|視点|核軍備枠組みが崩壊する間に…(タリク・ラウフ元ストックホルム国際平和研究所軍縮・軍備管理・不拡散プログラム責任者)
【ニューヨークIDN=タリク・ラウフ】
ニューヨークの国連本部で開かれていた核不拡散条約(NPT)2020年再検討会議第3回準備委員会は、核軍縮のペースと程度をめぐって、合意に達せずに終了した。
4月28日から5月10日まで開催されていた準備委員会には150カ国が議論に加わり、一般討論(各国の代表による意見表明)では106件の発言がなされた。これに続いて、3つのクラスターでは時として繰り返しになるような多数の発言がなされた。3つのクラスターとは、(1)核軍縮と安全の保証、(2)核の検証(IAEA保障措置)、非核兵器地帯、中東・北朝鮮・南アジアなどの地域問題、(3)原子力の平和的利用、NPT再検討プロセス、条約の脱退問題、である。
北欧の「2030世代」がSDGに取り組む
【レイキャビクIDN=ロナワ・ヴィール】
国連が「アジェンダ2030」と持続可能な開発目標(SDGs)を採択してから2年目の2017年9月5日、北欧諸国が共同で「2030世代」プログラムを立ち上げた。北欧の公的な協力を通じてアジェンダ2030の履行を加速しようとの目的だ。
2020年12月までの予算192万5000ドルがプロジェクトに割り当てられた。
北欧閣僚会議(NCM)のプロジェクト・オフィサーであるファニー・レフラ氏は、このプロセスは実際には「ヘルシンキで討論会が開かれた」2016年秋に始まっていると語った。当時、SDGsの第12目標(持続可能な消費・生産)に焦点を当てることが決められたが、持続可能な消費・生産の下支えになる活動がSDGsの他の目標(第5、6、7、8、13、14、15、17目標)と関連付けられるべきであるとされた。青年会議の構想も、このときに生まれている。
古代シルクロードの要衝、近代的な観光開発に踏み出す
【ブハラ(ウズベキスタン)IDN=カリンガ・セネビラトネ】
ブハラ市は、アジアとアラブ世界や欧州を繋ぐシルクロードにおいて、交易上の要衝であった。ウズベキスタン政府が2016年に外国人観光客に対する規制を撤廃し、シルクロードに対する世界的な関心が高まる中、2000年の歴史を持つブハラは中央アジアの主要な観光地を目指す方針だ。
ブハラは、ペルシアやインド、中国、ロシアから訪れる商人らによって栄え、10世紀から17世紀にかけてのシルクロード発展の中で人気の中継拠点となった。
米国という障害にぶつかりかねないNPT再検討会議
【ニューヨークIDN=シャンタ・ロイ】
無謀にも多国間条約を次々と攻撃しているトランプ政権は、核不拡散条約(NPT)の再検討会議が来年4~5月にニューヨークで開催される際に、試練に直面することになりそうだ。
5月10日まで開催されていたNPT再検討会議準備委員会会合の議長を務めたマレーシアのサイード・モハマド・ハスリン・アイディッド大使はサイドイベントで、広島・長崎両市長に対して「やるべきことがたくさん残っています。とりわけ、来年はNPT発効50周年です。」と語った。
より平等な世界を求めて
【ルンド(スウェーデン)IDN=ジョナサン・パワー】
おそらく、結局のところ、社会をより平等にしようとすれば、世界には少なからず暴力が必要であるという議論がある。これは、スタンフォード大学のウォルター・シャイデル教授による新刊『グレイト・レベラー』(Great Leveler)の結論の一つである。
サイクロンに襲われた南部アフリカの困難
【チマニマニ(ジンバブエ)IDN=ジェフリー・モヨ】
サイクロン「イダイ」がアフリカ南部に襲来し、その5週間後の4月25日、今度はサイクロン「ケネス」がモザンビークを襲った。この被害について世界食糧計画(WFP)は、もっぱら農村地帯である被災地の漁民・農民の生活は今後数か月にわたって影響を受けるであろうとコメントした。
約3万1000ヘクタール(7万6600エーカー)の作物が収穫期に失われた。「地域の食料事情はすでにかなり不安定な状態にあります。」とハーブ・バーフーセル報道官は語った。
宗教コミュニティーが核兵器廃絶を呼びかける
【ニューヨークIDN=サントー・D・バネルジー】
核兵器なき世界の実現に向けて、無条件にその義務を担い、核兵器禁止条約への署名、批准を支持することを通して、世界のヒバクシャの声に耳を傾け心に刻む。
さらに、犠牲者の支援や、汚染された環境の回復を積極的に進め、被害を受けたコミュニティーへの国際協力と支援を行うよう国連加盟国に求める呼びかけに、さまざまな宗教から53の団体・個人が加わった。
中東の核拡散対策に新たな試み
【ニューヨークIDN=サントー・D・バネルジー】
中東非大量破壊兵器地帯(WMDFZ)と中東非核兵器地帯(NWFZ)の創設に関する会議(=中東会議)は、2018年12月の国連総会第一委員会がある決定を下すまでは忘れ去られていたようだ。その決定とは、世界で最も不安定な地域の一つである中東において、核拡散のリスクに対処する国際会議の「招集を国連事務総長に委託する」というものであった。
1995年核不拡散条約(NPT)再検討会議で、NPTの無期限延長を定めた一連の決定事項の一部として、「大量破壊兵器、すなわち、核兵器、化学兵器、生物兵器、並びに、それらの運搬手段を効果的に検証可能な形で中東から廃絶した地帯を創設すること」が要請されていたという事実に、この国連総会第一委員会決議の重要性が表れている。
キルギスの地域社会を世界につなぐラジオ
【スーサミール(キルギス)IDN=カリンガ・セネビラトネ】
中国が最近再整備した新しいシルクロードを旅するには、もう夏が近づくというのに雪に覆われた険しい山を車で登っていかねばならない。キルギスの首都ビシケクから続く道は、4000メートルの頂に上った後、美しい谷へと向かって1500メートル以上も下り、この国でもっとも辺鄙なところにある村へと至る。ここには、住民が伝統的に遊牧生活を送ってきた人口約1300人のスーサミール村がある。
南アフリカ共和国―核兵器を廃棄した模範
【ニューヨークIDN=J・ナストラニス】
核兵器や化石燃料関連事業からの金融資産の引き上げ(ダイベストメント)運動が盛んになっているが、その政治的影響力は、20世紀末に南アフリカ共和国(南ア)に対して展開されたダイベストメント運動のように強力なものになる可能性がある、と「世界未来評議会」のティース・ケイトー研究員は見ている。この運動は、南アが1994年にアパルトヘイトを撤廃させる一つの重要な要因となった。
現在のところ、そうした期待が実現される兆しや、現在進行中のダイベストメント運動が重武装した核兵器保有国を軍縮に向かわせる兆しはほとんど見えていない。しかし、南アは、一時は独自の核兵器開発を推し進めたがその後核兵器を自ら廃棄し、この大量破壊兵器に対する急進的な反対国に転じるという、りっぱな模範である。