|国連|インドによる軍縮専門家育成プログラムを評価
【ニューデリーIDN=デビンダー・クマール】
インドは、各国の若手外交官を対象にした軍縮・国際安全保障プログラムを立ち上げた初の国連加盟国となった。あるインド外務省高官は、この取り組みについて、「核問題と軍縮に対するインドのコミットメントを示すもの」とコメントした。
このプログラムには、広範な地域からの若手外交官の参加を重視している点など、1978年の国連軍縮特別総会によって実施が決定された「国連軍縮フェローシップ」と類似点がある。
欧州に出没する新たな亡霊
【ローマIDN=ロベルト・サビオ】
英国のテレサ・メイ首相が1月15日に欧州連合(EU)とまとめた離脱協定案を下院議会で圧倒的多数で否決されて以来、新たな亡霊が欧州に憑りついていることは明らかだ。それは、1848年のカール・マルクスの「共産党宣言」への道を開いた共産主義の亡霊ではなく、新自由主義型グローバリゼーションの失敗という亡霊である。新自由主義は、ベルリンの壁崩壊から2009年の金融危機までは向かうところ敵なし、といった状態だった。
2008年、各国政府は金融システム救済のために62兆ドルという巨費を投じた。また翌年の2009年に投じた額もそれに近いものだった(ブリタニカ年鑑2017年度版を参照)。米国連邦準備制度理事会の調査によると、当時、米国民は一人当たり7万ドルを失っている。
フォルケ・ベルナドッテ、伝説的な意志力を備えた人道主義者
【ルンドIDN=ジョナサン・パワー】
ブダペスト駐留のスウェーデン人外交官で、ナチス・ドイツ占領軍の手を逃れてスウェーデンに逃れられるよう、少なくとも6000人のユダヤ人に「保護証書」を発行したラウル・ワレンバーグ氏についてはよく知られている。ワレンバーグ氏はユダヤ人虐殺計画を察知し、責任者の将校と交渉して阻止することにも成功した人物であり、米国は同氏に史上2番目(第一号はウィンストン・チャーチル英首相)の名誉市民権を付与している。
また、ナチス・ドイツ占領下にあった多くのデンマーク人が、小舟を使って約7000人のユダヤ人を、海峡を越えて当時中立国であったスウェーデンに入国させた素晴らしい取り組みについてもよく知られている。
「核時代」を離れ、平和な緑の地球を創るとき
【ニューヨークIDN=メディア・ベンジャミン、アリス・スレイター】
シリアから米軍を撤退させ、アフガニスタン駐留米軍を半減させるとのドナルド・トランプ大統領の決定に対して、米国の左派・右派・中道から激しい不満の大合唱が起こっている。これにより米軍を本国に帰還させようとする大統領の試みは減速することになるかもしれない。
しかし、新年になって、米外交政策の脱軍事化が、議会の最優先事項になりそうだ。時代を先取りした「グリーン・ニューディール」への動きが強まる中、終わりなき戦争と、破滅的な気候変動と並んで地球の生存そのものを危機にさらす核戦争の脅威を否定する「ニュー・ピースディール」の時代がやってきた。
|視点|気候変動とホモサピエンスの限界、そしてバイオマス・ショア構想(倉橋みどり東京大学大学院農学生命科特任准教授)
【東京IDN=倉橋みどり】
今夏に体験した異常な暑さと世界各地で頻発した山火事は、記憶に新しい。世界中の多くの人々が「なんとなく空恐ろしいことが進行しつつある」と肌身で感じていることだろう。にもかかわらず、遅々として対応策が講じられずにいる。その理由は、一方で「地球温暖化を止める費用は効果に見合わない」と考えている人々が世界を動かしているからだ。
私たちは好むと好まざるとに関わらず同じ船の乗組員で、魚釣りをしながら航海している。どうやら船底に小さな穴があいてしまったようだが、魚釣りに夢中で、船底の小さな穴の事にはかまっていられない様子だ。
一部の勢力を除き、世界の指導者らは多国間主義を支持
【ニューヨークIDN=ラメシュ・ジャウラ】
新年が明けようとする中、世界に蔓延る「信頼欠乏症」の問題に対処しようとのアントニオ・グテーレス国連事務総長のアピールと、国連総会を「世界の主要な平和構築機関」にしようとのマリア・フェルナンダ・エスピノサ・ガルーセ国連総会議長の訴えは、国際社会による緊急の行動を世界に呼びかけるものとなるだろう。2018年の国連総会第73会期が、単独行動主義の台頭と大規模な移住が発生する中で開催されただけに、これらの訴えには一層切実なものがある。
国連総会に出席した各国政府首脳らは、国連をすべての人々にとって意義あるものにするとういうテーマのもとでまとまり、国際社会はルールに基づく多国間の秩序を通じてのみ変化する諸問題に対応できるという考えを強調していたが、この圧倒多数のコンセンサスは、米国やハンガリー、イスラエルによる反対意見によって損なわれた。
人類の生存を危機にさらす核兵器と気候変動(デイビッド・クリーガー核時代平和財団会長インタビュー)
【コペンハーゲン/サンタバーバラIDN=ジョン・S・アベリー】
Mで始まる5つの英単語、つまり、悪意(Malice)、狂気(Madness)、過失(Mistake)、計算違い(Miscalculation)、操作(Manipulation)の1つでもあれば、核戦争の引き金となり得る。「この5つのうち、核抑止で防げる可能性があるのは『悪意』だけです。しかもそれに関しても確実ではありません。また核抑止(核報復の威嚇)は、狂気・過失・計算違い・操作(ハッキング)に対しては全く効果がありません。」と、ジョン・スケールズ・アベリー氏によるインタビューに答えたのは、デイビッド・クリーガー氏である。
クリーガー会長は、1982年、「核兵器なき世界」の実現を目指す「核時代平和財団」を創設し、平和と核兵器の完全廃絶に向けて着実かつ弛みない取り組みを進めてきた。アベリー氏は著名な学者・科学者であり、情熱的な平和活動家でもある。
尾崎を学ぶ伊勢と九州の学生さんたち(石田尊昭尾崎行雄記念財団事務局長)
【東京IDN=石田尊昭】
毎年、伊勢の咢堂記念館で開催されている「尾崎咢堂生誕祭」。今年は12月8日に開催されました。主催は、2019年に25周年を迎えるNPO法人咢堂香風です。同団体は1994年に、前身となる「咢風会・香風」として発足しました。
核軍縮を求める議員ら、気候変動対策を訴える
【カトヴィツェIDN=アレクサンドラ・ガドジンスキー】
「核兵器と気候変動は、人類と文明、地球の生存そのものを危機にさらす二大脅威です。『原子科学者紀要』が今年1月に、『世界終末時計』の針を『真夜中(=人類の絶滅)まであと2分』の地点に進めた理由が、まさに核兵器と気候変動による脅威だったのです。」と、核不拡散・軍縮議員連盟(PNND)のグローバル・コーディネーターであるアラン・ウェア氏が、12月9日のイベントで指摘した。
このイベントは、ポーランド・カトヴィツェで12月14日まで2週間の日程で開かれた国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)において、列国議会同盟(IPU)が開いたものである。