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WAMアラブ通信

|シリア|ハマ虐殺事件の背景に怨恨の影

【アブダビWAM

 

シリア中部の町ハマの近郊にあるクベイル地区で6日に起こった虐殺事件は、改めて混沌と無秩序のどん底に陥ろうとしているシリアの現状を浮き彫りにした、とアラブ首長国連邦(UAE)の日刊紙が報じた。

のどかな郊外の村で発生した今回の虐殺では、80人を超える住民が、ナイフで刺殺されたうえに死体が焼却されるという極めて残虐な手口から、民族、宗派、パワーポリティクスを動機にした殺害者による怨恨が背景にあるのではないかとの見方が強まっている。

「明らかに言えることは、バシャール・アサド政権のバース党が主導する治安部隊とは別に、独自の利害関係と目的をもった諸集団が跋扈しており、危機に陥っているシリアがこうした集団による攻撃の標的になっているということである(犠牲者の多くが反政府派が多数を占めるスンニ派ではなく、政権関係者に近い少数派のアラウィ派や同じく少数派のキリスト教徒であることから、実際の犯行は政府軍によるものではなく、反体制派を名乗るスンニ派原理主義グループによる犯行との見方もでてきている:IPSJ)」とドバイに本拠を置く英字日刊紙「カリージ・タイムズ」紙が9日付の論説の中で報じた。

 
この虐殺事件の少し前(5月25日)にも中部の町ホムス近郊にあるホウラ地区で、村人ら約100人が同様の手口で殺される虐殺事件が起きていた(右上写真)。こうした虐殺が頻発することに、アサド政権に対する国際社会からの非難(友好国ロシアからのものも含む)が高まっているが、暴力の連鎖はいっこうに収束する気配を見せていない。

「現在の状況は、まさにシリアが国家として崩壊の危機にあることを示唆している。現在のシリア社会は根深い宗派対立に沿って分裂状態にあり、従来それを抑え込んでいた政府による命令や法秩序が行き渡らなくなっている現状では、今後こうした虐殺がさらに頻発する可能性を誰も否定することはできない。」と同紙は報じた。

さらにカリージ・タイムズ紙は、「シリア情勢をさらに複雑・かつ悪化されているのが、自称反政府組織の一部と名乗っている多くの民兵組織に、武器支援の形で介入してきている外国諸勢力の問題である。こうした大小様々な「自称反政府勢力組織」の多くが、統一反政府連合の旗の下にアサド政権打倒に邁進するという目標とは別の政治的目標に向かって活動している可能性については、だれも否定することができない。」と報じた。

同紙は、今のシリア情勢は、政府の統治能力が弱体化して内戦状態になったところに諸外国が反政府諸団体に対する支援を通じて不当な介入をおこなっている構図から、泥沼状態に陥っているアフガニスタンの再現に他ならない、と報じた(国連では、住民保護を理由にアサド政権打倒を目指して軍事介入を主張する欧米アラブ諸国と、旧ユーゴスラヴィア紛争の際のデイトン合意の前例を踏まえた現政権と反対勢力による対等な話し合いで妥結をはかるべきとするロシア・中国の主張が対立している:IPSJ

「重要な点は、国際社会は虐殺が繰り返されているシリアの現状を単に傍観して嘆いているのではいけないということである。ホウラやハマの虐殺事件が、責任の所在を巡る非難の応酬をエスカレートさせる一方で、(コフィ・アナン国連・アラブ連盟共同特使が提示した)6項目の和平提案から注意を逸らす結果となっているように、問題打開に向けた政治・外交イニシャチブは、機能不全状態に陥っている。」

カリージ・タイムズ紙は、「国際社会は、無関心の中でこうした緊急事態が頻発する現状は改められなければならない。シリアの人々がこうした攻撃の標的にされて空しく遺体を数え続ける事態が放置されてはならない。」と結論付けた。(原文へ

翻訳=IPS Japan

 

 

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