を保障」することを目的に、「立法部の多数を基礎とする政党内閣」が行う政治だと尾崎は言う(『政治読本』1925年)。

独裁者や一部の特権的勢力が独善的に振る舞う「人の支配」ではなく、国民が正当な選挙で選んだ代表者が、国民の人権を守るために、憲法に基づいて政治を行う「法の支配」。尾崎は、この立憲政治の確立に一生を捧げた政治家だ。

ここ数年、政治の場で立憲主義という言葉が頻繁に使われ、政党名に立憲という文字を入れたものまで現れた。そして現政権を「立憲主義違反」だと激しく非難している。

仮に「多数国民の生命・財産その他の権利・自由を奪う」ことを目的とした、あるいはそうなることが明らかな法律を、正当な選挙を経ず、独裁政権の下で国民を弾圧しながら成立させているのなら、明らかに立憲主義違反尾崎が活躍した明治から昭和初期は、検閲によって新聞や雑誌がたびたび発行禁止処分となり、また選挙公報も黒塗りとなった。新聞記者や民権運動家の中には激しい拷問を受け獄死するものもいた。若き頃の尾崎は保安条例によって東京から追放された。そして1942年の第21回衆議院議員総選挙(いわゆる翼賛選挙)では、尾崎を含む非推薦候補者は弾圧を受け、尾崎は演説直後に「不敬罪」で巣鴨拘置所に入れられた。立憲主義違反とは、まさにこういうものである。

尾崎は、制度としての憲法よりも、国民に立憲主義の精神を根付かせることのほうが重要だと考えた。明治憲法は欽定憲法であり、人権保障も「法律の範囲内」という条件付きのものだったが、それでも国民が立憲主義を理解し、その精神を身につけさえすれば、上手く運用して立憲政治が実現できると考えたのだ。

尾崎は、執筆や演説を通じて、特に有権者に向けて立憲主義を説き続けた。立憲政治の実現のためには、理念・政策で結びつき、国家国民のための政策論争ができる真の政党が必要だが、それを育み、選ぶのは、後にも先にも有権者だからだ。

Ozaki Yukio Memorial Foundation国民に立憲主義が根付くことの重要性は昔も今も変わらない。だからこそ、立憲主義という言葉を、倒閣目的のスローガンやイメージ戦略で安易に使うべきではない。与党も野党も、そして我々有権者も、今一度、立憲主義の歴史と意義を冷静に見つめ直す必要があるのではないか。

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